2006/12/28(木)19:31
『マリー・アントワネット(上・下)』アントニア・フレイザー著
年明けに映画「マリー・アントワネット」が公開され
るのですけれど、どうやら神奈川県内では、上映
館がほとんどないみたいです。
今日見たら、県内上映が一気に増えてました。
わ~い!12/28
都内まで出るしかないかも。私のような出不精に
は、都内まで行くのは気合がいるのよん。
映画の公開に合わせてか、よく行く本屋さんでは、
マリー・アントワネット関連の本が平積みされてい
ました。
私は、ベルバラ以来、フランス革命系の本は、マンガ、小説、歴史書を問わず、何となく
読んでしまうのです。( ̄∇ ̄*)ゞ すごく沢山出ていますしね。
そんな訳で今回は、アントニア・フレイザーの『マリー・アントワネット(上・下)』を購入し、
本日、読み終わりました。結構、泣けました。( ̄∇ ̄;)
マリー・アントワネット関連では、今までも、ツヴァイク、遠藤周作ほか、いろいろな著者
のを読みましたが、今回のが一番、入り込みやすかったかも。
女性の見方だからなのかな、初めて等身大の女性として見れた気がします。
周囲の人の証言や書簡、記録など、出所が分かっている事柄から、マリー・アントワネ
ットの生涯を、淡々と綴っているのですけどね。
なんせ、根拠のない誹謗・中傷の嵐にさらされまくった人なので、読み物によっては、
その人物像はデフォルメどころか、人間離れした悪女に変身していたりね。
というか、そういう本の方が多いのかな。
有名な「パンがなければ、お菓子(ブリオッシュ)を食べなさい」というセリフも、マリー・
アントワネットが生まれるずっと前の時代からあった、別の人のエピソードですし…。
なぜか日本では「それが事実という認識」になっているとか。
マリー・アントワネットが、フランス革命の原因を作ったとは思えないのですね。
新しい思想が浸透して、王権が、旧体制が弱体化した時代が来ただけで。
莫大なお金のかかる宮廷生活だって従来のしきたりに則ってる訳で、10~20歳代の
新米国王夫妻が簡単に変えられるものではなかったでしょうし、絶対君主の国王・王妃
の体裁を整えるには、相応の贅沢さは必要でしょうしね。
(アメリカ独立戦争でできた赤字に比べたら、王妃の浪費なんて可愛いもんだったらし
いのです。)
革命を起こす側から見れば、団結を強めるためには、分かりやすい「悪の象徴」が必要
で、事実無根でも、評判がよりスキャンダラスで悪辣で退廃的なほど都合がよくて、
人々はそれが事実だと信じたがったという…。
意地悪です…。
若い頃は、革命軍が正義なんだろう思っていたんですけど(そういう見方の作品が多か
ったもので…( ̄∇ ̄;) )、他の選択肢がいくらでもあったのに、わざわざ血を流す方を
選ぶとは、大義名分があっても野蛮過ぎです。
そんな時代に生まれてなくて本当に良かった…。
その野蛮さに、最後まで品位と優雅さで抵抗したマリー・アントワネットはすごい!
(他のボキャブラリーはないのでしょうか…( ̄∇ ̄;) )
だからこそ、伝説になりうるのでしょうね。