カテゴリ:音楽
一度はピアノで弾いてみたい曲って、いろいろあると思うが、ベートーベンの悲愴ソナタの2楽章も、その最たるもののひとつではないだろうか。
うちにレッスンに来ている大人の生徒さん(50歳を過ぎてピアノを始めた男性)も「ぜひ弾きたいんです」と、今年の夏以降簡易編曲版の楽譜ではあるが楽しんでおられた。 先日のPTA文集のわたしが校正を担当した文章にも登場していた。お嬢さんのピアノレッスンについていった折、自分も先生にあれこれ質問をしていたら、お母さんも発表会に出ませんか?と誘われてしまった…俄然やる気になって、昔から一度は弾きたいと思っていた「悲愴」2楽章に挑戦した…というもの。 そして、のだめの楽譜…先日思わず買ってしまった例の…にも海老原大作の「ロンド・トッカータ」と共に載っていた「悲愴」2楽章。 わたしがこのベートーベンのピアノソナタ第8番「悲愴」を初めて弾いたのはいつ頃だったかなーと思い返す。多分中学の頃だろう。父がケンプの演奏が好きで、いつもレコードが掛かっていたので、耳に親しい曲だった。自分で改めて弾いてみて、それまでのベートーベンのイメージ…音楽室にある肖像画のような荒々しい…ががらっと変わったことを思い出す。こんな穏やかな暖かい曲を書く人だったなんて!以来わたしにとっても大好きな曲である。 そんなことを思い出しながら、のだめの楽譜を開いてみた。 ……ひ、弾けない。なぜ?むちゃくちゃ弾きにくい。よーく見ると、右手部分はすべてト音記号で書かれていたのだ。(もし手元に「悲愴2楽章」の楽譜がある方はちょっと見てみてほしい) わたしの手持ちの楽譜は2冊とも、冒頭8小節間、正確には8小節目の2拍目のオモテまでは右手部もヘ音記号で書かれていて、中声部は明らかに右手で弾くよう、書かれている。ところがこの譜面では、高声部(メロディー)はト音記号で、中声部(16分音符)はヘ音記号に上向きの棒で、そして同じヘ音記号に低声部(バス)が下向きの棒で書かれているのである。 この書き方だと、初心の人なら無理して左手で中声部もとってしまいそうだが、しかし指使いは明らかに右手で2声弾くように書かれている。中・上級用の楽譜ということだから、自分で判断して弾けるのかなー、それにしても弾きにくいなーと、一小節も進まないで考え込んでしまった。(版権の問題などあるといけないので、ここに図示できないのでもどかしい書き方になってしまったが……) 中間部にも右手がヘ音記号になる箇所があるが、こののだめの楽譜はとにかくずーっと「右手はト音記号」を通してあった。 記譜法で楽曲の難易度さえ変わってしまいそうである。せっかく大好きな「悲愴」2楽章であるだけに残念だった。そういえば、バッハの譜面(例えばシンフォニアなど)も、ヘンレ版の弾きやすさに慣れた目でたまにほかの版を見ると、内声をどちらの手で弾くのか迷ってしまうことがある。指使いの付く位置、符尾の向きなど、細かい気遣いが全然違うのである! ああ、「ロンド・トッカータ」の方も、もうちょっと違う書き方をしてあれば、楽に弾けるのか…?んなことはなさそうか…。これはどう書き換えようと難しい…(;^^)買ってすでにお蔵入りしそうなこの譜面であった。(T_T) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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