ウォーレン・バフェット(写真)と言えば、アメリカの投資家・大資産家として名高いが、一方で慈善事業かとして知られる。先日発表されたアメリカの経済誌「フォーブス」の世界長者番付によると、世界2位で、資産額は756億ドルだそうだ。
◎バフェット氏率いる投資会社の株価は半世紀で約2万倍、時価総額は世界4位
一代で株式投資で、巨万の富を築いたが、強欲でない慈善事業家としての一面とその優れた投資哲学で、アメリカ国内ばかりか世界中に信奉者がいる。
バフェット氏の率いる投資会社のバークシャー・ハサウェイ(写真=ネブラスカ州オマハの本社)は、氏の投資哲学の実践の場だが、バークシャー・ハサウェイ社のパーフォーマンスが凄い。
バフェット氏が同社の経営権を握ったのは1965年だから、もう半世紀を超える。その間、同社のにバークシャー・ハサウェイの経営権を握ってから2014年現在までの約49年間、2014年までに同社の株価は1万8300倍にもなったという。かつて田舎街オマハの小さな保険会社に過ぎなかったのに、今や時価総額でも世界第4位である。
ちなみに世界1位はアップル、2位はグーグル社を抱えるアルファベット、3位はマイクロソフトである。日本最大のトヨタは30数位に過ぎない。
◎バフェット氏、掛け金100万ドルで資産運用会社と勝負
そのバフェット氏が某資産運用会社と2007年に賭けをした。
07から17年末までの10年間で、高いパーフォーマンスを挙げることで当時、ブームとなっていたヘッジファンドが、市場のベンチマークに追随するだけのパッシブ型のインダックス・ファンド以上のリターンを挙げられるかどうか、を賭けたのだ。
当時の雰囲気なら100人が100人、すべてヘッジファンド勝利に賭けただろう。ところがバフェット氏は、ヘッジファンドが負けることに賭けたのだ。その時、バフェット氏が対象に選んだのは、「バンガード500インデックス・ファンド」だった。
一方、資産運用会社は、迷うことなくヘッジファンド勝利に賭け、複数のヘッジファンドを対象に選んだ。
掛け金は、100万ドルだった。
◎まだ9カ月残すも「勝負あった」
期限は、今年末までだから、まだ帰趨は決しない。しかし体勢は勝負あった、である。
なんとヘッジファンドに賭けた資産運用会社が負けそうなのである。
昨年末時点での実績は、インデックス・ファンドが投資元本に対して、85.4%もの純収益を挙げているのに、ヘッジファンドは22%前後の純収益しか挙げられていないというのだ。この大きな差から、挽回は不可能、というのが、アメリカの投資家間での総意である。
◎手数料負けしたヘッジファンド
なぜヘッジファンドは、ただ指数に追随するだけのインデックス型に負けたのか。
前者の収益の実に60%もが運用手数料に食われていたからだ。このバカ高い運用手数料がインデックス型並みであれば、いい勝負となっていた。
ここから言えることは、資産運用に際しては、どんな好パーフォーマンスを謳おうとも、絶対に高い運用手数料のファンドを買ってはならない、ということだ。それを、「オマハの賢人」のバフェット氏は、身をもって証明している。
具体的には今、急増しているファンドラップという証券会社の「おまかせ」資産運用サービスである。こんなものに投資してはいけないことは、物の分かったファンドマネージャーなら口を揃えて指摘している。それが、急増していることは、いかに日本の個人投資家はアホか、ということだ。
◎ファンドラップを買ってはいけない理由がここにあり
ちなみにファンドラップは証券会社によって運用手数料はいろいろだが、総じて言えば、日本の手数料の安いインデックス型投信の10倍以上ある。
ファンドラップとインデックス型投信がどちらが勝てるかという賭けがあれば、僕は躊躇なく後者のインデックス型投信に賭ける。
ちなみに86歳のバフェット氏は奥さんに、自分が死んだらすべての資産をインデックス型投信にせよ、と言明しているそうだ。自分のような天才ならまだしも凡人が投資してもろくなことが無い、という厳しい見方=真理である。
昨年の今日の日記:「早期現生人類からもネアンデルタール人に遺伝子逆流;従来観よりさらに古い時期に両者の交雑があった」