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2019.11.14
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カテゴリ:社会

​ 池袋東口で時速90キロ超の爆走をして母子2人を死なせ、他に9人の通行人(同乗の妻を含む)を負傷させた飯塚幸三が、とうとう身柄拘束もなく自動車運転処罰法違反で書類だけ送検された(写真=事故とその後の実況見分に立ち会う飯塚幸三)。​





​◎恐れ入るばかりの厚顔無恥ぶり​
 事件発生以来7カ月、捜査当局は、飯塚の強弁した「ブレーキを踏んだが効かなかった」という責任転嫁を突き崩すために、「ブレーキランプは点いていなかった」という目撃者の供述集めや様々な角度からの調査を進め、最後は「アクセルとブレーキを踏み間違えた『可能性もある』」という供述を引き出した。
 飯塚の母子2人を死なせたことの責任感の乏しさを物語る一連の動きだが、身柄拘束もなかったことから、裁判でも有罪を宣告されても、身柄収監は免れる公算が大きくなった。
 88歳まで生きて、なお責任を認めない厚顔無恥には恐れ入るばかりだが、僕はたとえ80歳を超して生きられたとしても、決してこんな恥知らず老人にはなりたくない、と思う。


​◎老人支配を嫌った老人、ゴードン・チャイルドを思う​
 NHKなどメディアは、高齢老人に甘やかしすぎるのではないか。だから、周囲に迷惑や負担をかけても、彼らは恥じない。
 飯塚幸三のような恥知らず男を見ると、僕はいつも偉大な考古学者のゴードン・チャイルドの身の処し方を思い出す(06年4月11日付日記:「『老人支配』を嫌った老人がいた」(ゴードン・チャイルド伝)を参照)。老いて老害を嫌った先人が、かつていたのだ。
 ちなみにゴードン・チャイルドは、オーストラリア生まれでイギリスの大学で多くの業績を残した世界的に著名な考古学者だ。

​◎煌びやかな学者人生​
 チャイルドの学者人生は、煌びやかの一言に尽きる。ブリテン島北に浮かぶオークニー諸島の新石器時代遺跡スカラ・ブレの発掘調査を手がけ(写真=スカラ・ブレ発掘現場のチャイルド。上の写真で、現場を訪れた女性の挨拶に現場から顔を出して応えるのがチャイルド)、ヨーロッパの新石器時代観を確立したほか、若くして大著『ヨーロッパ文明の黎明』を著した。1946年にロンドン大学考古学研究所長に就き、ヨーロッパ文明の考察を積み重ね、数多くの論文・著作を残し、長く欧米考古学界をリードした。





 その業績の偉大さは、たかが工業技術院院長でしかなく、さしたる業績も残していない飯塚幸三など足下にも及ばない。

​◎権威を振りかざす老害を忌避​
 以下、当時の日記を再録してみよう。

​ ……そのチャイルドは、1956年に64歳でロンドン大をリタイアし、故郷のオーストラリアに戻った。しかし翌年10月、シドニー西郊のブルーマウンテンにある300メートルの絶壁から墜死して亡くなった。長らく不慮の事故死と見られていたが、死後10年間公表を禁じた遺書が後に公開されて、それが自死であることが明らかになった。
 衝撃的だったのは、その内容だった。
 「医学の進歩で社会が扶養しなければならない年金生活者、退職者たちの重荷に、社会はあえいでいる。彼らは若者たちを搾取している」。
 搾取者とならず働くことにすると、「若くて有能な後進の道を閉ざすことになる」。
 「65歳を越えると、肉体は衰えるばかりか、新鮮な着想を生み出せるかどうかも疑わしい」。
 「高齢者が、その知識、経験技能を世に役立たせると称して、学術団体や公共機関、慈善施設などの名誉職や相談役になるのは、老人支配に陥りがちだ。それこそ、考えられる最悪の指導形態だ​」。
 「私自身も、先史考古学にこれ以上、有益な貢献ができるとは思えない」。
 「権威を振りかざして進歩を阻害するような、古かびた相談役として、学会や研究機関にしがみついていたいと思わない」とし、最後に「社会の重荷にならないうちに生を終えようとずっと考えてきた」と結んでいる。言葉どおりに、64歳で大学を退職すると、一切の公職を退き、そのとおりに65歳で生を終えた。……​


◎胸を打つ潔さ、老人支配への批判
 人間、誰しもチャイルドのように潔く自らの運命を閉じることなどできはしない。
 しかし僕は、輝かしかった現役時の名声によりかかろうともせず、故郷に逼塞することすら恥と思ったであろうチャイルドのピリオドの打ち方に深く感銘するのだ。時として学界に蔓延る「老人支配(ジェロントクラシー)」への強い批判は、胸を打つ。
 飯塚幸三に、ゴードン・チャイルド伝を教えたいとさえ思う。​

昨年の今日の日記:「北朝鮮ならず者集団の金正恩の健康は? 韓国情報当局が立体画像を日々チェック」






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Last updated  2019.11.14 05:58:44



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