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カテゴリ:shadowy past
父は子供の頃に両親を亡くし、施設で育った。
奨学金で大学を出て一流企業に入社したあと、自分で会社を興して成功した、いわゆる成金だ。 でもまあ、順調に利益も上げてたのでお金はわんさかあるワケで、上流階級の人達との繋がりもちらほらとできだした。 その上流階級の中でも、相当上流な家系の娘さんが父の妻になった。 そして安もんのドラマのように、結婚には向こうの親族の反対が相当あったみたいだ。 それでも反対を押し切り、どうにか結婚にこぎ着け、すぐに長女が生まれた。 しかし父の妻は元々身体が弱く、3年後に病気で他界してしまった。。 詳しくは話してくれないが、そのことで父は先方の親戚筋にかなり責められたみたいだ。。 そして長女はすぐに先妻の兄夫婦に引き取られ、母方の姓になった。。 父の後妻、つまりあたしの母は、父が会社経営をしていたときの社員だった。 短大を卒業して、OLとして入社したのだが、なかなか優秀だったようで、父がその仕事ぶりに惚れ込み、秘書に抜擢して連れ回していたと聞く。 その後、父が会社を手放してからすぐに退社し、なぜか幼稚園の保母をしていたときに偶然再会、連絡を取り合うようになり、交際をはじめて結婚することになった。 父が36歳、母が24歳のときだ。 二人の結婚は先妻の親戚筋から、それはもう筆舌に尽くし難いとはまさにこのこと! ってくらい激しい誹謗中傷があったらしいのだが、、 先方に知れたときには既に母のお腹に愛の結晶が宿っていたため、結婚取りやめとまでは至らなかったのだ。 できちゃった婚、かなり先取りだ(笑) その、母親のお腹にいる時点ですでに愛のキューピッドとしての役割を果たしていた、生まれながらにして素晴らしき存在である愛の結晶は、 父が祭り好き野郎ゆえに、明るい女の子に育ってほしい、 そしていつまでも自分の好物である果物のように瑞々しくあってほしい、という理由から、 その水っぽい果実である「梨」の字を用いて、世界最大のお祭り、リオのカーニバルにあやかって「梨緒」と名付けられた(事実w) それから数年、、 物心ついたときから、毎月最初の日曜日、あたしたち親子3人は必ず出かけていく場所があった。 姉を引き取った先妻の兄夫婦の家だ。 後になって知ったことだが、姉の養育費を毎月届けに行っていたのだ。 そんなのどう考えても振り込みでいいと思うのだが、、 先方が、娘の今後の教育方針、先月の報告、、色々と話し合わなきゃいけないから持って来い。 と言ってきたらしい。 でもそんなのは建て前で、実際はうちの両親をネチネチといじめるのが目的だったようだ。 わざわざお金を届けにいって文句言われるってどうなの? とは思う、 しかし機嫌を損ねると「娘には会わせない」と言われるかもしれないので、 決して気の長い方じゃないパピーとママもかなり我慢してたんだろう。。 …そんな大人の話し合いが1階の居間で行われている間、あたしと姉は2階の姉の部屋で過ごしていた。 あの家に通ってたのはあたしが3~6歳のとき、姉は5歳上なので8~11歳。 両親も辛かっただろうけど、あたしもこのときのことはいまだにトラウマとして残っている。。 姉はとてつもなく怖い人だった。。 大人の前ではこれ見よがしにあたしを可愛がるが、二人きりになると急に人が変わり、陰湿な虐待が始まるのだ。。 頭を叩いたり押し倒されたりはまだ我慢できたが、 息ができなくなって死ぬんじゃないかってほどみぞおちを殴られたり、 二の腕の内側や内腿など、ちょっとつまんだだけで痛いところを血が出るまでつねられたり、 髪を燃やされたり、シャボン玉の液を飲まされたりと、、 かなり残酷な行為を無表情で淡々とやるところが怖かった。。。 泣くとよけい酷いことをされるので、声を押し殺して我慢するしかなかった。 