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カテゴリ:本・音楽・映画のこと
ジョン・レノンの前妻シンシア・レノンの回想録です。ネットで知って興味がわいたのですが、本が出たのは2007年で既に絶版、中古品が結構なお値段でしたので、図書館で借りて読みました。 2人が出会ったのは、シンシアが19歳の時。通っていたリバプールの学校に、1歳年下のジョンが入学して来たのです。普通のティーンエイジャーがみるみる世界の大スターになるのを一番そばで見ていた「普通の人」。でも「その運命が分かっていたら、ジョンに恋したりしなかった」と。 写真の若い頃のシンシアは、ブロンドヘアの人形のようで、それはそれは可愛らしい 「世界平和を説く人が、一番身近な人々を傷つける矛盾」を何回も指摘します。そして、シンシアの立場では無理ないですが、ヨーコをよく思ってないんだろうなと端々で感じてしまう。 離婚のくだりはかなり理不尽。家を出て一切連絡が取れなくなり、離婚の話合いすら応じないジョン。数ヶ月後、ようやく話合いに来ることになるのですが、仲良しの家政婦さんと一緒に待ち構えていると、庭に現れたのは黒ずくめで異様な雰囲気のジョンとヨーコ(笑)。ピタリと寄り添うも終始無言のヨーコと何だか情緒不安定なジョン。あまりの非常識さに衝撃を受けるシンシア…。 そばにいてくれないと勇気が出なかったんでしょう。洋子さんが逃げ回るジョンを説得して連れて来たのかも。シンシア曰く「気まずい場から逃げるのはジョンの悪い癖」だそうですから。 離婚後は幼い息子と二人きり、世間から切り離されたとシンシア自身は思っていたようです。慰めに来てくれたのはポールだけだったと…。でも違うと思う。だって、シンシアのコミュニケーション能力半端ない。ビートルズ・メンバー、メンバーの歴代彼女や妻達、ジョンを含むメンバーの親兄弟・親類も皆と仲良しで付き合いが長いんです。こんなに濃いコミュニティに、後から入っていける気がしない! 苦労が多かったのは圧倒的に洋子さんですよね。世界中が敵に回ったようなバッシング。でも泣き言は言わない。弱みを見せないの。強い人だと思います。 ジョンの洋子さんへの心酔ぶりは相当なもの。風変わりな平和活動も偏見への言動も、間違いなく洋子さんの影響ですよね。それがさらなるバッシングを呼び込むという。 昔「全米トップ40」という湯川れい子さんのラジオ番組で、ショーンが生まれた数日後の洋子さんへの電話インタビューがあったのです。内容はあまり覚えてないけど、なぜか覚えているのが、 湯川さん:ジョンは今どうしてます? 洋子さん:…あの人は、ああいう人だからね(静かな口調) 湯川さん:ふんふん 湯川さんは理解したようでしたが、私には「ああいう人」とはどういう人でどうしてるのか、さっぱりでした(笑)。ただ、ご近所の母親達の会話みたいで、やや疲れた日本の中年夫婦を連想して可笑しかった(洋子さんは母と同い年…)。もうリアルタイムではなかったけど、話に聞く洋子さんの行動は日本ぽさを感じないですが、思ったより“日本人”の人なのかなと。子どものくせに生意気です。 ジョンが亡くなった後、洋子さんが「彼は私にたくさん"I love you"と言ってくれた。私ももっとたくさん言えばよかった」と言われたそうな。なんかね、どちらも可哀想で、泣きたくなるのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.01.04 14:10:07
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