カテゴリ:カテゴリ未分類
第8章:一路セビリアへ その1 モザンビークにて
モザンビークに到達した。ディリを出てから約40日目のこと。記録員から、世界周航を成した艦隊がこの辺りでひどい飢餓に見舞われ、太平洋を渡ったときの極限状況を再び味わったと聞く。それでも彼らが航海を止めなかったのは、船乗りとしての誇りと名誉のためだということも…。それを聞いたエレナは、誇りと名誉がいかに大切なものかを知る。 記録員「この付近まで到達したヴィクトリア号は、喜望峰を回るための風を待っていました。その間、実に九週間! それにより食料は欠乏し、太平洋を渡った時のような悪夢を再び味わうこととなるのです。艦隊内では、この港に寄港する案が持ち上がりましたが、当時ここはポルトガルの港。寄港すれば捕らえられることは確実です。艦隊は不名誉に生きながらえるより、名誉のために死の航海を続けました…。当時、敵国の港であろうとも積荷をすべて献上し、補給を願い出ればおそらくは受け入れられたことでしょう。ですが、積荷は元よりマニラや香料諸島の記録を完全に抹消され、かの地をイスパニアの土地と宣言することは叶いません。航海の失敗か、名誉ある死か…。船乗りとしての誇りがついには後者を選ばせたのです。苦渋の選択と言えましょう…。そして、名誉を守る代償として、艦隊は多くの船乗りたちの命を差し出さねばなりませんでした。当時、東回り航路はポルトガルの独壇場。ここに寄港できないならば、ヨーロッパまで港は無いも同然なのです。艦隊は、息も絶え絶えに、船を進めていき、ついに限界を迎えます。ですが、そこはなんとアフリカ西岸のカーボヴェルデ! そこまで無寄港でたどり着いたのです!」 しかし、出航に際して、船の周りをうろつく怪しい男。 不審な男「へへっ…こいつだ。間違いねぇ…」 何だこいつは・・・。不審を抱きながらもカーボヴェルデに向かう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.08.16 09:08:38
コメント(0) | コメントを書く |
|