2006/02/22(水)01:46
フィオナが恋していた頃 This is My Father
何気なくテレビで見ていたら、時間がたつのも忘れて見入ってしまいました。
エンドロール後も泣けてしまった。思いがけない佳作だったです。
日本題名が作品の内容と少し違和感がある。原題は「This is My Father」。「フィオナが恋していた頃 」は、ちょっとこの映画のイメージとは違う気がする。
アメリカ・イリノイ州の田舎で歴史教師をしているジェームス・カーンは、脳卒中で意識が戻らない母と暮らしてる。そんな時、屋根裏でイェーツの詩集と、若い頃の母と一人の男性の写真を見つけた。その男性は、一回も会ったことがない自分の父ではないか?と思い、アイルランドへ父の行方を探しに行く。
アイルランドの海沿いの田舎町。 1939年と現在が交互に描かれる。アイランドといえば、牧歌的な緑の風景、黒ビール、アイリッシュ音楽とダンス、スカーレット・オハラの故郷、サッカーなどのイメージだったけど、1939年のアイルランドの田舎はキツイっす。
カトリック支配の偏狭な村の人々、呪いがまかり通り、魔女みたいな人も多し。
アイルランドは第二次世界大戦の影響はなかったかもしれないけど、まるで中世だ。世界から取り残された感じ。その中で、都会の学校から退学されて帰ってきたフィオナと施設育ちの農夫・ギアレンのせつない恋愛が育つ。
孤児で施設育ちの農夫・ギアレンを演じてるエイダン・クインがよい。彼だったら私だって好きになりそう。
身体がでかくて働き者で素直な人だけど、孤児ということで村人から変人扱いされてて友達もいない。もういい年なのに女性とは全く縁がなさそう。そんな純朴な農夫・ギアレンにエイダン・クインはピッタリだった。
「彼は少し、他の人と変わってるだけだった。だけど、田舎で変人は目立つし、疎まれる」。
「田舎で変人は目立つ」というくだり、「そうなのよ~」と同感。でも1939年アイルランドの田舎は、今の私の状態よりもっともっと酷い。レベルが違う。村人は、なぜか、二人のささやかな愛までブチ壊そうとする。
カトリック司教、ヒドイ奴だ!あそこまでひどかったのか?
ただ、あまりにも、アイルランドの田舎 < ニューヨークの摩天楼 という図式なので、アメリカ賛歌すぎでは?とも思ったりもしたが、その酷さが、ラストの結果になってしまうのだろうな。
飛行機に乗って突然、砂浜に降りてくるジョン・キューザックは「ライフ」のカメラマン役だが、何のために出てきたのだろう、友情出演?と思って見てたが、後々、物語のキーポイントとなる重要な役回りだということがわかる。
あと、フィオナがグレタ・ガルボの「椿姫」を農夫・ギアレンに見せようと町に連れていくとこで「あの映画を見ると、きっと人生が変わるわ」と言っていたのが印象的。
ルドルフ・ヴァレンティノとアラ・ナジモワの「椿姫」は、どうも大げさで今いちだったのですが、グレタ・ガルボの「椿姫」見てみたいです。