3月中旬、、
変化が始まった。
いつものようにお風呂につかり、目を閉じてイメージを展開する。。
駅の階段を降り、左手のコンビニを見ながら正面の道を抜ける。
そして交差点をわたるとき、左角のレンガ作りのビル、、
1階の眼鏡店をなんの気なしに見ていると、、
なにか小さい虫のような存在に気付く、、
濃いエンジの、暗い色の壁から、窓の白っぽい反射の部分に移動して気付いたのだ。。
よく見るとそれは虫よりも遙かに小さく、
たとえるなら、100インチ以上ある液晶テレビの1ドットが欠けたよりも更に小さいものだ。
問題は、実際に白い背景ではなく、光を反射して白く見える窓ということだ。
そんな小さいモノなら、普通は光で掻き消されて見えはしない。。
立ち止まり、視点を固定して、首だけを回して視界を動かしてみる。
するとその黒い点は視界の変化と関係なく、常に左上の一点にあることがわかる。
つまりこれは、黒い小さな点が実際にそこにあるのではなく、
まさしく液晶のドット欠けのように、あたし自身の視野に存在しているということだ。
肉眼でこれが気になる人はまずいないだろう。
いや、気付く人もそうはいないのではないだろうか。
しかし物心ついたときから肉眼での視覚を超える映像を結ぶことができたあたしにとって、
これは由々しき問題だった。
それはまるで、白無垢の織物に僅かな墨が落ちても価値がなくなるように。。。
ついにこのときがきた。。
母から聞かされていた、祖母の最期と同じ現象が、
ついにあたしを蝕みだしたのだ。。。
このきわめて明瞭でほぼ万能なあたしの内的視野に出現した僅かな黒点に、
キングの小説に因んでdz(デッドゾーン)という単位を与えよう。
現在の1ドットにも満たないこの視野の欠落を1dzとし、
今後、日記の最後に現在の数値を記載することとする。。
●1dz