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フィンとリーフのトラキア博物館

フィンとリーフのトラキア博物館

剣聖と黒騎士と・・・(その5)

リーフ:いよいよこのシリーズもパート5に突入!!彼らの後を追ってフィンとラケシスの次女レフィルたちが旅に合流!!一体どのパーティーと合流するのかな?

最新更新情報:09年1月6日に、第20話をアップしたよ!!久しぶりにデルムッドとアレスたちが登場!!そしてパート5は終了し、続きはパート6に移ります!!(リーフ館長)


<第17話・突然の訪問者>

チュラたちが順調に旅をしていたそのころシアルフィ城では、シアルフィの公子であるトールが、バーハラに会議に出ている父オイフェに代わって公務に明け暮れていた。

父親のオイフェと同じく真面目で誠実な彼は、一枚一枚書類をチェックしながら、次々とハンコを押していく。
やがてこの日の公務が終了し、のんびりと紅茶を飲んでいたところ、母パメラが執務室に入ってきた。

パメラ:トール、あなたにお客さんよ。
トール:えっ、僕にですか?
パメラ:そうよ。謁見の間にいらっしゃってるから、早く着替えてらっしゃい。はるばるトラキアから来ているんだから、あまり待たせないようにね。
トール:分かりました、母上。

仕方なくトールはいそいそと公子服に着替えていく。しかし着替えの間もトールはあることが気になっていた。

トール:トラキアからわざわざ僕に何の用で来たんだろう?たしかトラキアはデュラン王子とエイミ公女、アーヴィング公子とセリナ王女とも新婚旅行でいないはずなんだけどなぁ・・・ディアルトと姉さんと一緒についてっちゃったし、ほかに僕に知り合いになんていたかな・・・

やがて着替えを済ませたトールが謁見の間に入った途端、トールの表情がこわばった。
そこにいたのは、トールの恋人でディアルトの妹でもあるレフィルだった。

レフィル:やっほ~トールっ!!
トール:レ、レフィル!?何で君がここに・・・?
レフィル:リーフ陛下がバーハラである会議に出席するために、私も護衛としてやってきたの。もちろんナンナお姉様と一緒だけどね。で、せっかくだからシアルフィに立ち寄って、トールに会いに来たの(^^)
トール:そうか、君はランスリッターの副隊長だったね。隊長であるディアルトがいないから大変だろう。
レフィル:ディアルトお兄様がいない分私が頑張らないとね。でもお父様と、もう1人の副隊長もいらっしゃるから結構平気よ。
トール:そうなんだ・・・

お互い会えなかった間の身の上話などで会話も弾んだとき、突然レフィルがそっとトールの側に近寄る。

トール:レ、レフィル?どうしたんだい、突然・・・?
レフィル:実は私がここに来た理由はもう1つあるの。
トール:理由・・・?

するとレフィルはにっこりとトールに微笑みながらとんでもないことを訪ねてきた。

レフィル:ね、トール。私と一緒に行かないエレブ大陸まで!!
トール:は・・・?

トールが唖然とするのも無理はなかった。エレブ大陸とはここユグドラル大陸のはるか西にある大陸で、今トールの姉であるルージュがディアルトたちと一緒に旅行をしている場所なのだ。

レフィル:だからぁ~私と一緒にエレブ大陸に行かないって聞いてるの!!
トール:ちょ、ちょっと待って!!ランスリッターはどうするの?と、いうか君の両親であるフィン様とラケシス様は、このことを知っているのかい?

レフィル:もちろん許しを得たわ。お父様は最初反対していたんだけどね。お母様と、リーフ陛下とナンナお姉様が賛成してくれて、そのあとお父様に説得してくれたの♪それにランスリッターのもう1人の副隊長も、私が旅行に同行することは知ってるわ。
トール:君の許しは得たとしても、僕の方は許してくれるのだろうか・・・特に父上は厳しいからなぁ。
パメラ:その心配は要らないよ、トール。

2人がびっくりして謁見の間を見ると、パメラがにこやかな笑顔で入ってきた。

トール:は、母上!?もしかして今までの会話聞いていたのですか!?
パメラ:さっき通りかかったところだよ。ああ、先程の話だけど、主人の方は心配要らない。セリス様とともにリーフ様が一緒になって説得しているそうだよ。
トール:セリス様とリーフ様が一緒だと、なぜか父上もかなわないからなぁ・・・主君だからというのもあるんだろうけど・・・
パメラ:それにトール。いつまでもこのグランベル内で留まっていないで、いろいろと世界を見てくるといいわ。あなたはいずれはシアルフィ侯爵になるんだから、少しは旅をして来た方が良いわよ。
トール:母上・・・ありがとうございます!!

