鉄分たっぷり ~ナローゲージに乗るぞ大作戦~
我が国において、大多数の鉄道路線は1,067mm軌間で敷設されている。それに対し、線路のレール間隔をあらわす軌間が狭いものを「狭軌」と呼ぶ。狭軌、いわゆるナローゲージは、小型の車両や機関車、橋梁やトンネル、小半径の曲線を採用することにより線路施設の構造をより軽量化できるため、路線のコストを低廉化することが可能である。かつては このような路線が多く存在したようだが、第二次世界大戦中に不要不急路線として廃止されたもの、1960年代前後に道路交通の整備により役目を終え廃止されたものがあったらしい。そして、現存するナローゲージはたったの3つ!近鉄内部・八王子線、三岐鉄道北勢線、黒部峡谷鉄道本線で、いずれも762mm軌間である。なんと、日本に3つしかない貴重なナローゲージが、三重県に2つもあるとは!鉄子(乗り鉄)である私は、一度乗ってみたいと思っていた。阪神仲間として甲子園球場での観戦をご一緒させていただいている chris_linさん は伊勢の国在住。いろいろな分野に関心を持たれ、バイタリティーあふれる素敵な方。そんな彼女が、是非 伊勢の国に遊びにおいでよと誘ってくださり、また、ナローゲージの旅にもつきあってくださることになった。ヒャッホウ!と喜びいさんで、本来なら昨年の今頃 実現させているはずだった。しかし、私が まさにありえない形で右足を骨折してしまったため、お預けになり、じゃぁ来年 野球シーズンが終わったら、ということで、1年待ったのだ!いや~、1年待っただけのことはあって、それはもう楽しみで楽しみで、昨日の夜なんて、修学旅行を翌日に控えた小学生みたいな気分だったぜ!朝8時45分に地元の駅を出発し、1時間ほど名鉄に揺られて名古屋に着く。名鉄から近鉄へ移動すると、なんとなく空気が違う。聞こえてくる言葉が、関西っぽいのだ。それでも、蟹江や弥冨ではまだ 明らかな違いは感じない。木曽川を超え、桑名で扉が開いた瞬間、ワタシ的には完全にアウェーとなる(笑)。こうも言葉が違うものか。異なる文化圏に来たのだと実感する。最初の目的地、桑名に到着。ここで三岐鉄道北勢線に乗り換える。近鉄の駅から 思いのほか離れていた。北勢線はこちらという矢印に沿って進んだが、駅の外に出てしまい、本当にこっちでいいのかと半信半疑で歩いた。つきあたって、階段を下りたら、ありましたありました!なんとも小ぢんまりとした、いかにもローカル線候といった駅でございます。でも自動改札なんだね。そうか、ワンマン運転だからか。(そう考えると名鉄の西尾・蒲郡線は酷いな!)北勢線は1時間に1本もしくは2本。改札を通るとすぐにホームである。そして、ホームからレールを眺めた。こう見ただけでは、特に狭いとは思えないな。しかし、ホームからレールまでの距離が短い。つまり、低いのだ。普通なら、ホームから落ちたら怖いなと思うのに、この高さならすぐ登れそう(爆)。ホームには「見つめ直そう、日々の移動手段 みんなで守ろう北勢線」というのぼりが立っていた。これだけクルマ社会となっては、地方の小さな鉄道は赤字だろう。北勢線は、元々は近鉄だった。一度は廃線を決めた近鉄だが、地元住民が それでは困ると反発し、その結果、三岐鉄道に譲渡されたようだ。そうだよね、運転免許を持たない高校生には通学の足だし、高齢者だって…。そうこうしているうちに、おおっ!来たぞ!うわ~、背が低い!上背のある人なら、確実に頭ゴーンといきそうな!?そして、中に入ってまたビックリ、当たり前といえば当たり前だけど、狭い!これぞナローゲージ、座席はこんなふうに両側1列ずつ。(ただし、3両編成のうち2両目だけはお見合い電車の形になっていた)さて、いよいよ出発だ。何だ、この音は。お尻の底からグワーッとくるような、ディーゼルじゃないのにディーゼルみたいな すさまじい音がした。ゆっくり走り始めたら、大きく右にカーブし、近鉄名古屋線とJR関西本線の上を通って、住宅地の中に入った。手をのばせば民家に届きそうなくらい狭いところをガタゴト走る。しばらくすると辺り一面田園地帯となり、これまたなんとものどかな気分である。こういう風景の中を走る列車を外から見るのも楽しそうだな(乗り鉄じゃなくて見鉄)。穴太(あのう)という駅で linさんのお出迎えである。ナローゲージ乗車に加え、もう一つのミッションである三重県内スタバ巡業のために、車を走らせてくださるのだ!感謝感激でございます。(おかげさまで4店舗も制覇できた。詳しいことは日を改めて書くことにします)桑名、久居、伊勢、四日市と回る中、野球のこと相撲のこと、その他もろもろ、話したかったことを存分に話し(それでもまだ足りなかったのだが)、楽しい時間を過ごしていたら、あっという間に日没が近づいた。今度は暁学園前という三岐鉄道の駅からパークアンドライドで、向かうは近鉄富田。同じ三岐鉄道でも、ここはナローゲージではない。この三岐鉄道の車両は、かつては西武鉄道で使われていたものらしい。やはり地方の小さい私鉄だとそういう話があるんだね。私の地元を走っている某鉄道も、東急のお下がりの電車である。三岐鉄道で いたく感動したのが、切符である。自動改札ではなく、しかも今時珍しい 厚紙の切符なのだ。うおおおおおお。あまりにも感動したため、近鉄富田の改札で駅員さんに頼んで、いただいてしまった。近鉄富田から四日市まで出たら、いよいよナローゲージ第二弾。近鉄内部線である。時刻表の関係で、途中で分岐して盲腸線になっている八王子線のほうに乗ることになった。分岐して1駅、西日野という駅が終点だが、昔はこれより先にも駅があったらしい。それが、近くを流れる川が増水して線路が被害をこうむり、廃線になったのだとか。そういう歴史を知るのも興味深いことだ。なんというか、ナローゲージは小さくてかわいらしい電車。全国に3つしかない、珍しい電車。末長く頑張ってほしいと願わずにはいられない。四日市へ引き返し、四日市から名古屋までは特急を利用した。さっきの ほのぼのした電車とはうって変わって、快適そのもののビスタカー。あれも近鉄だけど、これも近鉄なんだよな(笑)。いろんな車両があって楽しいから、乗り鉄はやめられません!