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カテゴリ:経済
ペットは、生き物でなければならないのだろうか――。ソニーが1日、発表したイヌ型の家庭用ロボット「新アイボ(正式名称「aibo」)」(写真)をニュースで見て、そう考えた。06年に生産を中止した前世代のイヌ型の家庭用ロボット「AIBO」より驚くべき進歩をしていたからだ。 ◎生物ではないので面倒な世話は不要 生物なら、遺伝子を次に伝えるための生殖と個体の遺伝子を守るための代謝は不可欠である。ペット動物は、これが人間に管理されてしまっている。 aiboは、生物ではないからむろん次世代を作らない。また代謝も行わない。 これが実は、現代の愛犬家には好都合でもあるかもしれない。避妊手術を行う必要も無いし、餌は与えなくてもよい。また時には、飼い主に煩わしい散歩に連れ出す必要も無いのだ。 ロボットだから内蔵電池で動くが、電池残量が減れば、aiboは自分からチャージスタンドに歩いて行き、充電する。 ◎新アプリを開発し、新たな需要を創出できる仕掛け aiboの新奇性、革新は、愛玩犬に留まらない「仕掛け」が組み込まれていることだ。 将来開発されるだろうアプリをaiboは受け入れるのだ。 カメラとセンサーで収集した情報を、ネットワークでクラウドに集約できるので、例えば子どもや認知症の高齢者の見守り、床掃除などの簡単な作業、呼べば歩いてくる電話となるなどの可能性が開ける。ソニーは、設計や仕様を他社にも広く公開する予定で、自由な発想でアプリを開発できるようにする。 aiboは、我々が思いもよらない使い方もできるようになるかもしれない可能性を秘めている。 ソニーにとっても、aiboは新しい収益源となる期待を担う革新的商品なのだ。例えばネットワークと結び、クラウドも利用するので、本体価格の他に、3年間9万円か月額2980円の36カ月契約が必須となる。aiboが売れれば、本体以外にこれだけの収益が毎月、オンされていく。 ◎将来は巨大市場を拓く? 仮に愛玩犬以外の役割が新しいアプリで広がれば、日本だけでも1000万家庭に入り込む可能性もある。アプリによっては月の契約料の他に別の収入も期待できるから、場合によっては月に数百億円もの安定収入を得ることも夢ではない。 それは日本だけの話だが、ITの本拠のアメリカの家庭にまで入って行ければ、さらに巨額の収益源となる。 本体価格は、税別で19万8000円。電子部品の固まりだから、おそらく本体では利益が出ないだろう。プレイステーションのように、利益度外視で本体をまず普及させ、その後のソフト、すなわちアプリ利用料で稼ぐ戦略なのだろう。 発売は来年1月の予定だ。 ◎ソニー復活の新奇ヒット商品となるか この前日、ソニーは第2四半期の決算発表で、18年3月期の営業利益予想を前年同期比2.2倍となる6300億円(従来予想は5000億円)になると上方修正した。実現すれば1998年3月期を1000億円以上上回り過去最高益となる。 aiboの発表もあり、翌1日の株価は11%高の4918円となり(08年6月以来の高値)、ソニー復活を印象づけた。 昨年の今日の日記:「若者よ、スマホゲームなど止め、自己研鑽で定年時1億円の金融資産を築け;悲惨な老後を避けるために」
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Last updated
2017.11.04 06:38:12
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