パメラの許しを得てほっと胸をなでおろすトール。そしてパメラはレフィルのほうを見る

パメラ:レフィルさん。
レフィル:は、はい!!
パメラ:こんな真面目すぎる息子だけれど、よろしく頼むわね。大丈夫、剣や槍の腕は保障するから。

レフィルは緊張しながらもコクリとうなずくと、自然と3人の表情が笑顔になった。

その後、レフィルはシアルフィ城に1泊し(リーフとナンナはその日のうちにドズルへと向かった)、翌日旅の支度を済ませ2人は、パメラや騎士たちに見送られ、シアルフィ城を後にした。

2人を乗せた馬車は順調に進み、その日の昼過ぎにユングヴィに到着すると、港へと向かい、エレブ大陸方面行きの船に乗り込む。
夕方、太陽が沈みかかるころ、2人を乗せた船は一路はるか西にあるエレブへと向かった。

そのころバーハラ城では、セリスとリーフから事情を知らされたオイフェは、ふぅ~っとため息をついていた。

オイフェ:それにしてもレフィル殿は、ますますラケシス様に似てまいりましたな。
リーフ:気の強いところなんか、本当にそっくりだからね。フィンでも時々戸惑うことがあるらしいよ。
セリス:でもラケシス様って、あんなに気が強かったっけ?僕が知っている中では、気が強かったのは印象ってなかったけど・・・?
リーフ:う~ん、フィンが言うにはレフィルはラケシス様にも似ているんだけど、僕の母上にも似ているところがあるって言ってたなぁ・・・

その瞬間、オイフェのペンがポトリと落ちた。

オイフェ:そうか・・・見たことがあると気になってはいたんたが・・・まさかエスリン様だったとは・・・
セリス:ど、どうしたの、オイフェ?顔色悪いけど・・・?
オイフェ:いえ、何でもありませんセリス様・・・

トールの今後のこと(?)を考えると、このまま尻に敷かれなければ良いがな・・・と、心の中でため息を漏らすオイフェだった。

第17話・完
第18話に続く・・・

<第18話・合流>

エレブ大陸の南西・ミスル地方から上陸したチュラとレイチェルは、広大なミスル砂漠を越え、ようやくエトルリアの王都・アクレイアに到着した。

チュラ:や~っとエトルリアに着いたか。本当にこの砂漠の旅は厳しかったな~。すぐにのどは乾くし、暑いだけだし・・・

レイチェル:でもこの砂漠を横断したおかげで、こっちでは決して出来ない体験も出来たんだよ。ラクダにも乗れたし、オアシスではチュラ兄ちゃんとお宝探しが出来たしね。

チュラ:そうだな。あの宝探しは楽しかったよな。暑さも忘れて、俺は素手でレイチェルはスコップで砂を掘って、時間はかかったけど、おかげでこっちでは決して手に入らない武器が手に入ったし、お前も踊り子の衣装が見つかったって喜んでたもんな。

レイチェル:うん!!

チュラ:それじゃ、今日はもう休むか。エトルリアに入ったことだし、目的を果たすのは明日ってことで。

レイチェル:目的って?

チュラ:リーフ様が言っていたけど、リグレ家の屋敷に行ってパント様とルイーズ様に挨拶をしておかないと。フィンじーさんとラケシスばーさんがここに旅行に来たときに、戦乱に巻き込まれたんだけど、それが縁で仲良くなったって聞いたことがあるし。

レイチェル:そうなんだ。私も早く会ってみたいな。

チュラ:じゃぁ、今日は宿屋を探してゆっくりと休もう。まだまだ旅は長いからな。

レイチェル:うん!!


そして翌朝、2人は宿屋を出てリグレ家の屋敷に向かおうと歩き出した。

と、そのとき・・・

レフィル:やっほ~~チュラ兄さん、レイチェル~!!

チュラ:も、もしやこの声は・・・

レイチェル:え~~うそ~~レフィル!?