幼いときの5歳の年齢差が、肉体的、精神的にどれほど圧倒的で絶望的か、、 当時のあたしにはなす術がなかったんだ。。。 そんなとき、姉が決まって言うのが、、 「あんたは汚いから、妾の子やから、なにをしてもええねん」 「あんたにはなにをしてもええて、お父さんもお母さんも言うとったわ」 という内容の言葉だった。 今考えると、おそらくそういうふうに親に教えられていたんだろう、、 ある意味、歪んだ教育を受けた可愛そうな人ではある。。 あの家に行くのが最後になったのは、あたしが小学生になってすぐのときだ。。。 姉はいつものようにあたしをいじめていたが、突然、 「あんた、小学生になったんやろ。なんかあった?」 と聞いてきた。 あたしが答えられないでいると、早く答えろとビンタをされたので、慌てて 「何個か漢字が書けるようになった」 と答えた。 すると姉はふ~んと言い、部屋を出て行き、しばらくして大きなハサミを持って帰ってきた。。 そして「あんたは字なんか書けんでええんや」 と言いながら、あたしの指を切ろうとした。 姉があたしの人差し指を掴んで、ハサミで何度かグイグイやってると、血がボタボタ出てきて相当痛かったのだが、 なんとか声を出さずに我慢していた。。 でも姉はその程度で指は切れないと思ったのか、今度はあたしの小指をハサミの根本の方で挟み、両手で思い切り閉じようとした。 刃が直接骨に当たるゴリっという感触がして、今までとは全然違う激痛だったので、あたしは思わず悲鳴を上げ、手を振り払った。。 するとハサミが床に落ち、姉の足に当たってしまい、逆上した姉は、ハサミを逆手に持ってあたしの顔に突き立てた。 あたしがまた悲鳴を上げたので、姉はあたしを押し倒して馬乗りになり、首を絞めてきた。 「声出すなて言うたやろ! 声出すなて言うたやろ!」 姉は叫ぶのではなく、囁くような怒声で何度も繰り返した。。 いつもの無表情とはちがい、鬼のような形相で、あたしの血が顔に点々と飛び散ってて、さすがになんとかしないと死ぬなと思ったのだが、 力では適わないので咄嗟に目をつぶって死んだふりをした。。 実際には苦しくて、身体を動かさずにいることはできなかったと思う。 だからぜんぜん死んだふりにはなっていなかったはずなのだが、、 姉も本当に殺してしまうのはまずいと思ったのかどうか、 しばらくするとあたしの首から手をはなして立ち上がったのがわかった。。 姉が部屋から出て行かないかな、、と思いつつ、 なんとか身動きしないように我慢していたが、息が苦しくて、こっそり吸おうと思ったら咳込んでしまい、思わず目を開けて身体を起こした。。 すると姉は部屋の隅で膝を抱えて座ったままこちらを凝視していた。 上目づかいでまばたきもしない視線はホントに怖くて、、 なんとか立ち上がろうと思ったが、脚にぜんぜん力が入らず、どうしても立ち上がれなかった。 下に目をやると、周りの畳がぐっしょり濡れてて、そのとき失禁していたことに初めて気付いた。。 姉は立ち上がってこちらに近づき、あたしの髪の毛を掴んで強引に立ち上がらせた。 そして 「あんた、もういらんわ」 と言って、あたしを窓の方に引きずっていき、2階から突き落とした。。 そのあとは以前書いた「ケガのコト」のとおりだ。 あたしが覚えているのはここまで。 正確には、思い出したというのが正しい。 おそらく、あまりにショックが強すぎたせいで、長い間記憶が飛んでいたんだろう。 2階から落ちたことは覚えていたが、なぜ落ちたのかを完全に思い出したのは中3のときだった。。。 このケガは完治したあとも、あたしを苦しめるコトになるのだが、、 ソレはまた今度、書いてみることにしよう。。。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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