●作品データ
1988年、東宝(配給)、映画「敦煌」委員会・大映(製作)
原作:
井上靖
監督:
佐藤純弥
キャスト:
趙行徳>佐藤浩一
朱王礼>西田敏行
ツルビア>中川安奈
李元昊>渡瀬恒彦
●感想ほか
いきなり古い作品だが、日本映画がまだ「大作」を作り得た時代の作品。原作は井上靖氏の傑作歴史小説である。
総制作費ン億円は伊達じゃない、荘厳なシルクロード・莫高窟のロケ、砂塵の中で繰り広げられる血なまぐさくリアルな戦闘シーン等々は、それだけでも観る価値が十二分にある。昨今のCGやワイヤーアクションばりばりのハリウッド大作もいい(自分も大好きだ)が、生でしか撮り得ない映像のリアリティや、濃厚で人間くさいドラマの醍醐味は、一度味わって見るにしくはない。
とりあえず宋時代の中国人が日本人面で日本語喋ってるのに違和感を拭えない方以外には、文句無しにオススメである。
個人的には「王礼がハマちゃんに見えたらどうしよう」という懸念が杞憂に終わった西田俊之氏の骨太な演技、運命の女(famme fatal)ツルピア王女の神秘的なまでの美しさも捨て難い。原作と違って内面描写され切っていない、流され型の主人公には、正直あまり感情移入できなかったが…
余談だが、同原作者の「おろしや国酔夢譚」もオススメ。思春期の頃これらの作品に影響を受けまくって、当時読み慣れないゴッツリとした文体に四苦八苦しながら井上氏の作品を読み漁ったのも、生温かい記憶である(苦笑)。
そういえば、最近めっきり重厚な小説を読んでいない。また原作本を読み返してみよう。
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