2人が驚くのも無理はなかった。なぜならレンスターにいるはずのレフィルがはるばるエトルリアに来たからである。
だが、思わぬ再会にレイチェルは、レフィルのところへ駆け寄ると嬉しそうに抱きついた。同年代ということもあり、大の仲良しなのである。

2人がきゃあきゃあと喜ぶ姿を、チュラが唖然としてみていると、そこにレフィルの恋人であるトールがチュラの元へ向かう。

トール:チュラ王子、お久しぶりです。

チュラ:トール公子!!そうか、君が彼女を連れてきたと言うわけか。

トール:私が連れてきたと言うか、むしろ逆で、彼女に一緒に行かないかと誘われて気が付いたらこんなところまできていたわけで・・・レフィルと一緒なら何処だって付いていきますけどね。

チュラ:レフィルの行動力は本当にすごいな・・・さすが、フィンじーさん、ラケシスばーさん譲り・・・と、いうか、よくオイフェ様とパメラ様が2人きりの旅行を許したな。

トール:母上は許してるというか、むしろ喜んでくれましたが、どちらかといえば父上は反対でしたね。リーフ様とセリス様が父上を説得して許してくれたようです。

チュラ:オイフェ様って本当にセリス様やリーフ様には弱いよな。セリス様は盟主だから仕方がないとしても、何でリーフ様にもかなわないんだろう。

トール:リーフ様の母上であるエスリン様は、セリス様の父シグルド様の妹君で、父上もエスリン様に弟のようにかわいがって頂いてたようです。

チュラ:そうだったのか・・・

トール:ところで僕たちが本当にこの旅行に同行してもいいのですか?本当は新婚旅行だったはずなのに、ご迷惑かけるでしょうけど・・・

チュラ:迷惑どころか、むしろありがたいと思ってる。ユングヴィのスタートからアーヴィングたちやエルトたちと違って、ずっと2人きりだったからな。旅は人数が多い方が楽しいし、あいつらも一緒に旅行できること喜んでいるようだからな。

トール:そうですか、では改めてよろしくお願いします。出来ることなら私のことは呼び捨てでもかまいませんよ。

チュラ:そうか、だったら俺のこともチュラと呼び捨てにしてもいいぜ。年齢は変わらないわけだし、よろしくな、トール!!

と、チュラとトールはがっちりと握手を交わした。

こうしてトールとレフィルが合流し4人となった一行は、改めてリグレ家の屋敷へと向かった。

チュラ:こ、ここであっているんだよな・・・レイチェル?

レイチェル:うん、街の人から聞いてたのはここだって。

レフィル:本当にここにお父様とお母様のお友達の方が住んでいるとでもいうの・・・?

トール:屋敷と言うよりは、完全にお城ですよ、この規模は・・・

4人はリグレ家の屋敷を見て呆然としていた。広さは明らかにノディオン城ぐらいに匹敵する。
広さに見とれていた4人だったが、気持ちを切り替え、門前にいる兵士にリーフ王から預かっていた手紙を渡す。
しばらく待つようにと兵士から言われ、待つこと5分・・・

兵士:お待たせいたしました。パント様とルイーズ様が謁見の間でお待ちです。どうぞこちらへ!!

兵士に案内され、4人はリグレ家の盟主であるパントとその妻ルイーズのいる謁見の間に向かった。

第18話・完
第19話に続く・・・


<第19話・次の行き先は?>

チュラたちはリグレ侯爵家の謁見の間を訪れると、リグレ侯爵家の前当主であるパントと妻ルイーズが出迎えてくれた。ちなみに現当主であるクレインとその妻ティトは新婚旅行で出かけているらしい。

チュラたちは自己紹介を済ませ、今回の旅の目的などを語ると、パントも以前エレブ大陸を訪れたレフィルの両親であるフィンとラケシスとの思い出話やそのとき起こった暗黒魔道士と古の竜との戦いなどを語り、会話は弾んでいった。

パント:ところで、フィン殿のことをチュラ王子は祖父と呼んでいるのに、どうしてレフィル嬢は父と呼ぶのかな?見た感じではチュラ王子のほうが年上なのだが・・・

チュラ:私の父のデルムッドとここにいるレフィルとは、歳はだいぶ離れていますけど、実の兄妹なんです。私たちと一緒に旅をしていて、ここにはいませんけど、レフィルには3つ年上の兄と、レンスターにいて旅には同行していませんが、ひとまわり以上離れた姉もいます。

パント:フィン殿やラケシス殿もずいぶんと頑張ったようだね。4人の子供に恵まれているのだから、それだけ愛し合っているということか。ねえ、奥さん。

ルイーズ:クスッ・・・はいだんな様(^^)

パント:幸いクレインたちも新婚旅行でしばらく帰ってこないし、クラリーネもランス殿と結婚してフェレに嫁いだことだし、ここでもう1度子供を作って新婚生活をするというのも悪くないな。

ルイーズ:そうですわね、パント様。でもこればかりは授かり物ですから・・・

おっとりと話し、にこやかに笑顔を振舞うルイーズに固まる4人。

チュラ:(ちょ、ちょっと待てよ・・・さらっととんでもないことを語ってるぞ。なんなんだよこの夫婦は!!)

