注目の国政3選挙は、既に報道されているように、野党3戦全勝、自民党は北海道2区補選の不戦敗を含めて3戦全敗となった。
◎痛かった広島選挙区再選挙での惜敗
1つ1つ挙げたところでテレビや新聞報道の二番煎じに終わるから、論点を絞る。
参院長野選挙区補選は、立憲民主党の羽田雄一郎氏の死去に伴う補欠選挙だったが、実弟が出て大勝した。こちらは、長野県が元首相・羽田孜以来の「羽田王国」のうえに、雄一郎氏の「弔い選挙」の名目があり、自民にそもそも勝機はなかった。
痛かったのは、参院広島選挙区の再選挙だろう。ここは必勝をかけて自民党が県出身の経産省官僚を擁立したものの、野党共闘のフリーアナウンサー宮口治子に敗れた(写真)。
むろん再選挙のもとになったのは、大量買収で失職した自民・河井案里の穴を埋めるためだったから、自民党には大逆風だった(写真)。
◎本気で勝ちに出た岸田派
しかしここは、17年総選挙では県内7選挙区のうち6選挙区を自民が制した保守王国であり、しかも19年参院選では定数2の選挙区で広島だけ自民は議席独占を狙って2人立てた所だ。さらに、ここは昨年の自民党総裁選にも出た岸田文雄・前政調会長が県連会長も務める。岸田氏にすれば、ここで敗れれば、次の総裁選に出る資格を問われかねない、とされていた。
先に広島は、保守王国と言ったが、それは同時に「岸田王国」でもある。広島県連所属の国会議員の8人のうち6人が岸田派だ。
したがって自民党、すなわち岸田派は、総力を挙げて「勝ち」に出た(写真=候補者本人よりも岸田氏は必死)。普段なら、左うちわの選挙だったはずなのだが。
◎公明党にもショック
さらにこの選挙には、連立与党の公明党も力を入れた。次期衆院選の広島3区には、自民党の協力を得る形で斎藤鉄夫・副代表を初めて立てる。参院再選挙で自民が敗れれば、自分の選挙に自民の協力は弱まりかねないのだ。
――それが、惜敗した。
自民党と岸田氏、そして公明党にはショックだったろう。
しかし、あまり注目されないが、勝った立憲民主党も、難しい問題を抱え込んだ。
実は19年参院選挙区選挙では、立憲民主党の森本真治が他野党の推薦を受けて無所属で出馬・当選している。
◎25年の改選選挙はどうする? 立民
つまり次回、25年の改選期選挙では、定数2の選挙に森本と今回当選の宮口の2人の現職がかち合うことになる。どちらかを比例区に回すか、衆院への転出を目指させるしかない。しかし衆院は、前述のように保守王国=岸田王国である。回される方は、当選の見込みが薄いので、説得は困難だ。
調整に失敗し、2人擁立したら、19年のように自民が2人出したら、共倒れして自民に2議席独占を許しかねない。
それを考えれば、自民党にすれば4年間、議席を貸しておくつもり、なのだろうが、ただ憲法改正を目指すには改憲派で参院の3分の2を占めておきたいところ。それが、難しくなるのも事実で、それは痛いところだ。
昨年の今日の日記:「武漢肺炎パンデミックの中、スターリニスト中国は世界中に援助、プロパガンダ攻勢、しかし支援物資は不良品、そして憤激を買う要人への働きかけも」