「世界の秩序が変わるとき」齋藤ジン著
現在、世界で起きていることがどういう潮流のなかでの話かわかる本。
現在は「新自由主義的な世界観に支えられてきた現在のシステムに対するコンフィデンス(信任)が失われた」世界であり、当然、パラダイムチェンジが起きているというもの。
いろいろ言いたいことはあるが、スパッとわかる気がする。
民主主義 vs 権威主義(独裁)という流れで見ていて、なんでそのようなことが起きているのか、果たして、多くの人が民主主義に飽きて、権威主義をより好むようになったのか、でも、どうもそのようには理解できないと思っていた。他方、新自由主義に対する信任の喪失ということではよく理解できる。
新自由主義では、「市場を通じて世界中から自由に参加するシステムを目指すので、より平等で民主的な世界を目指す価値観」でもあった。ただ、実際に起こったことは富の寡占化であり、それに耐えられなくなった人々による反システム運動。それは、新自由主義の勝利者に対して逆流が起こっており、一方では、うまく新自由主義を享受した中国であり、他方は、すべての人の平等を求めた結果、能力主義となってしまった意識高い系に対する反感なのであろう(そこまで著者は言っていないが)。
著者が重点を置いているのは、新自由主義のパラダイムシフトの中で日本はふたたび、よいポジションにつくことができるチャンスが巡ってきているというもの。ただ、現在の政治状況でそのチャンスをつかみ取りに行けるのか、すごく不安でもある。