菅首相（写真）の支持率が、最低記録を更新している。それも、例えば反菅政権の朝日だけではない。各社で、多少の差はあっても、ボトムであることは共通している。
ただ、この支持率調査結果は、菅首相にすれば織込み済みであろう。
◎支持率調査時は武漢肺炎蔓延の時
武漢肺炎パンデミックの好転が、調査時点では劇的ではないからだ。
東京、大阪の新規感染者数は、一頃よりはるかに少なくなり、大阪の場合は一昨日５月３１日は、久々に３桁を割って９８人になった。東京も２６０人と３月５日以来、３００人を下回った。
しかし各社が支持率調査をしていた頃は、いずれも７００～８００人前後で、緊急事態宣言の延長も既定視されていた。メディアの過大報道で国民の不安感が頂点に達していて、菅政権の「無策」に苛立ちをつのらせていた。
そんな時、誰であっても政権当事者は批判され、「支持しているか」と聞かれれば、とんでもない、不支持だ、と答えるに決まっている。朝日や毎日にすれば、万々歳の調査結果となるのは、目に見えている。
◎ワクチン接種の態勢整う
しかし、今、菅政権が武漢肺炎対策の切り札と位置づけるワクチンは、当初のモタモタ感を脱し、加速化している。東京、大阪の自衛隊による大規模接種センターの成功に加え（写真＝大規模接種センターの東京会場、５月３１日）、各地で大規模接種センターが立ち上がり、また大学や各職域での接種も目途がたった。
懸案の打ち手不足も、臨床検査技師や救急救命士も起用できることになり、解消に向かいつつある。
まさに菅政権、大車輪の活躍と言える。
１日からの緊急事態宣言の２０日間の延長は、今、支持率最低更新を記録するのを躊躇するより、武漢肺炎を抑え込むことが最優先、という判断だろう。抑え込みができ、うまくすれば宣言の満期前の解除に持ち込め、そうなれば当然、支持率は急回復する。
◎あと２０日足らずで摂取率３０％に
ワクチン接種の急進捗は、抑え込みに明るい見通しを抱ける材料だ。イスラエル、イギリス、アメリカなどワクチン接種先進国の例から、１回目摂取率が３０％を越えれば、新規感染者は急減する。
今、１日１％、摂取率は上昇している。そうなればあと２０日足らずで、３０％を越す。その頃、緊急事態宣言の期限だから、その前に前倒しで解除の判断もできる。
そして７月２３日の東京五輪の開幕にもっていける。菅首相の胸の中には、無観客開催どころか他スポーツ並みの入場制限５０％でオープン、という夢があるはずだ。
◎都議選勝利を演出し、五輪成功で、解散・総選挙へ
７月４日投開票の東京都議選も、当然、正常化での選挙が視野に入っているはずだ。
都議選で、都民ファーストをへこませ、前回の大敗分の半分でも取り戻せれば、勝利感を演出できる（図＝都議会勢力図）。
その後は、五輪閉幕直後の解散・総選挙である。
今の地獄は、明日への飛躍への忍の一時である。
昨年の今日の日記：「小惑星『りゅうぐう』はかつて水星より内側の軌道にあり、太陽に熱く炙られていた」
