受け継がれる剣聖と黒騎士の誇り(5)リーフ館長:いよいよこのシリーズもクライマックスだよ~最新更新情報:07年9月27日に(6)の最終話<エピローグ>分を(5)に移動させ、一部修正したうえで改めて完結しました!! <第16話・結婚式(後編)> 結婚式と即位式は、アグスティ城内にある大きな教会で、厳かに行われた。 神父はグランベル王国・エッダ公国のコープル司祭が務めた。 アグスティ国王になるアレスと、グランベル王国の国王セリスから頼まれたというのもあるが、何よりコープルの姉でアレスの妻となるリーンの結婚式となれば、唯一の肉親として姉の幸せを祝福したいのは、当然のことである。 互いに誓いの言葉を述べた後、アレスとリーン、デルムッドとマリータは、キスを交わし永遠の愛を誓った。 その後即位式では、アグスティ王アレスとノディオン王デルムッドが、アグスティ城に集まった国民に対して、今後の繁栄と両国の友好などを誓った。 やがて厳かな式も終わり、城内ではアグスティ王アレス主催のパーティーが始まった。 アレスとリーン、デルムッドとマリータは、戦闘の時以上に緊張していた表情をしていたが、ようやく緩み普段の彼らに戻った。 デルムッドは友人たちと両親から、ここぞとばかりにお酒を勧められた。 普段あまりお酒は飲まないデルムッドにしてみれば、ありがたいこととはいえ、次から次にくるお酒に、すっかり参っているようだ。 一方のアレスは、庸兵の時から鍛えられていることもあり、余裕の表情でお酒を次々と飲んでいく。 アレス:おいおい、もうギブアップなのかデルムッド。まだ一本しか開けてないじゃないか。そんなことじゃ立派な国王は務まらないぞ。 デルムッド:酒豪のお前といっしょにするな!!だいたいアレスは強すぎるんだよ。 アレス:そういうが、お前のお父上は元々お酒に強いと叔母上から聞いたぞ。 デルムッド:じゃあ、俺がお酒に弱いのは母上の影響だっていうのか? アレス:叔母上もお酒には強いと、叔父上から聞いているぞ。デルムッドが特別弱いだけだ。 デルムッド:母上まで・・・よし、そこまで言うなら決めたぞ、アレス!! アレス:な、何怒ってるんだよ。急に俺を睨みつけて・・・ デルムッド:俺がお酒に強くなるまで、とことん鍛えさせてくれ!! と、アレスに対し、いきなり頭を下げるデルムッド。流石にこの行為にはアレスも動揺する。 アレス:ちょ、ちょっと待てデルムッド。いきなり頼まれてもだな・・・ デルムッド:お酒に強くないと立派な国王にはなれないんだろう、アレス? アレス:い、いやそうだけど、物には順序ってものが・・・ デルムッド:一度言ったからには、それなりの責任は持ってもらわないとな!! アレスはデルムッドの突然の変わりぶりに、ある異変に気づいた。 アレス:うおっ、こ、こいつ酔っ払ってやがるな!! デルムッド:なんだよー、誰が酔っ払ってるってぇ? アレス:お前だよデルムッド!!うおっ、目がコワいって!! たちまち大騒ぎになるパーティー会場。二人の様子をみていたフィンとラケシスは思わず苦笑い。 ラケシス:デルムッドったら・・・あの変貌ぶりは初めてお酒を飲んだ時のフィンにそっくりじゃない(^^) フィン:私はあそこまで酷くはないです!! ラケシス:やだ、フィンったら怒ることないじゃない。事実なんだし。 あの時は本当に大変だったんだから。キュアン様とお兄様が必死に止めようとしても、あっという間に振りほどいたのよね。お兄様ったら「あの細い体のどこに、あんな力があるんだ・・・」って嘆いてたわね(^^) フィン:ラケシス・・・お願いだから、これ以上は・・・(><) フィンの顔が真っ赤になるのを見たラケシスは、クスクスと優しく微笑んでいた。 そして長い1日が終わる・・・ 第16話・完 最終話に続く・・・ <エピローグ> 結婚式から数日後、来賓者たちがそれぞれの故郷へと戻る中、フィンとラケシス夫妻、それと新トラキア王国の国王リーフと王妃ナンナたちも、レンスターへ帰国の途に着こうとしていた。 アグスティ城門前には、アグスティ王となったアレスと王妃リーン、ノディオン王になったデルムッドと王妃マリータ両夫妻が見送りに着ていた。 デルムッド:では父上、母上レンスターまでの道中お気をつけて。 フィン:ああ、デルムッドとマリータも元気でな。国王の仕事は厳しいとは思うが、決して無理は禁物だ。体を壊したら元も子もないぞ。休めるときにしっかり休むのも大事な仕事だぞ。 デルムッド:わかりました、父上。って、あれ?どうしましたか母上。何か機嫌がよくないようですが・・・ ラケシス:う~ん、せっかくだしここで言っちゃおうかな~? フィン:どうしたんだいラケシス?さっきからずっと考え込んで・・・ ラケシス:あのね・・・実はね・・・ マリータ:ど、どうしましたかお義母様?顔が凄く赤いのですが・・・ するとラケシスはにっこりと笑顔を浮かべながら言った。 ラケシス:できちゃったの・・・赤ちゃんが・・・4人目(^^) デルムッド:はい・・・? マリータ:え・・・えええええ!? フィン:なっ・・・ラケシス・・・それは本当なのか? ラケシス:ええ、昨日から気分が優れなかったし、デルムッドやナンナ、ディアルトのときと同じだったから、もしかしたらとは思っていたんだけど・・・ 極上の笑みでフィンを見つめるラケシス。するとフィンはうれしそうにラケシスをギュっと抱きしめた。たちまち和やかな雰囲気になる・・・はずだった。 ナンナ:と、いうことは・・・私の娘よりも年下の弟か妹が産まれることに・・・ああ・・・ リーフ:わあっ、しっかりするんだナンナ~~~!!!(><) ナンナが両親の告白にあまりの衝撃を受けて、リーフにもたれかかるようにして倒れてしまった。 アレスとリーンも呆然としながらフィンたちを見つめている。 マリータ:きゃあ~~~ナンナ、大丈夫!? デルムッド:心配はいらないよマリータ。リーフ様が付いているし、きっとナンナも心の整理が付かなかったんだろう、無理はないか・・・と、いうことはなんだ!!俺とマリータの2人目と、ほぼ同じころに産まれるということは~~~!? マリータ:私たちの2人目と同い年の弟か妹になっちゃうんだ・・・よね、この場合・・・ デルムッド:ああ・・・なんだかもう頭の中がごちゃごちゃになってきたよ・・・ 新しい家族が増えることはうれしいのだが、何もこんな時期に・・・と、デルムッドは頭を抱えながら、はぁーーーと大きなため息をついたのだった。 そして結婚から半年後、デルムッドとマリータの間に2人目にして王女が誕生し、エイシャと名づけられた。 一方、ほぼ同じころにアレスとリーンの間にも待望の王子が産まれ、アレスの父の名をとって、エルトシャンと名づけられた。 さらに翌年には、2人目として王女が誕生しレイチェルと名づけられる。 そしてレンスターに帰国したフィンとラケシスの間にも、ついに4人目として娘が誕生しレフィルと名づけられた。 後にチュラを含めたこの子供たちが、アグストリアやトラキアでさまざまな伝説を残していくことになる・・・ 「受け継がれる剣聖と黒騎士の誇り」完 |