|
テーマ:☆留学中☆(2576)
カテゴリ:留学情報
授業3:Technologies for Language Learning and Teaching
この春学期最も受講したかった授業である。人気講座のため抽選になり半分諦めかけていたが、抽選の結果15名の枠に滑り込むことができた。この留学を叶えられたこともそうだが、自分は運に恵まれているようだ。選ばれたということは選ばれなかった者がいるということである。選ばれなかった者に対して恥じないようしっかり授業に取り組もうと心に誓った。 Week 1 Introduction & Course Overview 論文2本。 自己紹介、授業の概要、授業の進め方、成績の付け方の確認。英語学習において一番苦労したのはどのような部分かクラスで共有をした。流暢に英語を話す学生も聞いてみると言語学習で苦労をしていたことがわかった。やはり(第二)言語を獲得するという営みは楽しくもあり苦しくもある。 Week 2 Foundation1 (Theoretical and conceptual foundation of second language learning) 論文2本。 第二言語習得理論の基盤を復習した。チョムスキーやヴィゴツキー、ピアジェなど教育心理学や言語学を学ぶ際に必ず登場するであろう人物の功績とその後の研究への影響を学んだ。 Week 3 Foundation2 (How technology is used in language education- history and present) 論文4本。 この週は言語習得から離れて主にテクノロジーの進化の歴史を基礎から学んだ。特に教育場面でのテクノロジーの進化過程は論文を読んでいて大変興味深かった。 私が小学校の頃や中学校の頃に出てきたラジカセやOverhead Projectorが登場した。昔はテクノロジーが教師の補佐のような存在であったが、テクノロジーの発展とともにその存在感は増していき今ではテクノロジーと教師が協働して生徒を教えている感がある。テクノロジーによって教育のあり方が変わってきているし、教育の意義や学習内容もテクノロジーの発展と共に変わりつつある。学校という組織も知識を詰め込む場所ではなくなりつつある。暗記中心から知識活用型へ移行するためにもテクノロジーの手を借りる場面はこれから多くなってくるのだろう。WhatだけでなくHowにも重点を置くように心がけたい。 Week 4 Foundation3 (Role of Age, Gender, and Culture) 論文3本、オプションの論文1本の合計4本。 この辺りからテクノロジーを使った語学学習の文献が課題として登場する。この週は文化や性別、年齢が言語学習にどのような影響を及ぼすのか学んだ。特に環境が言語学習に与える影響はとてつもなく大きいことがわかった。臨界期仮説、児童のタブレット端末の使用頻度などのデータを見ながらテクノロジーの利点と問題点を議論した。言語学習同様、なんでもタブレット端末を早い段階から子どもに与えれば学習が促進されるというわけではないらしい。しっかり保護者や専門家による介入(intervention)があってテクノロジーの効果は発揮されるという。よく買い物中にYoutubeを見ている幼い子供を見かけることがあるが、いくらコンテンツが教育系でもinteractionがなければ十分な教育効果は得られないという。年齢だけでなくテクノロジーと関わり方が重要になるというのは今後カリキュラムを改定していく中でキーポイントとなるだろう。 Week 5 Application Edtech1 (MOOC, Flipped classrooms) 論文4本、オプションでもう2本の計6本。 1週間の間に6本論文を読み込むのは非常に辛い。しかも読んだ文献の中で興味深った研究のサマリーと自分の考えを投稿しなくてはならない。読みっぱなしで終わらないのが米国大学院の特徴だ。MOOCとはMassive Open Online Courseの略である。Flipped Classroomsは日本語では「反転学習」と訳され、従来の教師から生徒の一方通行の知識伝達型の授業ではなく、調べ学習をした学習者が教師やクラスメイトに向かって知識を共有する授業の形式を指す。授業では両者が教育のlandscapeをいかに変えていったか学んだ。また、Flipped classroomsの可能性と課題も知ることができた。なんでも反転すれば教育効果が上がるわけではないようだ。突き詰めると反転に持っていくまでには生徒との信頼と高度な教師の技量が必要になるような気がした。 Week 6 Application Edtech2 (Mobile devices) 論文3本、オプションで1本の論文、合計4本。 今週はモバイル端末を使った研究論文を合計6本読んだ。スマホ等の端末を使った言語学習をMALL(Mobile Assisted Language Learning)というらしい。調べてみるとかなりの数の論文が出版されていることがわかった。また、語彙学習に特化したアプリも開発されており、最適化できれば学習者の強い味方になることは間違いないだろう。このようなアプリは学習者のデータを集めて学習者のレベルに合った単語クイズを作り出してくれる。まさに恐るべし機械学習(machine learning)である。Neural networkを使ったAIツールは日々進化を遂げており我々人類に何をもたらしてくれるのだろうか。