|
カテゴリ:国内政治
先月29日に自民党総裁に選ばれ、そして4日にも新首相に就任、その日のうちに新内閣を組閣した岸田文雄氏(写真)。彼の選出は、予想どおりマーケットに歓迎されなかった。自民党4役や閣僚の顔ぶれを見て、僕もガッカリしている。 ◎株式市場は底が抜けた下げでブーイング 岸田氏のマーケットの不人気ぶりは、選出後の29日と30日、そして10月1日の株式市場が明確にした。 29日には639.67円安、翌日は小幅安に踏み留まったが、さらに1日には681.59円安と、底が抜けた。 その後も下げ止まらず、昨日6日まで8日連日下げ相場を演じている(何がマーケットから忌避されたのかは後述する)。 この間、菅前首相の総裁選不出馬の表明を受けて、新政権への待望から付けた9月14日の戻り高値3万0670.10円から、合計3000円以上の大幅安である。 スターリニスト中国の恒大問題やアメリカ・ニューヨークでのGAFAの下げ、天然ガス・原油の大幅高など、海外で悪材料はあったにしろ、それを跳ね返すどころか、ニューヨークよりも大きな下げを演じている。 岸田新政権へのマーケットの失望は明らかだ。 ◎指導者の資質か?!「人の話をよく聞く」 僕も思いは同じだ。凡庸で意外性もなく、特技と言えば「人の話をよく聞く」ことという。 またマーケットが嫌う金融所得課税の見直しを打ち出し、安倍・菅政権の新自由主義から転換も明確にしている。規制緩和の忌避、既得権益層の温存をほのめかし、どうあってもマーケットから歓迎されない政策である。 ちなみに「人の話をよく聞く」など、企業や役所の中間管理職なら必要な資質だが、一国の指導者として必ずしも好ましいものではない。誰の話もよく聞いた結果、決断まで時間がかかり、しかもその決断も足して2で割ったような中途半端なものになりがちだ。つまり思い切った決断を自分はできない、と吐露しているようなものだ。 例えば、武漢肺炎に対し、ワクチン懐疑派の厚労省はファイザーのワクチン導入を2カ月も渋りとおした。それを菅首相(当時)が押し切って早期導入、早期接種に持ち込み、ワクチンが円滑に供給されないとみるや、ファイザー社CEOに直談判して優先確保した。「人の話をよく聞く」岸田首相なら、厚労省のネガティブな説得を「よく聞き」、ワクチン接種はずっと後回しになっていたに違いない。 それだから、緊張が高まる一方の東アジアの安全保障、武漢肺炎で閉塞した社会と経済に対し、果断で有効な決断ができるのかという不安感を嫌でも引き起こす。 ◎福田康夫内閣に通じる? かつての福田康夫元首相と一緒だ。 そう言えば、岸田総裁が目玉として起用した新総務会長の当選3回の福田達夫氏(写真)は、凡庸の極みで、1年で退陣した福田康夫元首相の長男坊だ。 そんな人物を総務会長に起用したのは、波長が合ったからなのか。 ◎各社の世論調査も結果は冷ややか 世論も、冷めた歓迎ぶりである。各メディアの新政権に対する支持率も、発足直後のご祝儀のかさ上げ効果を加味しても、芳しくない。 例えば手元の6日発表の日経新聞では、岸田内閣の支持率は、2002年以降の各内閣の発足直後の支持率で下から3番目の59%だ。ワーストワンは08年の麻生内閣の53%、ワースト2はコンマ以下の微差で福田内閣の59%である(図=共同通信の世論調査で、これでは福田内閣より劣後してワースト2)。 岸田新内閣は、この系列に連なる。言うまでもなく、麻生内閣も福田内閣も、発足時の低支持率をピークにしてさらに支持率を下げ、ほぼ1年で退陣した。 再び1年の短期政権に戻る怖れは濃厚で、僕の見立てでは来年の7月の参院選までの命ではないか、と思う。 日本のためには、この凡庸な首相は早く退陣してほしい、と思う。
昨年の今日の日記:「ノーベル生理学・医学賞、C型肝炎ウイルス発見の米加の3氏、物理学賞はブラックホール解明の英独米3氏、日本人科学者は受賞を逃す」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021.10.07 05:30:09
[国内政治] カテゴリの最新記事
|