ワクチン行政を仕切る河野規制改革相は18日、武漢肺炎ワクチンについて9月末までに接種対象者全員分を確保できる見通しを語った。訪米し、バイデン大統領と世界で初めてリアル対面会談を行った菅首相が、ファイザー社のアルベルト・ブーラCEO(写真)と直談判し、これまでに確保分に加えて全員分(1.1億人分)を供給してもらうことで話が付いたのだ。
◎相変わらずのスローだが
9月末までか――と、相変わらずのスローモーぶりにため息が出たが、それでもいつ全員に接種できるか見当もつかなかった頃よりは前進した。
しかし確保が9月末まで、ということになれば、ワクチン接種が対象者全員に行き渡るのは、年末までかかる、ということになる。
それだけ経済回復は、遅れる。しかし管首相がワクチン対応を無能きわまりない厚労省から取り上げ、河野氏に委ねたのは正解だった。厚労省任せだったら、9月末までに全員確保もできなかったのは、間違いない。
◎衆院解散と連動か
それはさておき、このニュースに接し、僕は「ははぁ、菅首相は解散を任期満了に限りなく近い9月頃まで伸ばすつもりだな」、と思った。
現在の衆院議員の任期は、10月21日までだ。菅首相にはこれまでに解散するか、任期満了選挙か、二択しか無い。任期満了選挙は、現行憲法下では三木武夫内閣だった1976年だけ(写真=菅首相と三木首相)。それだけ追い込まれた印象が強く、この時も自民党は敗北した。
菅首相も、それは避けたいはずだ。しかしこれまでも、「解散はコロナ制圧の目途がたってから」と菅首相は言い続けてきた。
◎希望が見えた9月解散がベター
それ以前なら、現在のように、いったん収束したかに見えた武漢肺炎がまたぶり返し、第4波に見舞われる懸念が強い。その時期に、解散総選挙をしたら、自民党は大敗する恐れがある。菅首相の、就任以来の支持率と自民党支持率を見れば、武漢肺炎が勢いがあり、緊急事態宣言や蔓延防止措置のとられた時は低下しているからだ。
ならば、ワクチン全員確保ができ、一般の人にも接種が始まるという希望の見えた時に解散するのがベターだ(写真=衆院解散)。それなら9月、ということになる。
さて、その通りになるかどうか。武漢肺炎の行方にも左右されるけれども。
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