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2020.02.22
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カテゴリ:生物学

 泳ぎが苦手な僕は、以前、『ナショナルジオグラフィック』誌でホッキョクグマが冷たい海を数百キロも泳いだと知って、目を剥いたことがある。

​◎687キロを移動!​
 観察されたのは、アラスカの北の北極海の一部であるボーフォート海だ。数十頭の雌のホッキョクグマに発信器付きの首輪を装着させて追跡したところ、1頭のホッキョクグマが連続9日間、687キロの海中移動を行ったことが分かったという(写真)。むろん最長記録である。ちなみにこの距離は、東京から青森までにほぼ匹敵する。





 クマはもともと泳ぎが得意だし、ホッキョクグマの場合、冬場は脂肪を蓄えてそれが体の冷却を防ぐのだ。
 だがホッキョクグマに限らず、泳ぎが得意な陸棲動物は意外に多い。​

​◎海を渡るゾウ​
 例えばゾウである。セイロン島(スリランカ)とインド間を泳いで行き来する目撃例が多い。
 氷河時代、マンモスはシベリアと陸続きだった北海道には来られたが、本州には化石が見つからないので渡来できなかったと考えられているが、氷河時代も陸橋でつながらなかった津軽海峡が北海道のマンモスの南下を阻んだという説明は、説得力が無い。
 陸橋はなくとも、津軽海峡は今よりもずっと狭まっていた。泳いで渡ってくることは簡単だったはずだ。むしろ食性で競合するナウマンゾウが本州にもかなりいたため、渡来できなかったと考えた方がいい。渡来したとしても子孫を残せず死滅した、だから化石が残っていないと考えるべきだろう。
 実際、本州にいたナウマンゾウは海を泳いで北海道にも渡っていたのだ(17年11月14日付日記:「野幌森林公園の北海道博物館で2頭の絶滅ゾウに出合う、そして黒曜石とアイヌ文化など」を参照:写真)。



​◎ヒグマが本州にいない理由​
 ホッキョクグマと遺伝的に近く、つい数十万年前に別れただけのヒグマも(12年4月26日付日記:「ホッキョクグマ、ヒグマと別れたのは約60万年前に大幅繰り上げ;ジャンル=進化生物学、動物生態学」を参照)、当然ながら泳ぎはうまい。だから2018年に北海道を騒がせた利尻島へのヒグマの渡りも、泳げるから不思議でも何でも無い。
 そのヒグマが本州にいないのは、泳いで来られなかったのではなく、マンモスの不在と同様の生態的な理由だろう。言うまでもなく本州には、食物で競合するツキノワグマがいる。北海道より寒くはない本州では、ヒグマほど巨体になるのはかえって食物を大量に食べなければならないので、不利だったに違いない。
 たまたま渡ってきた個体も、配偶者が見つからずに子孫を残せず死に絶えただろう。

​​​◎ネコ科もまた泳ぐ​
 ネズミも、泳げることは前に日記に書いた(19年8月12日付日記:「ネズミ4題(その1):海を渡るネズミにより占拠された四国の島、ネズミは泳ぎが達者!」を参照)。
 むしろネコ科で泳げる種がいることは驚異だ。幼少時に猫を飼っていた僕の体験から、ネコは水が嫌いだと思っていたので、意外感が強い。
 例えば南米のジャガーは、泳いでカイマン(ワニの仲間)に近づき、カイマンを狩る(写真)。





 またヒョウがナマズを狩るシーンも、テレビカメラに捕らえられたことがある(16年7月2日付日記:「アフリカの古人類ホモ・エレクトスは淡水魚を食べなかったか? ボツワナのヒョウの巨大ナマズ猟を観て」を参照)。
 そうした映像を観ると、ネコ科は水が苦手という常識がぐらつく。
 しかしネコ科最大の動物であるトラは、泳ぎがうまいことで有名だ。泳いで獲物を追跡することがあるし、時には30キロ近くも泳ぐことがあるという(写真=泳ぐベンガルトラ)。



 東南アジアでは、しばしばボートに乗った住民が泳いできたトラに襲われることがある。​​

​◎オオカミだって泳ぐ​
 イヌ科も負けていない。一般には水は好きではないと思われるが、オオカミも、北米の北西海岸グレート・ベア・レインフォレストで13キロ泳いだ観察例がある。
 そうした例を見ていくと、最大の哺乳類のクジラが泳いでいるのだから、むしろ泳ぐ方が当たり前なのかもしれない。
 そして1度は陸に進出した両生類の遠い子孫の哺乳類が、再び海に戻り、そこで新たなニッチを得て様々な海獣類に適応放散したのも、納得できる。
 そうなのだ、陸棲哺乳類も泳げるのだ。

昨年の今日の日記:ネパール旅行のため休載







Last updated  2020.02.22 06:06:10



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