夏の思い出に
現実にあり得そうなストーリーだからか、来年の夏、自分が経験した出来事として思い出しそうな、そんな感覚になる作品である。読み初めて直ぐにタイトルや表紙からは想定していなかった専門知識に裏付けられた繊細な描写に圧倒される。
主人公ひよりは、現役女子高生でありながら、昭和生まれかなと思うくらいの女の子で、昭和生まれの読者でも感情移入が容易である。
イケメンの修復士の遊佐は、見てないようで見ていてくれる上司、分かってるようで分かってないボーイフレンドみたいな男で、なかなかどうして人たらしである。
中盤からは、主人公のひよりとこの謎の修復士の遊佐が織り成すものがたりに引き込まれてゆき、最後の一文字まで息を抜かずに読み通せる。
面白かったので、是非シリーズ化してもらいたい。
翡翠の色の、君だけの夏。