Life*Live*Love ―*ら・り・らぶ*―

2009/03/10(火)22:37

Spring March

        一緒に研修を受けてる、あきえさんとリカコさんが、メールをくれてた。 舞華ちゃんは、東京駅まで送ってくれた。 おじいちゃんが、白いレースの布に包まれて、 今にも目を開けそうに、横たわってた。 こんなときに、あたしは風邪をひいた。 なんでこんなときなんだろう。 時間が経つと、受け入れられるようになってくる。 だめね、なぜうまく日記が書けないんだろう。 書こうと思うのに、文章にならない。 思考が半分停止していて、感覚だけ鋭くなってる感じだった。 唯一嬉しかったのは、 おじいちゃんの兄弟の方達に、 久しぶりに会えて、みんなあたしを覚えていてくれたこと。 それから、 実は、薬袋家(本家)は、名家とまでは行かないけれど、 それなりに恵まれた家庭だったらしい。 友子さん(母)と史子おねーちゃんは、意外とお嬢様だったみたいだ。 史子おねーちゃんのご主人、照幸おじちゃんが教えてくれた。 だからだったんだ… でもあたしは、どちらかと言うと『分家』扱いなので、 何かが違ってた。 あたしは、何なんだろう。 父親も母親も、恵まれた本家(父親の家系は旅館を経営らしい)のはずなのに、 どちらからも、この家だけ蚊帳の外な感じだ。 小さな頃からなんとなく感じてた疎外感を埋めてくれたのが、 博史おじいちゃんと、照幸おじちゃんだったから… あたしは、どこに拠り所があるんだろう。 あたしの居場所、どこなんだろう。 おじいちゃんがいなくなって、あたしはどこに居場所求めればいいんだろう。 3月は、咲きかけの桜の色。 桜の色は、人の血でうっすら染まった色だと、誰かが言った。 誕生と、逝去が入り混じる、桜の色の月、3月。 友子さんと、照幸おじちゃんが、生まれた月。 それから、ともあきが生まれた月。 あやのお子さん、陽菜(ひな)ちゃんの生まれた月でもある。 舞華ちゃんと、陽菜ちゃんは、生まれた日が一緒。 そして3月は、 博史おじいちゃんが、天に召された月。 ともあきが、お母様が天に召された月だと、教えてくれた。 3月は、咲きかけの桜の色。 桜の花びらは、命の色。 人の血の色。 華やかに咲いて、はらり、音もなく散る。 何度も何度も繰り返して、 桜の木は、年輪を重ねてく。 血は受け継がれていく。 博史おじいちゃん。 史子おねーちゃん、友子さん。 照幸おじちゃん。 真梨ちゃんと実梨ちゃん。 そして、私。 私は、おじいちゃんの孫で良かった…… でも、真梨ちゃんと実梨ちゃんのように、 まだ、誰かに、博史おじいちゃんの血を受け継いでいないんだ。 その劣等感は、昔からの疎外感をいっそう強くして、私の心を掻き毟った。 桜の色は、せつない色。 受け継がれていく血で、うっすら染まった色。 いつか、この疎外感や孤独感から、解放される日が、きっと来るでしょう。 ふと思ったことがありました。 私は、もしかしたら、 おじいちゃんの生まれ変わりの子を生むのかもしれません。 照幸おじちゃんが言いました。 『真梨よりも、実梨よりも、博史さんは、杏梨を大好きだったんだよ。』 だから、もしかしたら、そうなのかもしれません。

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