図書館で見つけた古い本で『諸国そばの本』という本があるのだが、その中の林順信氏の『江戸っ子の蕎麦語り』というコラムの一節に、「あつもり」についてこう書かれている。
”「あつもり」ってあるでしょ。一の谷とか湯通しとかもいう。
丼じゃない、板の上に盛って湯をかけて温める。これね、
そばの風味がモロに出るから、そば屋は怖がるんだよ。...”
【美々卯】の『うずらそば』を「あつもり」で食べることができ、それは 「
もりそばの容器ごと蒸して出て来る」 という情報を
こちらのブログを読んで知って気になっていた。
今日、都合がついたので試してみることにした。
前回の紹介文を編集:
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大阪が本店の老舗で全国に22店舗展開する【美々卯】。
昭和3年頃に発案されて現在に続く『うどんすき』が有名だし、おいしいよね。
私はずぅぅっと前に赤坂店(閉店)を宴会で使ったことがある。
漫画『美味しんぼ』第43巻(1994年2月1日初版)第7話「疑問を抱く心」の”蒸し蕎麦”の話も読んで覚えている。
最近では日経夕刊の連載「人間発見」(2008年12月1日~5日)での薩摩夘一(さつまういち)・美々卯相談役(83歳)の話がとても興味深い(後述)。
うどんのイメージが強いが、そばも力を入れていて『
『
東京五つ星の蕎麦』でも京橋店が紹介されている。
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【美々卯 京橋店】 中央区京橋3-6-4
ホームページ、
ぐるなび 、
紹介ブログ
まずは、そば前を楽しむことにした。
エビス\720、『生湯葉のお刺身』\700、『にしんの旨煮』\700。おいしいね。
『凍結酒 300ml』\720は初めてかも。シャーベット状の酒もなかなかのもの。
『そば寿司』\850、『香の物盛り合わせ』\500追加。どれもなかなかおいしい。
特に、『そば寿司』が海苔の香りが立ち込めておいしい。
そして、商標登録している『うずらそば』\700。
お品書きには 「あつもり」のことは触れられていないが、注文時に花番さんが「冷たいのにしますか?温めたのにしますか?」と尋ねてきた。
もちろん、「あつもり」で。
しばらくして運ばれてきたが、せいろの上の木蓋を直前にはずしてくれた。
もうもうと湯気が立ち上る。
おぉ、やはり、せいろごと蒸しているんだね。
【美々卯】の初代が考案し、創業当初から売り出したものだそうで、商標登録されている。
熱々のもり汁にウズラの卵2個がついているだけだけど、こんなんで登録商標になるのかな? なんて気もなくはないが...
”当時、高級料亭でしか使っていなかった高価なウズラの卵を、大衆的なそばにセットしたことで注目を集めた。
昭和初期の普通のそばは7~8銭だったが、この「うずらそば」は15銭で売られた。鶏卵ではもり汁の味を薄めてしまうことから、ウズラの卵に着眼したもの。”
だそうだ。
まずは、やはり、そばの香りが立ち込める。
卵はいっぺんに崩さずに、最初そのまま、そして1個かき混ぜ、しばらくして、もう1個もかき混ぜる。
まろやかな味わいでおいしいね。これはいいや。
花番さんたちの接客もきちんとして心地よい。
ごちそうさまでした~
以下、前回記載のものを再掲:
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ところで、東京進出の第1号店である京橋店。
地上8階、地下2階で客席は450席あまり。
「美々卯の味」は全国でぶれないように支店長会で確認し、食材の品質と接客態度も厳しくチェックし、お客様第一を忘れないように心がけているという。
日経夕刊に連載の「人間発見」に書いてあったが、ここの就業規則がすばらしい。
その第1条は、
「大阪町人道に徹し、きびしい修行鍛錬を経て、最高の芸術作品を創り上げよう」と謳っている。
ここにある「大阪町人道」とは、東京の蕎麦屋として有名な「砂場」のルーツとなる、幕末のころの大阪で大繁盛した「すなば」の精神。
この「すなば」の繁盛にあやかろうと周辺にも蕎麦屋が何軒かできたが、本家本元にはまったくかなわず客足がさっぱりだったため、当時の「すなば」の主人は、ライバル店を助けるために営業時間を縮め、世間の喝采を浴びたのだそうだ。
つまり、自分の店だけ栄えればよいという狭い了見ではなく、同業者とともに大阪の町の繁栄に貢献したい、という心を美々卯の手本としている。
その他、「もったいない精神」や「有名人より町のお客様を大事に」などの話も興味深い。
また訪れたい味・店である。
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【訪問履歴】
1回目:
2008年12月29日 『牡蠣そば』
【あつもり飲食履歴】
・
竹邑庵太郎敦盛@新橋で『あつもりそば』
※ こちらも茹でたそばをせいろに乗せて蒸している
・
西新井2丁目・小松庵で『あつもり』他
※ そばと 主食級食材(麺を除く)・副食・甘味等とのコンボ料理の一覧ページは
こちら。
※ 2020年5月20日閉店 紹介記事