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2011.01.26
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kawanobu日記/肺がん治療薬イレッサ訴訟の和解案を被告の会社が拒否;真の善悪を見極めよ;ジャンル=医療問題、社会 画像1

 

 一昨日の24日、大阪の医薬品輸入会社アストラゼネカ社が、肺がん治療薬イレッサの副作用をめぐる訴訟で、東京、大阪両地裁の和解勧告を拒否し、正式判決を求めることになった。

◎副作用で末期がん患者が亡くなった--のか?
 この問題については、リブパブリはB型肝炎巨額賠償訴訟と並んで、アストラゼネカ社とともに被告になった国に対し、和解に応じず、最高裁まで争って正式な判決を得るべきだと考えるので、同社の決断はまことに当を得たことだと評価する(1月14日付日記「ボケ菅改造内閣と相も変わらぬバラマキ・ポピュリズムの再演;ジャンル=政治」を参照)。
 イレッサ問題は、重篤な肺がん患者に対して、間質性肺炎にいたる副作用のあることを表示されたうえで使用され、その結果として一部患者が副作用で亡くなったというものだ。被告は、間質性肺炎になる恐れのある副作用が4番目に書かれていて、先頭ではなかったことを根拠に、アストラゼネカ社と国を訴えた。そして和解案では、そのことに重大な過失があったとしたのである。イレッサによって(治癒したことは考えにくいが)、ともあれ延命効果のあった多くの患者のいたことは無視されている
 こうした脈絡で考えれば、延命治療に使われて副作用で亡くなったから、と裁判に訴えるのは、まさに濫訴の極みだと考える。
 東京、大阪地裁は、ただ死亡者がいるからと、アストラゼネカ社と国に賠償を受け入れる和解を勧告した。本当にイレッサが肺炎の唯一・直接の原因になったのかの吟味のほども疑わしいと言わねばならない。

◎保身医療、ドラッグラグ、新薬開発意欲の衰退など招くと学会・医療現場は反発
 しかし、これは医学界で大きな批判を浴びている。
 日本肺癌学会と日本臨床腫瘍学会も、同日、学会見解を発表し、承認後に多数の患者に使われた結果、初めて明らかになってきたデータなどを基に、承認前や承認直後の責任を問うていると問題提起している。これがまかり通るようでは、国の薬事行政が萎縮し、欧米から使用承認が3~5年も遅れる「ドラッグラグ」がさらに甚だしくなり、製薬会社の新薬開発意欲も衰退する、と指摘した。
 日常的に末期がんで多くの死を看取る現場としては、とうてい容認できないだろう
 また国立がん研究センター(写真)も、同日、記者会見を開き、嘉山孝正理事長は、「医療において不可避の副作用を認めなくなれば、すべての医療は困難になる」と指摘し、国に対して、和解に応じず判決を受けるように求めた。医療現場の当事者としては、当然の反応である。

◎B型肝炎巨額賠償訴訟の和解に所得税増税案が浮上という不条理
 行き過ぎた権利の主張が、「ワクチン後進国」という現状を招いていることに裁判所は無頓着に過ぎる。ワクチンを接種されれば、数百万人に1人程度の副作用死は避けられないかもしれないが、その接種を行わないことによって数百人の小児が病気にかかるのだ。そのことが無視されて、今日まで「後進国状況」が続いている。医療行政の萎縮、保身医療の弊害である。
 裁判での和解とは、いかにも聞こえがいいが、不透明極まる密室談合に他ならない。「遺族」と称する人々の、医療行政とがん治療を混迷に陥れる懸念のある過剰な権利主張に屈することなく、透明性のある判決を求めるのは当然だ。
 このことはB型肝炎巨額賠償訴訟も、同様であるが、不透明極まる和解受け入れで、バラマキスト民主党政権は向こう30年間で最大3兆2000億円にも達する巨額賠償の支払い財源に、所得税増税を充てようと画策している。
 安直で情緒的なマスコミは、何でもかんでも患者=被害者=善・正義を売り物にするが、ワクチン訴訟の招いた教訓を、まるで学んでいない。
 人気取り、歪んだエセヒューマニズム思潮に右顧左眄するバラマキスト民主党政権は、イレッサ訴訟については学会や医療現場の懸念と今後の薬事行政への悪影響を考慮し、判決を求める方向に傾いている。後は、ボケ菅がどう判断するか、だ。
 国民負担と医療萎縮を招くことを許すことはできない。





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Last updated  2011.01.26 06:29:30



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