専門家の知見 その2
日本の新型インフルエンザ対策の問題点 菅谷憲夫インフルエンザ Vol.8 No.4(2007-10) pp51-56.新型インフルエンザは、鳥H5N1インフルエンザやSARSと混同され、国民からは、死亡率の高い恐ろしい感染症で何とか罹患を避けるべき疾患と思われている. しかし、新型インフルエンザは出現すれば、数年以内には全国民が必ず罹患発病する. 第1波で国民の25%、第2波でさらに25%、計50%が罹患して新型インフルエンザに対して免疫をもつと、その後は流行規模が大幅に縮小して、国民の10%前後が罹患する毎年のインフルエンザ流行となっていく. その段階で死亡率も低下すると考えられる. 新型インフルエンザは、A型インフルエンザとして10年から数10年間は毎年流行を繰り返す. 新型インフルエンザは香港かぜ、ソ連かぜに代わり、毎年のA型インフルエンザとなるのであり、隔離や検疫により罹患を絶対的に避けるべき疾患ではなく、また避けることもできない.したがって、新型インフルエンザ対策では、外出を禁止したり、食料を2週間分備蓄して家に閉じこもるような極端な隔離対策は適切ではない. 新型インフルエンザには必ず罹患するし、社会に集団免疫が成立しないならば、日本はいつまでも、新型インフルエンザに対して、vulnerable な状態が続くことになる. 最近、日本では、WHOのPhaseに合わせてPhase 4,Phase 5の訓練が全国各地で実施されている. しかし、現実的に日本において、Phase 4,Phase 5 はなく、パンデミックであるPhase 6 が一気に始まる可能性がきわめて高い. 日本国内で、鳥インフルエンザによるヒトからヒトの感染が起こり、それが小集団から次第に大集団に広がり、パンデミックに進展するシナリオはまずあり得ない. インフルエンザ専門家の常識としては、中国や東南アジアでPhase 4,Phase 5 と進行し、ごく短期間に、日本国内でも新型インフルエンザ患者が発生し、一気にパンデミックに突入すると考えられる. したがって、日本で重要なのはPhase 6、パンデミックでの対策、訓練であり、それが遅れていることが問題である. ・・・・・・・・・・・・・・そのとおりやわーとおもうんやけど他の専門家の人の話もききたいなー