『なぜ日本人は学ばなくなったのか』
齋藤 孝 先生の 『なぜ日本人は学ばなくなったのか』 を読んだ。齋藤先生は、私と歳が近い所為もあるのだろう、共感することが多い。この本も、題名を見て、おそらく、読書のこと、そして、知への憧れについて書いているのだろうと思いながら、読んだ。私の考えていることを裏付ける味方を得ようとして、読んだとも言える。バブル前後から、知への憧れ、畏怖の念は薄らいでいったように感じる。ちょうど、重厚長大の工業から、ウォークマンの軽薄短小の工業への変格が叫ばれていた頃だったと思う。私も、他人に自慢できるほど本を読む学生だったとは言えないが、岩波新書や文庫本は読んだ。そして、読書が、周りの大人たちとの交流に役立った。齋藤先生も指摘しているが、大人たちが知り、私が知らないのは実に恥ずかしかった。知らないことがあるのは仕方ない、当然のことだ。だが、知ろうとする態度、勉強することが失われてしまったのは辛い。この力を身に着けずに大人になる、大学生になるのは、自己実現をするためには相当にきつい。#身に着けていても大変なのだから。中学生、高校生、大学生に読んで貰いたい本ではある。だが、齋藤先生の主張が彼らに届くだろうか。その不安がある。