社長失格 ぼくの会社がつぶれた理由
板倉雄一郎氏が自身の会社ハイパーネットの立ち上げから倒産までを綴った本です。株式投資と直接関係はないですが、非常に示唆に富んでおり、読み物としても大変面白かったです。
ハイパーネットは95年頃のベンチャーブームの象徴的存在として多額の資金を集め華やかに活動するものの、97年の銀行の貸し渋りを主要因として倒産に追い込まれてしまいます。銀行の変貌ぶりとその後の資金繰りの描写は非常にリアルに訴えかけてくるものがありました。
痛感するのはあるムーブメントの最中にある時に、それに流されない判断をする事の難しさです(銀行が一斉に無担保融資をし、後に一斉にそれを引き上げていく様は怖いです)。投資においても今のように相場が好調だと、この先株価は上がり続け、置いていかれてしまうのではないかと焦りますが、この焦りに惑わされず、一貫した判断ができなければいつか大きくやられてしまうのだろうと思います。
私のようなサラリーマン個人投資家では事業の凄さ、怖さを実感できる機会はほとんどないので、このような栄枯盛衰の物語は大変勉強になります。自分も株式市場の一参加者であることにもっと緊張感を持つ必要があると感じました。(ちなみに、この種の本としては天才たちの誤算 LTCM破綻も大変よい本ではないかと思います)。
この本を読んで板倉氏の企業価値評価セミナーに参加してみたくなりました。非常に値段が高いのが悩みどころですが・・・とりあえず、マッキンゼーの企業価値評価を読み終えてから考える事にします(難易度が高すぎて読了の見通しが立っておりませんが)。