レイチェル:(フィンおじいちゃんやラケシスおばあちゃんも、すごく仲が良いけど、この2人って・・・)

トール:(な、な、なんだろうか、この独特な雰囲気は・・・)

レフィル:(お父様やお母様から聞かされていたけど、なんだか私たちでは決して入り込めないような・・・)

パント:おや、どうしたのかな。4人とも固まっているようだけど、何か悪いことでも言ったかな?

チュラ:い、いえ、そんなことはないのですが・・・ここに来る前に祖父と祖母からお二人の仲のよさのことを聞かされていましたので・・・

パント:ははは、なんだそんなことか。フィン殿やラケシス殿から、そのように言われると私たちも嬉しい限りだ。君たちもいずれ子供を授かって親になるとは思うが、何事も常に話し合うというのは大事なことだよ。どんな些細な話でもかまわないから、一緒に会話をするのは夫婦生活を送ることには欠かせないことだからね。

チュラ:はい!!

パント:さて、ではルイーズ『あれ』を用意してくれ。

ルイーズ:分かりましたわ、パント様。

やがて、ルイーズが持ってきた見覚えのあるものにチュラたちは唖然とする。

レイチェル:こ、これって・・・ユングヴィで見たあのカード・・・ですよね?

ルイーズ:そうですわ。フィン様とラケシス様、それに新トラキア国王のリーフ様から『いずれ子供たちが訪れますから、その際はこのカードを引かせてやってください』とおっしゃっていましたの。さあさあ1枚お好きなカードを引いてくださいな。

チュラ:さすがリーフ陛下・・・抜かりはないようで・・・

そして4人は相談した結果、カードを引く役はレフィルに決めた。

レイチェル:チュラ兄ちゃんだと、また砂漠行きとかとんでもないところを引きかねないもんね。

チュラ:一度引いただけなのに、ユングヴィでのことまだ怒ってるのかよ・・・いいじゃないかよ。ナバタ砂漠ではラクダが乗れたんだし。

レフィル:なんだか責任重大よね・・・

トール:まあまあレフィル、そんなにあせらず気楽に行きましょう。

そしてレフィルが引いたカードに書かれていた行き先は・・・『イリア』とかかれている。

チュラ:イリアって・・・どこですか?

パント:ここから北東にある国で、雪と氷に囲まれた自然豊かな地域だよ。クレインの妻のティトの生まれ故郷でもある。あそこは植物がなかなか育たないところが難点だけど、ペガサスがあそこにはいるからね。

レイチェル:砂漠の次は雪国かぁ・・・なんだか楽しそう!!

レフィル:ペガサスってここにもいるんだ!!ユグドラルしかいないと思ってたんだけどね。

トール:ペガサスか・・・姉さんがいたら喜びそうだな。

パント:とにかくイリアに決まった以上、寒さ対策は万全にしておくようにね。あ、悪いがカードは返してもらうよ。君たちの仲間が来るようだし、また用意しておかないと。

ルイーズ:もしクレインやティトに会うようなことがあれば、私たちが心配していたと伝えてもらえないかしら。

チュラ:分かりました。ちゃんとお伝えしておきます。しかし砂漠の次は雪国か・・・俺、寒いのは苦手なんだけどなぁ・・・

こうしてチュラたちはリグレ侯爵家を後にし、カードに書かれた次の行き先であるイリア地方に向かうために準備をするのだった。

第19話・完
第20話に続く・・・

<第20話・アクレイアの休息>

リグレ家をあとにしたチュラたち4人は、次の行き先に決まったイリアへ向かうため寒さ対策のために、厚手の服を購入するため、アクレイア市街地にある洋服店に足を運んでいた。

レイチェル:ねぇねぇチュラ兄ちゃん、この服どうかな、似合ってる?

チュラ:ああ、よく似合ってるじゃないか。イリアは相当寒いってパント様もおっしゃってたしな。

レイチェル:ちょっとチュラ兄ちゃん。何でそんな言い方をするわけ?

