天使のナミダ

午後３時に、伯父さんが家に来た。

私の今の家を借りるために、下見に来ていた。

私の家の家庭製品や家具の中に、自分が使えるものを選んで、要らない物は４月の粗ゴミの日に捨てる予定だった。


部屋に上がってきて、家のあっちこっちをチェックしたりして、自分の欲しいものを置いておくようにと言われた。

すると、「冷蔵庫と洗濯機と箪笥とベッドはいるので、いくらを払えばいい？」と聞かれた。

「いらないです。どうぞ使って下さい！」と答えた。

が、「いいえ、お前には恩を借りたくないから、お金は払う」と言われた。

「本当に良いから、もしいらなかったら、後輩たちにあげるから」と気楽にさせようと思ったが、「いや、じゃ、お前のお母さんが新しい伯母さんから借りた２０００元とチャラにするから、もうお前とは関係ない」と冷たく言われた。

なんなんだろう？

人の好意をどう思っているのだろう？

「いいえ、いらないです。お母さんが借りたお金は私が帰ったら返すから」と言ったら、「じゃ、いい！もうお前の家は借りない。お前とはこれかれ縁を切る！」とドアを大きな音を立てて、出て行った。


「あなたも、一言を言わなかったら良いじゃない！」とお母さんが私を叱った。

確かにそうかもしれない。

でも、伯父さんのあの一言は心に刺さった。

恩を借りたくないって、何？

既に文くんから「あなたの伯父さんは、あなたと縁を切ると私に言ったよ」と聞いたのに、何故か伯父さんから言われたあの一言がとても辛く感じた。


縁を切ったら、すっきりするはずなのに、何故か辛くて悲しくて…

後一ヶ月で、お母さんの言われたように、無事に過ごせるようにと願っていたのに、このような結果になった。

浴室に入って、シャワーを浴びながら、一人になった。

ナミダは水と共に流して行った…


これからは、どのようにして、伯父さんと関わっていくのだろう？

後一ヶ月。

一番困っているのは、お母さん。

明日からは、お母さんと伯父さんとの兄弟関係はどうなるのだろう？

もう既に眠っていたお母さんのこころの中は、きっととてもとても辛い。

お母さんをこんな苦しくさせたくないのに、愉快な日本での生活を送って欲しいのに、今は、こんな辛い思いをさせてしまって…

私の不孝！

私のせい！

明日、新しい伯母さんを招待する約束をしていたが、来てくれるのだろうか？

それで、お母さんはどう行動するのだろうか？

憎しみ、恨みは、やめて！

何故穏やかに生活できないのだろうか？

許し合うことができれば、良かったのに…


明日も寒い。

でも、もう雪は降らないで欲しい。

暖かい明日を迎えたい。

＜終＞