3459698 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

政治、現代史、進化生物学、人類学・考古学、旅行、映画、メディアなどのブログ

政治、現代史、進化生物学、人類学・考古学、旅行、映画、メディアなどのブログ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

自費出版のリブパブリ2010

自費出版のリブパブリ2010

Keyword Search

▼キーワード検索

Freepage List

Rakuten Card

Calendar

Favorite Blog

まだ登録されていません

Comments

farr@ 相互リンク 突然のコメント、失礼いたします。 私は…
くーる31@ 相互リンク 突然のコメント、失礼いたします。 私は…
背番号のないエース0829@ 婿入り 現在井上ひさし「吉里吉里人」を読書中な…
自費出版のリブパブリ2010@ ありがとうございました。 京都ヒストリカ国際映画祭事務局さん …

Headline News

2022.01.12
XML
カテゴリ:生物学
 アメリカに有名なタイリクオオカミとは別種の野生オオカミがいるとは知らなかった。
 アメリカアカオオカミ、という。テキサス州からアメリカ東海岸にかけての主に北東部にかけて広く生息していたが、狩猟によってその範囲が徐々に狭められ、1980年には野生下での絶滅が宣言された。
​◎イエローストーン国立公園に蘇ったのハイイロオオカミ​
 実は僕は、北米大陸のオオカミと言えば、イエローストーン国立公園に導入されて野生復活したハイイロオオカミ(タイリクオオカミ、シンリンオオカミともいう)しかいないと思っていた。かつて日本にもいたオオカミは、この亜種である。
 ちなみに1990年代半ばにイエローストーン国立公園にカナダから移入されたハイイロオオカミがイエローストーン国立公園に移入されたのは、捕食者のハイイロオオカミがいなくなったために増えすぎたワピチが植生を食い荒らし、自然環境の劣化をもたらしていたからだ。ハイイロオオカミの導入で、元の環境が戻りつつあり、また競合種でやはり増えすぎていたコヨーテが適正規模に減るなど、代表的成功例とされる。
 だからシカやイノシシなどが増えすぎて植生破壊と農産物被害を減らすために、日本でもオオカミ導入の議論があり、僕はそれを本日記で何度も取り上げてきた。過去のブログ掲載例を下記に記しておく。
​◎政府保護当局の冷遇で危険な水準​
 だがアメリカ北東部にも別種のオオカミがいたのだ。それが冒頭のアメリカアカオオカミだ。
​ アメリカアカオオカミは1987年、動物園で飼育されていた8頭を野生に放つという画期的な実験が行われ、一時は100頭以上の群れを作るまでに回復した。ノースカロライナ州東部のアリゲーターリバー国立野生生物保護区(写真)、及びポコシン湖国立野生生物保護区周辺のごく狭いエリアに生息している。しかし今、野生個体は20頭程度にまで減り、野生化での絶滅が懸念されるようになっている。



 原因は、密猟とアメリカ魚類野生生物局による管理方法の変更によって、その数は再び激減することとなった。
 変更策は、ノースカロライナ州でのアメリカアカオオカミの保護地域を90%も縮小するというもので、保護地域の狭小化でアメリカアカオオカミが自動車事故に遭ったり私有地に入り込んで射殺されたりしたのだ。
 それが、このほど撤回され、また2021年春、飼育下で生まれた仔4頭をオオカミの巣穴に入れたところ、野生のオオカミが受け入れてくれたるという朗報があった。さらに、別の成体4頭も野生に戻された。ただこちらの4頭のうち、数カ月後に3頭が車にひかれて死に、4番目の個体は私有地で射殺された。

​◎動物園などでの人工飼育下で約240頭​
​ 希望の星は、現在、ノースカロライナ州に生息する小規模な野生個体群の他に、約240頭がアメリカ国内の動物園や自然センターの人工飼育下で暮らしていることだ(写真=テネシー州のリフレクション・ライディング植物園&自然センターで飼育されている個体)。これらの施設では、個体数の回復と遺伝的多様性の維持を目的とした繁殖が行われているという。





 前に、ダーウィンが発見しながら発見後半世紀もたたない1876年に絶滅してしまったフォークランドオオカミのことを書いた(18年6月30日付日記:「ダーウィンが南米大陸沖フォークランドで観た「オオカミ」の絶滅が物語る肉食獣の脆弱さ」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201806300000/を参照)。フォークランドオオカミは、完新世後に最初に絶滅したイヌ科動物だった。
 アメリカアカオオカミを、2番目の例にしないで欲しいと切に願う。

​★過去のオオカミ移入などの関連ブログ​
・18年7月27日付日記:「樺太紀行(8);雨の一日、郷土博物館の動物剥製は迫力;1世紀前、南樺太にもオオカミがいた」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201807270000/
・14年9月7日付日記:「ポーランド紀行:旧市庁舎の塔屋から観たクラクフ旧市街;追記 二ホンオオカミは大陸のオオカミと同一種」
https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201409070000/
・13年8月18日付日記:「メキシコ周遊:マヤパン『ククルカンの城』に首なし漆喰レリーフ;追記 シカ261万頭の恐怖;ジャンル=紀行」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201308180000/
・13年2月17日付日記:「ハンター『絶滅危惧』団体でシカ、イノシシが増えているが、生態学の基本を見直そう;ジャンル=動物生態学」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201302170000/
・12年10月2日付日記:「短命確定の第3次野田改造内閣とイエローストーン国立公園のオオカミ導入の成功;ジャンル=政治、生態学」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201210020000/
・11年2月5日付日記:「再論『日本の山野に野生オオカミの復活を願う』、はたして生態系を壊すのか;ジャンル=生態学」
https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201102050000/
・10年11月1日付日記「日本の山野に野生オオカミの復活を願う;オオカミと出会う日を待ち望む」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201011010000/

昨年の今日の日記:「武漢肺炎第3波で露呈した厚労省のお粗末、国民の方に顔を向けない組織は要らない!」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202101120000/​





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2022.01.12 05:27:13



© Rakuten Group, Inc.