そっけないチュラの返事に、む、とレイチェルが睨みつける。
するとチュラはため息をつきながら、お手上げだと分かっているにもかかわらず反論する。

チュラ:だって、もうこの店に入って1時間以上は経つぞ。いくらこの店が広いからって長すぎやしないか。お気に入りに物がたくさんあるのは分かるが、そろそろ買うものを決めてだな・・・

レイチェル:じゃあ、レフィルとトールさんはどうなるわけ?あの2人も私たちと同じ店にいて、私たちよりも長い時間いるけど、すっごく楽しそうじゃないの!!

するとチュラはレイチェルの側にいき、そっと耳打ちする。

チュラ:ああ見えても、本当はレフィルが無理矢理トールを連れてきてるんだぞ。お前も見ただろう、トールが引きずられていって店に入ったの光景を。

レイチェル:あ・・・そうだったね・・・

チュラ:絶対トールはレフィルに尻を敷かれてるな。トールの方が年上なのにな、気の毒に・・・って、げっ!!

チュラが背筋に寒気がして、そっと後ろを振り返ると、レフィルが恐ろしい形相をしながら、父フィンから譲り受けた勇者の槍の穂先がチュラを捕らえていた。

レフィル:ちょっと・・・チュラ兄さん、それってどういう意味?(--#)

チュラ:ま、待てレフィル!!いきなり『勇者の槍』を突き出すのをやめろ!!仮にも店の中だぞここは!!

レフィル:だからって私がトールを尻に敷いているっていうのは、すごく納得がいかないけど(^^)

レフィルは笑顔でチュラに対して再び槍の穂を向ける。しかし笑顔ではあるがあきらかにレフィルの表情は笑っているようには見えない。

チュラ:待てレフィル!!せめて買い物を済ませてから・・・

レフィル:問答無用!!

怒りに任せたレフィルの勇者の槍攻撃に、チュラは避けるのが精一杯だった。

レイチェル:明らかにチュラ兄ちゃんが悪いよね。女性に対してあの言い方は失礼じゃないかなぁ。

トール:確かにそうですけどね・・・・・・(本当はレフィルにも原因があるんだけど、本音を言おうものなら間違いなくチュラ王子と同じ目にあってますね私も・・・)

結局2人のケンカは数分続いたのだが、一瞬の隙を突きチュラがレフィルの勇者の槍を素手で受け止めた。チュラが穂の先で軽傷を負ってしまいレイチェルが泣き出してしまったため、驚いたレフィルはあわててレイチェルに謝罪したのだった。
店員もこの光景には驚いていたのだが、店の商品には一切被害はなかったこともあり、チュラとレフィルが謝罪したことで許されたという。

こうして買い物を済ませたチュラたちは、近くの宿で宿泊し、翌日イリア方面息に馬車に乗って一路イリア地方最大の都市エデッサへと向かったのだった。


そのころアグスティでは・・・

アレス:ふわぁ・・・・・・天気が良いから気持ちよくて眠たくなってくる・・・

デルムッド:昨日も夜遅くまでワインを飲んでいたから二日酔いが原因じゃないのか、アレス?

事実であるだけに、ぐうの音も出ないアレス。

アレス:それにしてもチュラたちが旅に出て2週間になるか。覚悟はしていたが、うるさいのがいないとこうも寂しくなるか・・・

デルムッド:にぎやかだからな、あの4人がいると。でもまだセシールとアルフもいるんだし、寂しいとかどうとか言ってられないけどな。

アレス:そうだな・・・まだあいつらがいるから頑張れるんだけど。せめてあいつらが成人になるまでは・・・

2人がしみじみと語っていると、デルムッド家の次女セシールとアレス家の次男アルフが駆け寄ってくる。

セシール:おとうさま~~!!

アルフ:ちちうえ~~!!

5歳になったセシールとアルフは、遊び盛りで父親たちの姿を見つけると、嬉しそうに抱きついてきた。

セシール:あのね、アルフといっしょに、おとうさまとアレスおじさまに、おはなのかんむりをつくったの~!!

アルフ:ぼくもセシールといっしょにがんばってつくったんだよ。ほら!!

アレス:お、よく出来てるじゃないか。えらいぞ2人とも。

デルムッド:ありがとうセシール、アルフ。

小さいながらも立派な花の冠を作ったセシールとアルフにデルムッドとアレスは2人の頭を優しくなでた。

わーい、と喜ぶセシールとアルフに側で見ていたマリータとリーンも微笑ましい表情で4人を見つめていたという。

第20話・完
第21話に続く・・・

リーフ館長:『剣聖と黒騎士と・・・(5)』はここまで!!続きはパート6に移るよ~


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