前門の虎、後門の狼 <年子を抱えて>

2012/01/23(月)23:40

書くほうも書かせるほうも心苦しい

job(164)

一人暮らしの母親が亡くなった、という息子さんが窓口に来た。 母親はまだ50代。年金受給前なので、納付月数によっては死亡一時金が出る。 請求者が、死亡した人と同世帯であれば、 揃える書類は住民票と戸籍謄本だけで済むのだが、 別世帯の場合、別居の理由、面会の頻度等を記入する申請書も必要となる。 要は、家族であっても、ずっと音信不通のような人には払いませんよ、ということ。 彼は、別居の理由を とても正直に書いてきた。それは一言「合わない」。 うむ・・・。いくら何でも、ここまで簡潔ってどうなのよ。 私が苦々しい顔をしていることに気づいたのか、彼は重い口を開いた。 「あの、離れて暮らしている理由はですね、 細かく書こうとすると、苦しい過去を思い出してしまうので どうしても書けないんです」 もしかして、母親から虐待でもされたのだろうか。 はたまた、家に若い男でも連れ込んで 息子である彼を放置していたのだろうか。 いや、それとも・・・。瞬時にいろいろな背景が頭に浮かんだ。 しかも母親は生活保護受給者。いわくつきであることは間違いなさそう。 何にせよ、そう言われてしまっては、それでも詳しく書いて下さいとは言えなくなった。 後で上司からは「もっと細かく書いてもらわないとダメだ」と言われた。 実は かくかくしかじか、と説明すると 「そんなことまで、こちらは面倒見られない。却下になったら困るだろう」 確かに、判定を下すのは年金機構だし、これでは すんなりとは通らないかもしれない。 しかし!すみません、私はそこまで割り切ることができませんでした(泣)。 いっそのこと、自分は勤務先の近くに引っ越したため、とか それらしく適当な理由にしてくれたほうがよかったなぁ!? いや、正直な彼はそんなこと書けないんだろうね。 国民年金の死亡一時金は雀の涙みたいな金額だけど、どうか支払われますように。

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