武漢肺炎はヒトの健康ばかりか、世界中の経済活動を攻撃した。その打撃の最も大きかった業種の1つは国際線を主力とするメガ航空会社であろう(写真)。世界各国が、2月頃から一斉に「国境閉鎖」に踏み切ったからだ。
◎世界のメガキャリア40社で193億ドルの巨額赤字
今年1~3月期の世界の大手航空会社約40社の決算では、実に約193億ドル、日本円換算で2兆円近い巨額赤字を計上した。リーマン・ショックのあった直後の2009年1~3月期でも赤字額は計約37億ドルだったから、その打撃の大きさは分かる。
欧米の航空会社は、政府に支援を求めるほどで、経営危機に陥る航空会社も多い。
当然に旅行業界とホテル業界も、打撃を受けている。
武漢肺炎パンデミックはこの他の業界を含めても世界の災厄だが、多少ともメリットを認めるとすれば、世界中の人の波が途絶えたことで、温暖化ガスの排出量は大幅に減少していることだ。
◎二酸化炭素排出量は激減
4月第1週の全世界の1日当たり排出量は昨年同期より17%も減った。それだけ産業活動と人の移動が妨げられたことを示す。
世界の二酸化炭素の排出量のうち運輸部門は4分の1を占める。運輸部門のうち、最大セクターは自動車だが、国際航空も世界の全排出量の1.7%を占める。これが、0に近くなったのだから、温暖化効果ガス排出量削減に大きく貢献したことは確かだ。
国際エネルギー機関の予測では、今年の温暖化ガス排出量の前年比年間下げ幅は、戦後最大の8%減というが、おそらくこれを大幅に上回り、2桁%減となるだろう。
世界の不幸の間に、地球はしばし安息の時を迎えている。
昨年の今日の日記:「探査機『はやぶさ2』の造ったクレーターのささやかさを痛感させる小惑星大衝突の形成した巨大クレーター」
追記 所用があり、本日早朝から不在にし、数日間、日記は休載します。ご了解下さい