完熟トマトの介護&リハビリ生活

2007/05/31(木)22:22

アメリカでの脳外傷リハビリの本

介護医療関係(37)

高次脳機能障害は山田規畝子先生の活動や、昨今の脳ブーム、それに医療やリハビリ問題にも関連し、着実に認知度は上がってきていると思われ、新たな本の出版もちらほら。 今回読んだのは、日本語訳が昨年12月に出た、アメリカの内科医の女性の脳外傷とリハビリの体験記「オーバーマイヘッド 脳外傷を超えて、新しい私に」。アメリカの本にありがちな雄弁な語り口のため、文字は小さくボリュームもありますが、新たな発見や情報を得ることのできる貴重な本です。 まず患者としての日々の闘いがかなり詳細にわたって描写されているため、患者ご本人がどう感じ、どう考え、どう絶望し努力するかがよく分かることがあります。著者であるクローディア・オズボーンさん自身が、医師としての職場復帰を焦る一方、病識の欠如があること、論理的思考はできても、今の自分にできることできないことは正しく判断できないことなどの具体例が多く語られ、リハビリを通して障害を常に認識し、その障害をどのように「対処」していくかを会得していった過程として、すべてが具体的に描かれているのです。 「障害の認識」「治すのではなく、対処すること」ということは、これまで読んだ本にも書かれていることはありましたが、本書では、患者本人がどのように思考して「障害」と「現実や環境」を認識し、それに対する「対処法」を考え出して行動に移すかが手に取るように分かるのです。「対処の仕方を会得する」ということが、本当に理解できた気がするし、私にしてみれば母の頭の中を少し覗けたような気も。 もうひとつは、アメリカの優れたリハビリシステムを知ることができたこと。勿論こうしたリハビリを受けることができるのは、ごくごく限られた人達だけなのだろうけれど、障害のある脳でどのように社会生活をしていくか、スピーチやゲームを通して鍛え、体得していける施設があり、それに携わる人たちが何人もいるということは素晴らしいことだ。 アメリカでは「高次脳機能障害」ではなく「脳外傷」としてまとめられることが多いようですが、それでは脳卒中でもこうしたリハビリはあるのだろうか?年齢や障害を負った背景、障害の現れ方を考えると、脳卒中によるものと区別をした方がいいということなのだろうか?日本以外の国のリハビリや社会・医療制度をもっともっと知りたくなります。

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る