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2022/01/04(火)05:30

またまた勧められたファンドラップなるまがい物金融商品に気をつけて!

金融と投資(126)

 またファンドラップを、勧められた。昨年末だが大手証券の担当者が交代し、顔見せに現れて懇談していた間に出たものだ。 ファンドラップなるものが、比較的富裕と見られる層に人気だからだ。 ​◎証券パースンの新任時には必ず​​ その新任担当者が勧めたのは、その証券会社に預けてある僕の資産が、担当者に一目瞭然だからだ。今時、どんな証券会社でも担当者1人ひとりにiPadのようなモバイル端末を持たせている(写真)。そこから僕の口座を呼び出すと、資産一覧が現時点での時価で表示されるのだ。ガラス張りだから、「カネが無い」という言い訳は通用しない。  僕は、この道、ウン十年のセミプロだから、お勧めには、高い手数料などを例示した上、ファンドマネージャーの世話にならずとも自分で資産管理はできるから、と言って、いつものように断った。 まさに、いつものように、だ。新任挨拶の時には「必ず」勧められるからだ。証券に限らず、銀行でも。 ​◎退職金など多額の入金は銀行に筒抜け​ 営業パースンが、「これは」と狙い定めた顧客にファンドラップを勧めるのは、銀行や証券会社のリテール向けの大きな収益源となっているからだ。 銀行や証券会社には、後述するようにとっても美味しい、儲かる仕組みなのだ。 主として顧客は、大金を一気に入金できる高齢層、主に退職金を手にした人たちだ。そうした人たちは、銀行が手ぐすね引いている。 退職金は、通常、数千万円という高額だから、支払い元は必ず給与振込口座に送金する。チャリン、というカネの音がしたかのように、給与振込口座のある銀行は、必ず振り込みを察知できる。そこに、支店長なりの店舗の大物が、ファンドラップ担当の営業パースンを引き連れて自宅を訪問する。たくさんの景品を持って。 ​◎損しても補填無し、法律で禁止されているから​ そこで「プロに運用をお任せ」というセールストークに乗って、退職金を一時に預けたら、もし市況が絶好調の時だったら、高値で買わされることになる。その後、相場が調整したら、顧客は多額の含み損を抱えることになる。 損したからと言って、補填してはくれない。損失補填は、法律で禁止されているからだ。 できるのは、相場が回復して高い手数料を払ってもまだプラスになるまで待たねばならない(その間、高い手数料を払い続けなければならないのはもちろんだ。損させたからといって免除してくれない)。 銀行や証券会社が美味しい金融署品であるということは、つまりは顧客にとって旨味がない、ということだ。 それなのに、大切な大金を預ける。僕には、どうにも理解できない。 ​◎5年間で契約残高は2倍超​ 2021年6月末の契約残高は約12.2兆円と、5年で2倍超に増えた。 ファンドラップの売りは、最初に大まかな運用方針だけ担当者(ファンドマネージャー)に伝えておけば、一任勘定ですべて運用をやってくれるからだ。相手がプロの担当者だという安心感もあるに違いない。 しかし手数料は高い。預けるだけで2%弱の手数料を取られる。担当者は、顧客の大まかな投資方針からそれに合った投信などを買う。その購入手数料と信託報酬も顧客が支払う。購入手数料は1回きりだが、信託報酬は毎日必ず払う。これが1%前後ある。 つまり年に3%以上の利益が得られないと、マイナスになってしまう。 ​◎バランス型投信に負けている運用​ 預ける方は、担当者がプロだと思って安心しているかもしれないが、多くは営業マンあがりだ。別に運用のプロではない。 そんなファンドラップだから、実際のパーフォーマンスははかばかしいものではない。ぼ各社で横並びで、年利回り1~2%程度だ。ファンドラップの年3%弱という高額手数料が足を引っ張っている。​ 昨年秋に金融庁が調べたところ、ファンドラップを扱う金融機関12社のほとんどは運用効率でバランス型投信に負けている(図)。​ ​◎ファンドラップでバランス型投信という手数料二重払いも​ 運用の仕方がよく分からない、どんな金融商品を選んでよいかも分からない、というなら、何もファンドラップを選ばずとも、銀行や証券会社でバランス型投信を選べば済むことだ。 バランス型投信は、国内株、外国株、国内債券、外国債券などを一定のバランスで投資する投信だ。ファンドラップとよく似ているが、バランス型投信の費用は年1~1.5%程度で、ファンドラップの半分以下だ。うっかりすると、ファンドラップを買ったのに、運用担当者はその資金でバランス型投信を買っているだけかもしれない。それなら手数料の二重払いもいいところだ。 ちなみに真のプロである機関投資家などは、決して買ってはいけない金融商品に必ずファンドラップをトップに挙げる。彼らは自分ではもちろん、親にも絶対に買わせはしないのだ。​ 昨年の今日の日記:「日本の大学の科学研究費は世界的低水準、企業からの拠金を妨げる体質は是正しなければならない」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202101040000/​

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