リニモへの支援策の報道について
2014年1月29日 リニモねっと代表 島田善規1月29日付中日新聞の報道によれば、愛知県と沿線5市は、リニモへ2014~15年度の2年間で163億円を支援し、その借金を完済する方針を固めた。建設時の借金285億円まで乗客に負担させることは困難であり、そもそも公共交通の重要さから考えて疑問があった。リニモねっとは、この方針が出たことを大歓迎し、地方財政危機の中で奔走された方々のご努力に敬意を表明したい。その上で、報道から漏れているだけかもしれないが、次の課題が残されていることを指摘する。 第1に、この支援を受けた後は、減価償却前収支は黒字になると予想されるが、設備更新のための資金を留保する余裕までは無い。これまでの留保資金も食いつぶしてきている。今開業から10年近くたち、電子機器などの更新が必要になっている。この資金をどう調達するかが大きな課題である。資産の維持を含めた長期の資金計画が説明されなければならない。 第2に、改札機などの更新にあわせてICカードシステムをどうするかの方針が、いまだに示されていない。地下鉄や名鉄と共通に利用できるマナカの導入と、その資金を含んだ経営計画が示されなければならない。 第3に、リニモ会社は誰のものか、協働のガバナンスが求められている。たとえば、経営計画などを開示し説明する仕組みが必要である。「第一次経営安定化策」の時から比べれば、「広報ながくて」などの努力は評価できる。しかし、非上場の会社の開示制度は改革が遅れており、努力だけでは不安定である。リニモは、実質的には公営の企業となる。また、いくつもの学生や市民のグループに支えられている。議会の関心も強い。これにふさわしい参画の仕組みが必要である。 第4に、財政的な支援に加えて、現在は愛知県から人材的な支援を受けている。リニモは若い会社であり、人的な支援は継続される必要がある。ちなみに役員のことを言っているのではない。「後はリニモ会社が自分でやれ」という匂いを感じる。リニモを支える責任は、行政に残る。市民・乗客も役割りを担わなければならない。都市機能を支える公共交通には、トヨタなどの企業にも協力してほしい。システム導入に関わった名鉄の責任は特に重いことを、最後に指摘する。◇藤森幹人◇もう一つ加えたい点は、リニモ沿線のまちづくりの推進と強化です。これまで多かった沿線大学生の利用も、少子化と大学都心回帰で頭打ちが見込まれるなか、早く沿線の人口を増やす必要があります。◇近藤 均◇リニモの課題として、もう一つ考えておくべき大きな課題があります。それはリニモ社員(名鉄の出向者)による約8,910万円の業務上横領の事件の決着がついていないことです。この事件が解決しないまま、リニモが財政上の支援を受けるのは、市民感覚からしても大変な違和感や不信感を覚えます。なぜならば、その損害金もある意味で税金を投入する形になるからです。未だ係争中であり、片側でこの件もしっかりウォッチしていかねばならないと思います。