端末を使った学習効果を学びながらふとそのような疑問が頭に浮かんだ。 Week 7 Application Edtech3(Games &Media) 論文5本、オプションで1本の論文、合計6本。 読む量が多くとにかく毎週サバイバルゲームのようである。Gamification(ゲーム化)という用語をご存じだろうか。学習内容をゲーム化することによってタスクのエンゲージメントを高めることである。ゲーム化による学習者のモチベーション、エンゲージメント、学習効果の変化を調べた研究も出てきている。ただし、ゲーム化すると本来の学習の目的から逸脱してしまうと指摘する研究者もいる。楽しいことが必ずしも学びに直結しているわけではないのだ。 Week 8 Method 1(Assessment) 論文4本、オプションの論文1本、合計5本。 テクノロジーが評価のあり方をどう変えていったかクラス内で議論した。例えばTOEFLのCBTはパソコンを使って受験する。ライティングではパソコンにエッセイを打ち込み、スピーキングはスピーカーに音声を吹き込む。評価の場面でも音声認識機能を使った評価も行われ始めている。これからAIを使った自動採点の動きも活発になるであろう。 Week 9 Application Edtech4 (Task based designs) 論文3本。 2018年から2020年に出版された比較的新しい論文を3本読んだ。中にはコロナ禍でのオンラインタスクの実践もあり非常に興味深かった。テクノロジーとタスクの融合はまだ未開拓の領域でこれからますます研究が進む分野であろう。だが、一方でテクノロジーを使ったタスクが目的化して肝心な言語学習が置いてきぼりにならないか少し心配する声があったことも付記しておきたい。 Week 10 Application (AI and Education1) チャプターリーディング3章、論文1本。 Mitchell, M (2019)のチャプターを3章を読んだ。The Roots of Artificial Intelligenceは非常に面白かった。現在注目を浴びているAIだが、その歴史は私が思っていた以上に長く、紆余曲折を経て現在にたどり着いていることがわかった。AI winterやAI springといった転換期はテクノロジーと言語学習の関係に興味がある自分にとっては必ず押さえておかねばならぬポイントだろう。他の授業のアサイメントが膨大でじっくり読み込めなかったので後日ゆっくり読むことにしたい。 Week 11 Application (AI and Education2) 論文4本。 ここから本格的にAIと言語学習の関係を調べた論文を読み始めた。学者のAIに対する評価が様々で統一した見解がないことが非常に興味深かった。またAIを言語学習のどの段階で使うか、学習者の言語レベル、年齢や属性によってもその評価が異なることが明らかになってきた。ChatGPTなどのLLMが2022年の暮れにリリースされてからまだ日が浅いこともあり、まだ実証研究をしている段階なのであろう。これから2025年、2026年と研究データが蓄積されていくことを期待したい。そして自分もその研究を担う一人になれたら嬉しい。 Week 12 Application (AI and Education3) 論文2本。 この週はAIを言語教育に取り入れる際に生じる倫理的な問題を扱った。AIを使用する際の個人情報の扱い、剽窃の危険性、著作権は常に注意を払わなければならない問題だ。便利だからという理由だけで教育に取り入れる危険性を目の当たりにした気がする。使用する際のガイドラインのようなものを策定する必要が将来生じるだろう。 Week 13 Application (AI and Virtual Peers) 論文3本、オプションの論文1本の合計4本。 オンライン上の交流が言語学習に与える影響についてクラスで議論した。 Week 14 Method2 (Research) 論文4本。 大規模コーパス、アイトラッキングを使った研究手法を学んだ。テクノロジーの発達によって研究手法も高度になってきているようだ。これからVRを使った言語学習も盛んになる日がやってくるかもしれない。VRはアイトラッキングの技術を発展させて作り出したものだ。今後VRやアイトラッキングを使った研究も出てくるに違いない。技術的な進歩によってアクセスできるデータは増えていくことは間違いないが、最終的にそのデータを処理して解釈できるのはきっと人間だけなのであろう。ここで学んだリサーチメソッドを今後に生かしていきたいと思う。 Week 15 Final Presentations 最終課題の発表を授業中に行った。 とにかく文献が多く大変な授業であったがAを取ることができた。積極的に発言する学生がたくさんいて自分の存在感を示していくのに苦労した授業でもあった。 最後のプロジェクトではコーパスの教室現場でも活用方法を模索し、それを文章にまとめた。Duolingoをトライアルで試してその語学経験をペーパーにまとめる課題も出された。私はスペイン語と中国語の2か国語に挑戦した。30半ばでも新しい言語を学ぶとたくさんの発見と気づきがあった。この授業が終わった後もlearning steakが途切れないよう外国語の学習を継続したいと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2025.01.13 15:01:38
コメント(0) | コメントを書く
[留学情報] カテゴリの最新記事
|
|