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LIFEのボヤキ ~クローン病患者ですよぅ~

LIFEのボヤキ ~クローン病患者ですよぅ~

v=治療法は?~その2~

外科治療

現在、どのような治療方法でも残念ながらクローン病を治すことはできません。
そこで治療をする側としては色々な治療方法を組み合わせて患者の全身状態と腸の 状態をできるだけ長く、よい状態を保つように努力している訳です。
クローン病に対する治療方法を大きく分けると栄養療法、薬物療法、外科療法に なります。外科療法の根本は手術によってクローン病を治すのではなく、他の 治療では治りにくい病変の箇所を切除したり、外科的に拡げたり、バイパスを 置いて一定期間病気の部分を休ませて治ってからまた元の状態に戻すとか、 化膿している部分を切開排膿することが主なことです。

すなわちクローン病が進行して起こる治りにくい部分のみを外科的に工夫して 通常に近い生活ができるように治療する部門と考えて下さい。
外科に対する偏見、すなわち手術をすると腸が短くなって食べられなくなるとか、 手術をすると再発しやすくなるとか心配されたり、そのようなことはないので 心配しないで下さい。
外科治療も最近進歩して、腸を切除しないで腸を拡げる手術や、内視鏡を用いて 狭くなっている箇所を拡げる方法も開発されております。 将来クローン病を完全に治す治療が見つかるまで、現在の治療法でがんばるしか ないと思われます。
それでは手術が必要な場合どのような手術をするのか、また再発率はどの程度なのか 等を個々に説明しています。

手術が必要な場合
クローン病が進行して腸潰瘍が深く、また周辺に拡がると潰瘍周囲には反応性に コラーゲン組織が増えてきます。そして腸壁が厚くなり腸の内腔は狭くなってきて 食物通過しにくくなり(狭窄)、最終的には内腔はなくなり食物は全く通過しなく なることがあります(閉塞)が、いったんこのような状態になるとどのような治療法 をしてもなかなか改善しません。
狭窄・閉塞共に小腸のことが多く、狭い所を食物が 通過するとき痛みが起こるだけでなく、腸での消化吸収が障害され手術が必要になります。
以前はこの部分の切除が行われていましたが、最近は切除せず小腸では狭窄部分を 拡げる狭窄形成術が行われています。これはごく狭い範囲の狭窄に対して行われ、 比較的広い範囲の狭窄には切除が一般的だと思います。

潰瘍から出血していたり潰瘍周囲に瘻孔や膿瘍があると、この手術では改善しない ので行われません。大腸の狭窄では内視鏡による狭窄拡張術が可能です。
狭窄が改善されると痛みは消失し、消化吸収機能もよくなります。強い狭窄を我慢 したり、成分栄養法だけを続行するのはあまり賛成しかねます。クローン病腸手術の 約60%はこれらの狭窄や閉塞に対して行われます。その次に多いのは瘻孔、膿瘍に 対する手術です。

腸潰瘍が進行して深くなり、腸壁を徐々に貫くと結果的に腸に穴があき、近くの 臓器の壁を貫くように進展します。このように内臓器と内臓器が交通したものを 内瘻孔、腹壁を介して腹部の皮膚に交通したものを外瘻孔とよんでいます。
内瘻では小腸~小腸、小腸~大腸、小腸~膀胱などさまざまなものがあります。 また潰瘍が腸壁を貫いたとき、接する所に臓器がないと腸間膜や腹部に膿が溜ま ってきます(膿瘍)。
これは胃潰瘍や十二指腸潰瘍で穴があいたのと同じで治りにくいものです。 瘻孔や膿瘍を作るような腸潰瘍の周囲には、通常数十cm活動性の縦走潰瘍や 狭窄が併存しております。このような病変をどのように治療するかはまず、 絶食として中心静脈栄養か成分栄養法を行います。腸を休めることにより 熱は下がり、痛み・下痢は軽快し、体重は増加していきます。

瘻孔や膿瘍がごく初期で小さいものではこれで治ってしまうかもしれませんが、 多くの場合は食事を開始すると短期間のうちに再発するか、治るのに長期間か かります。薬物では免疫抑制剤が有効であるという報告もありますが、これだけで 瘻孔や膿瘍が完全に消失することは難しいと思います。
瘻孔や膿瘍の手術はクローン病の腸の手術全体の約20%くらいです。
その他の原因による腸の手術は少ないのですが、それぞれ重要です。腸潰瘍からの 出血や潰瘍が急速に進行して、腸壁に穴があき、腸内容が腹膜腔に漏れだして 腹膜炎になることがあります。

潰瘍によって腸に穴があく穿孔もクローン病の手術の約3%くらいですが、これは 原因不明の腹膜炎として手術されることが多く、手術して初めて判断がつき、 その部分を切除します。
その他には栄養・薬物治療をしても治り難い活動性病変を切除することもあり、 また腸病変のため発育障害になっているときは手術をしないと発育の機会を逃し、 身長・体重・二次性徴の発達が遅れます。
クローン病の経過中にまれに腸癌を合併することがあり、手術になることもあります。

クローン病では肛門に痔瘻や肛門周囲膿瘍を合併することが多く、腸とは別に 外科治療が必要となります。痔瘻は治りにくく、適切な治療をしないと肛門狭窄や 複雑な痔瘻になります。

クローン病の腸病変に対する手術率は厚生省特定疾患研究班の内科の集計を 見ると発症後5年で約30%、10年で約70%くらいで、欧米に比べて低い値です。 病型で見ると、小腸型・小腸大腸型の手術率が高く、大腸型は比較的低いようです。

※薬の種類等は症状などによって違います。


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