高温の2023年、森林国カナダで史上最大規模の山火事;日本の総面積の半分が消失し、二酸化炭素の年間排出量の3倍も
先日の日記(1月21日付日記:「地球温暖化で『沸騰』した地球、産業革命前より1.48℃も高かった2023年」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202401210000/)でもちょっと触れたが、おそらく2023年は、最も山火事の規模が大きかった年となった。◎森林火災で放出された二酸化炭素量は17億トン、年間経済活動による放出量の3倍 特に森林帯国カナダの山火事は記録的で、カナダ森林火災センターによると、山火事で焼失した森林面積は18万平方キロメートルにも及ぶ。実に驚くべき被害で、ちなみにこの焼失面積は日本の面積の半分に近い(写真)。 これだけの森林が燃えたのだ。大気中に放出された二酸化炭素量も半端でなく、推計で17億トンという膨大なものとなった。ちなみにカナダが、石油や天然ガスを消費して行う経済活動で年間に放出する温暖化ガスは、二酸化炭素換算で約6億トンという。実にこの森林火災で、カナダの経済活動に伴う量の3倍もの二酸化炭素が環境中に放出されたのだ。◎世界全体で火災で森が失われるが、23年のカナダは倍以上 森林は、樹下に大量の湿った枯れ葉や枯れ枝を蓄積している。高温で乾燥した気候が続くし、水分が失われ、ハイカーのタバコ、風による樹木同士の摩擦、落雷などでどこかで火が付くと、それが導火線になり、森全体に広がっていく。 カナダの森林火災は、暑くなる4月から増え、5月には西部アルバータ州で州非常事態が宣言された。6月には東部ケベック州でも多数の山火事が発生し、人口密集地の多い州だけに多数の人々が避難を強いられた。西部ブリティッシュ・コロンビア州でも、同州史上で最大規模の森林火災が起こった(写真)。 深刻な森林火災はカナダに留まらない。20~22年の世界の年間平均焼失面積は、8.30平方キロだった(23年のカナダの山火事の規模は1カ国だけでこの倍以上になった)。◎温暖化の悪循環を阻止せよ 森林火災は、通常なら古い森林植生を火災で更新するという自然のサイクルの中でポジティブな側面がある。したがって以前は、どこの国も人家に危険が及ばない限りは積極的には消火しなかった。 しかし23年が「過去10万年で最も暑かった」(「コペルニクス気候変動サービス」副所長のサマンサ・バージェス氏)と言われるほど温暖化が進んだ今日、そうも言っていられない。いや、森林火災で二酸化炭素排出量が増えると、さらに温暖化が進む。 今や森林火災は、地球温暖化の1つの脅威になっている。昨年の今日の日記:「ヨーロッパの先進国・小国のオランダは、世界第2位の農産物輸出大国」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202301260000/