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後半は、子どもの心を育む食育についての講話である。
~「子どもの心」を育む食育~ <1>子ども時代の食と問題行動の相互関係 食事と「キレる」行動の関係については、福山市立女子短大の教授の調査によれば すぐカッとなる子どもの割合は食生活が良いグループでは10%しかないのに対し、 食生活が悪いグループでは66%にものぼるという。 また、他人をいじめている子どもの割合は、食生活が良いグループでは0%に対し、 食生活が悪いグループでは40%という結果が出ている。 茨城県警がまとめた食生活調査では、傷害や覚醒剤などの事件で逮捕・補導された少年は、 自宅以外の場所で朝食を摂る割合が一般の少年より5倍も高く、 母親の手作り料理や鍋物など一家で食卓を囲む機会が少ないことがわかっている。 少年非行の凶悪化が深刻になる中、 食生活面からも家族との交流が希薄な非行少年の姿が浮き彫りになった。 調査は、同課が筑波大学などの協力を得て、 県内の中学生約250人、高校生約280人を対象に実施された。 中高生ともほぼ半数が逮捕・補導された非行少年である。 捜査機関によるこうした実施調査はきわめて珍しいという。 傷害などの粗暴事件で摘発された少年の62%が、朝食を一人で食べると回答した。 一般の少年(中学生35%、高校生50%)に比べ「孤独な朝食」の傾向が強い。 朝食を食べない少年は一般少年25%に対し、非行少年は55%にのぼった。 「自宅以外の場所で朝食を食べる」は一般中学生0.8%に対し、非行中学生は約6倍の4.6%、 高校生でも一般2.6%に対し、非行少年は11%と4倍以上に達した。 家族で楽しむことが多い鍋物については、非行中学生の43%、非行高校生の27%が 「鍋物が食事に出ることは少ない」と回答した。中高とも一般の1/3程度で、際立って少ない。 <2>食と育ちの因果関係 (1)栄養バランスの崩れ 食生活と子どもの状態との関係についてさまざまな食事調査も進められており、 食生活の乱れと「キレる」行為との間には明らかな相関関係があることがわかっている。 ただし、人間の栄養素の不足(たとえばカルシウムの不足)が、 単純に「イライラする」「キレる」ことにつながるというわけではない。 カルシウム不足でイライラするのであれば、 骨粗しょう症のお年寄りはキレまくっていることになる(爆)! (2)食事を大切にする気持ち=暮らしを大切にする気持ち 食事とは、自分たちの暮らしそのものといってよい。 それを大切にする思いが希薄な大人に育てられた子どもは、言わずもがなである。 子どもが朝食を食べなかったり、一人で食べることを親が容認してしまったら、 食事、延いては自分の暮らしを大切にする思いが子どもに備わるはずがない。 子どもにとって親は「善」であり、きちんとしていようがいまいが自分の親が絶対的である。 いい加減な生活を子どもに見せていると、子どももいい加減になってしまう。 「朝食いらないの?まぁいいわ、お母さんも作るの面倒だし~」なんてことが続いたら…以下略。 (3)親子関係、家族と家族の関係 食事をとおして共有する時間や空間、ともに暮らす家族どうしのコミュニケーションを 大切にする気持ちがないと、食事は寂しいものなり、子どもの心は満たされない。 「皆で美味しくいただきましょう」という心がなければ、 単なる食べることのくり返しにすぎない。 心が満たされないということは、生活を充実させる力が出ないということである。 食卓は、癒しの場であってほしい。食卓が子どもたちの大好きな場所になってほしい。 (4)食についての基本的な発達の躓き 好き嫌い、うまく噛めないなどの躓きがあると、食事が苦痛になる。 子どもが満たされないばかりか、食事をつくる側もやる気をそがれてしまう。 「楽しい食事」「空腹での食事」「美味しい食事」「快適な食事」を積み重ねることで、 食べることが大好きな子どもになるだろう。 その姿は周りの雰囲気を明るいものにし、食事を作る側にも満足感を与えるだろう。 「美味しい」という言葉は、作り手に対する最大の感謝である。 <3>食にかかわるお手伝いが子どもを幸せにし、生きる力を育てる (1)褒められることによって育つ自己肯定感 人は他者から褒められ、認められることによって自分の存在を確認する。 子どもがお手伝いをして母親から褒められると、自分は役に立っているという自信がつく。 褒められて自分に自信がつき、自分が大好きになると、 他人のことも受け入れられるようになる。 自己肯定感とは「自分が好き」「自分に自信をもてる」という気持ちであるが、 日本の子どもが、経済的に恵まれ学力水準も世界レベルでみて高いのに 諸外国の子どもより自己肯定感が低いのは、褒められることが少ないからといわれている。 やたらに比較されたり、叱られてばかりだと自己肯定感は育たない。 自分に自信というと頭がいい等の項目が思い浮かぶが、学業成績等はあまり関係ないのである。 食は見通しの体験活動である。 食事を作ると段取りを考えるようになり、物事に対する見通しがつく。手先も器用になる。 発達がみられ、くり返し褒められる。食事作りは最高のお手伝いといえるだろう。 (2)好き嫌いがなくなる 自分で作ったものは宝物である。「もったいない」とはどういうことかがわかる。 (3)生きる力を育む 自ら学ぶ力、知的な関心 → 学ぶ力 課題を見つけ、自ら考え、解決していく力 → 作る力 子育て中の家庭にとっては、栄養素と安全性だけではない手作りの食事が いかに重要であるかがわかったセミナーであった。 毎日の生活は大人の価値観を子どもに伝える行為といえる。 便利ではあっても文化的ではないものには注意を払う必要がある。 忙しいとついお金で済ませてしまうこともあるが、失うものも大きいということを肝に銘じたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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