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2018.01.13
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カテゴリ:生物学

 いささか旧聞に属するが、昨年11月、シベリア、サハ共和国の永久凍土層からホラアナライオンの仔の遺体が、相次いで冷凍状態で見つかったことがちょっとした話題になった。放射性炭素年代測定の結果、このホラアナライオンの仔は、4.9万年前の氷河時代に暮らしていたことが分かった(写真)。



◎ホラアナライオンの冷凍遺体の発見は初
 毛皮も残っていたので、毛並みも分かった。明るい色の毛に黒い縞と斑点の模様があるのが、現在のライオンとの違いだ(想像図)。成長すれば、寒冷地適応の結果(ベルクマンの法則)、現生のライオンよりも大型になっただろう。




 惜しかったのは、成体ではなかったことだ。成体なら、大きさや全体の姿形などでもっと多くの情報が得られただろう。
 これまでシベリアの永久凍土層から、たくさんのマンモスの遺体が見つかっているが、草食動物より個体群数が2桁は少ない肉食動物であるホラアナライオンの凍結遺体の発見は初めてだ。旧石器洞窟壁画の「聖地」西ヨーロッパでも、ホラアナライオンは壁画には描かれているが、肉や毛の残った凍結遺体の発見例はない。

◎氷河時代ヨーロッパのホラアナライオンの雄にはたてがみなし
 先に成体でなかったのが惜しかったと述べたが、成体の雄であれば、たてがみの有無を確認できた。
 というのは、旧石器時代洞窟壁画には氷河期のホラアナライオンにはたてがみが描かれていなかったからだ「12年3月12日付日記:「ショーヴェ洞窟の3D映像で氷河期ヨーロッパの旧石器洞窟壁画動物画像を観る;ジャンル=映画、考古学」を参照;写真=ショーヴェ洞窟のホラアナライオン)。ホラアナライオンの雄にはたてがみは存在しなかった、と考えられているのだ。



 氷河期ヨーロッパのホラアナライオンの雄にたてがみがなかったろうと想定されるのは、進化学的に合理的な解釈である。極寒の環境ではたてがみが呼気で凍結し、凍傷に結びくからだろう。

◎ホラアナライオンは現生のライオンとは同一種
 なおホラアナライオンは、1.1万年前頃の氷河期の終結と共に滅びたが、アフリカに現生するライオンとは同一種と見られている。
 その同一種である東アフリカと南アフリカの現生の雄ライオンには、立派なたてがみがある(写真)。これは、暖かい土地ではたてがみのある方が有利だったからだ。



 たてがみの役割は、雄が雌を引きつけることである。それについては、後で詳述する。

◎野生の雄ライオンは狩りをせず、雌のただのヒモ
 僕はライオンの雄だけになりたくないと思っているのだが、雄ライオンは、生まれて2年ほどで、生まれたプライド(群れ)から追い出される。それが雄の宿命で、放浪雄となって、生きなければならない。
 ライオンの雄は、自分では全く狩りをしない。狩りをするのは雌ライオンの役割で、獲物を倒すと、そこに雄がやって来て、獲物を倒した雌個体を追い払って独り占めしてかぶりつく。
 だから放浪雄になると、とたんに餌に困ることになる。

◎放浪の雄は群れを乗っ取るしかない
 狩りの技を母親から教えられていないので、獲物を見つけてもほぼ取り逃がす。
 自分で狩れるのは、穴居性の小型動物くらいだ。後は自然死した動物の死骸や、ハイエナなどの狩った獲物を力で横取りするしかない。人間のぐうたら亭主、乞食、物取りの類いである。実に情けない。
 放浪雄が、自らの境遇から脱するには、雌と仔のプライドを乗っ取るしかない。
 しかしプライドには、そこを仕切る雄がいる。その雄に闘いを挑み、追い払うか殺すしかプライドの主に収まる途はない。返り討ちに遭えば、大けがをする。狙い目は、盛りを過ぎた老雄だが、追い出された老雄は悲惨で、自分で狩りもできないので野垂れ死にするしかない。
 首尾良くプライドを乗っ取った若い雄は、前の雄の子どもの仔ライオンを「子殺し」し、雌を発情させて交尾し、自分の遺伝子を残す。

◎雌に気に入られるサインがたてがみ
 ただ、それでも雌の協力は不可欠で、弱い放浪雄個体はプライドの雄に闘いを挑むと、雌からも反撃を受ける。
 稀に雄が死んで雌と仔だけのプライドもある。この「主」不在のプライドには、放浪雄が群れ集うことになる。
 こうした時、雌に選択されることは必須だ。気に入られなければ、雌から必死の抵抗を受ける。
 その雌に気に入られる時のサインが、雄のたてがみなのである。

◎色の黒いたてがみが雌に好まれる
 研究によると、豊かで、色も黒に近い濃いたてがみの雄が雌に好まれることが分かっている。
 雌にとって、そのたてがみを持つ雄が、健康で強い雄のサインと受け取るのだ。念のために言っておくと、雄が本当に強くて健康なのかは問題ではない。大切なのは、雌がそう思っていることなのだ。
 この性選択が働いて、東アフリカのサバンナライオンの雄は、立派な濃い色のたてがみを蓄えるようになった。氷河期には濃いたてがみなど白い環境では目立って不利だったろうが、アフリカではクジャクの尾羽ほどのハンデにならなかったために、今のように発達したのである。
 なお、ホワイトライオンについては、14年1月20日付日記:「南部アフリカ周遊:ライオン・パーク⑥:『神の使い』ホワイトライオンはなぜ生き残れたか;ショーヴェ洞窟、氷河期、ホラアナライオン」を参照されたい。

昨年の今日の日記:「東アジア、中東外交の失敗で同盟国と冷たい関係に陥らせた史上最低の大統領オバマよ、さらば」






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Last updated  2018.01.13 05:12:25



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