エナジーアート なほの日記です

2009/12/02(水)17:15

装具が麻痺患者を助けていないという事実が

ゲイトソリューションデザイン(18)

前回の日記に載せていなかったのですが、靴の選択の幅を広げたいというところからスタートして、装具の問題をもっと考えるきっかけになったのはこちら様のブログを読んだことにありました。 この方のお立場が、お医者さんか理学療法士なのかどちらか不明なのですが、この画像の装具を実際に使っている患者さんに相談されて、「よしっ、これで大丈夫」と、新たな装具を作り直すために注意点を書いて持たせたら、患者さんの日ごろ通っている医療現場の人間はそれを全く無視で、やっぱりひどい装具が出来上がってきた、という悲しい物語です。 以下、引用しながら私の理解したことを書きます。まず前半の、この画像の問題点の部分。  それを見る限り、私が知るA氏から十分想像できる能力で大きな変化は見られない。OLD-FASHIONEDな言い方で行けばBrunstrom Recovery Stageと云うやつでは、下肢は2から3への移行期で終わっていると考えられる。下腿三頭筋の痙性はさほど強くなく、足関節の可動域障害もない。  その人に何を思ったのか、可橈性がなく、分厚く重いShoe-horn Brace。しかも、写真を見てわかるように足関節の角度がやや底屈位。これはあまりにひどすぎる。歩行にマイナスになる角度であり、膝のロックをしないと歩けない角度であるので膝を破壊していく、そして、下腿三頭筋の痙性を高め得るものなのである。  あまりにもひどい。ということで、彼の相談に乗り、新しい装具を作成することになり、近くのK生病院というところで作成することになった。  可橈性(かとうせい)はプラスチックに力を加えた時に「柔軟性があり折り曲げてもポキンと折れない性質」だそうです。底屈位は鈍角に開いていることですが、これじゃ立った時につま先に体重が乗らないのでそっくり返りそうだと思います。(健常者の足は少し鋭角に前方に傾いて、脊椎のカーブで頭が真っ直ぐに乗る) 私の装具は比較してみると、なるほど鋭角に出来ていました。しかしこの前の男性装具士曰く、私のは「やっと立てるようになった時の装具」で、退院後の時間の経過の考慮は無く、これでズンズン歩いているから、かかと部分に「クラック」という劣化の白濁が起きていてもう時期壊れる合図だと教えてくれました。壊れたらさすがに身障者手帳で作れるものでしょ?まだ調べていないけど。まぁだめでも、「初歩の段階の装具」で引っ張る気もないので作る方向へ行きます。 ところで物語の後半です。 出来上がった装具の情報は、 1.可橈性がない。 2.厚さは5ミリで非常に重い。 3.アンクルストラップの位置が悪く痛みを生じる。 4.背屈角度を5-7度にするようにいったが、3度。 5.動的な評価を適切にせず、仮合わせ。  全然麻痺の重たくない、むしろ、まだ、回復の余地があるものに対して、可橈性ゼロ、分厚さが5ミリ以上で足の裏全体を覆い、 内果、外果も包む巨大な装具。  もう、何を言っていいかわかりませんわ。  装具は、その患者の将来のことも踏まえて、考えるべきで、そのときの状態だけを見ているだけでも落第なのに、 そこまで至っていない・・・  衝撃的ですね。  ゲイトソリューションデザインの川村義肢さんの、ネットカタログの画像を拝借して「一体型装具でも、もっと靴履けそうなのあるじゃん!」と私がワナワナ震えたことを付け加えておきます。 徳武産業の冬靴が装具用のなのに何で入らないの?という疑問は入る装具だって普通にある、ということが答えでした。この患者さんも、靴を探すのも大変だろうな。

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る