2005/04/17(日)11:51
揺れる29歳 5 本当の理由
揺れる29歳‐4から、随分時間が経ってしまった。
「29歳。Aさん」がキャリアチェンジのために、転職を選択したい経過を、本人の了解を得ながら、記録している。
同僚のBさんにはポジションもあり、マネジメント業務を遂行しはじめているが、Aさんは、9年間フロント業務である。
「あれもやりたい。これもやりたい。」とAさんは、自分の器用さで、シゴトの「できる」を判断し、ちょっと教えてもらえれば、どんな業務もこなせる自信があった。
Aさんはソツなくこなすが、プロセスがなく、シゴトのための資料の準備・作成や、スキルアップの努力、また次の提案のための企画や考えを打ち出すことが、なかった。
与えられたシゴトを、サッとこなし、お客様に良い印象を与えること。これがAさんの仕事ぶりである。
昨年の新入社員のCちゃんは、Aさんに劣らず器用である。
のみ込みもはやく、フットワークも軽く、お客様からのウケが良い。
まさにAさんジュニアである。20歳という年齢から考えると充分である。
そんなCさんと1年間接して、仕事に対して「複雑さ」や「丁重さ」、「真摯」な姿勢より、「気安さ」や「簡単」で、シゴトをしているCさんに対して、ライバル意識を持ってしまった。
「ちょっとシゴトができるようになって、何でもできると勘違いしている。」
Aさんは、カウンセリング中に、Cさんに対して、そんなふうに思っていることを話だした。
カウンセラーにとって「傾聴」する瞬間である。Aさんは、「私も、若い頃からシゴトは、Cさん以上にはやかった」「同じ仕事で、同じ内容で」と、自分とCさんの比較をしていくAさん。
「私は、なぜ、新入社員と同じ仕事で、同じ内容で比較しているの?」彼女は、話しながら、気づいていく。
表情も曇りがちになる。
「Aさん、転職したい理由は、そのあたりでしょうか?」
Aさんは、「自分の転職したい理由なんて、気分転換のような・・・。別の場所で、自分が一番できると思われたかった。でも、話しているうちに、自分の気持ちを説明する言葉がみつかった。あのコと同じ仕事の内容がイヤなんです。あのコと同じ仕事で比較されることが、馬鹿馬鹿しい。でも9年間、そうだったんですよね。ずっと新入社員のシゴトだったんですね。自分は、そんなふうに思っていなかった。シゴトは、はやく、正確にこなせることと、接客態度の評判が、一番の評価と思っていたから、9年間同じ仕事でも、新入社員と同じと考えていなかった。」
ここから、「今後どうしたいのか、どうありたいのか」というカウンセリングへとむかう。