車と運転免許は必需品
私の住んでいるところはアメリカの田舎なので、車は必需品だ。バスも通っていないし、タクシーも見たことが無い。車が無く、運転免許も無ければ家に引き篭もるしかない。そんな生活は真っ平御免なので、渡米する前に国際免許証を取り、アメリカに越してきてすぐ車を2台手に入れた。夫が仕事に乗って行く車と私が普段乗る車。アメリカは州によって法律が違うのだけれど、私の住んでいる州では住民として住みはじめて90日以内に州の運転免許を取らないといけないことになっている。引っ越してきて3~4週目くらいにグリーンカードが届いた。ところが、ソーシャルセキュリティーカードが届かないので、運転免許の試験は受けられないでいた。気が短い私は、夫をつついてソーシャルセキュリティーオフィスに行って見ることにした。オフィスは混んでいて、番号札を取って椅子に座って待つこと数十分。自分の持っている番号が掲示されたので窓口に行き、グリーンカードはとっくに届いているのに、ソーシャルセキュリティーカード(面倒なので以下SSC)が届いていないはどうなっているのか聞くと、コンピュータでデータを調べ私の個人情報をあっという間に見つけた。オフィスの人によると、何故か私のSSC発行がpendingになっていたが、修正したので1週間から10日くらいで郵便で届くといわれた。そして、それから1週間くらいで本当にSSCが届いた。アメリカというのは時々こういう事がある。言えば割と何でもしてくれる融通の利くところがあるが、言わなければ何もしてくれない。SSCを手に入れたので、所定の書類を持ってシェリフのオフィスに行き、運転免許の筆記試験を受けたいことを告げると、書類の確認の後すぐに試験用紙と鉛筆を手渡された。時間は無制限で、窓口前の待合室の椅子とテーブルで受ける試験。ちょっと適当な感じ。試験は選択問題で、事前にオンラインで勉強したり、テキストを読んでいたし日本の規則と似ている部分も多かったので簡単だった。その場で採点してもらい、合格したので合格証明と実技試験の検査官のリストを貰った。家に帰り、早速検査官に電話をして1週間後の予約を取った。試験は自分の車で行うので、夫に点検整備を頼んでおいた。1週間経ち実技試験の日が来たので待ち合わせの場所に行き、まずは書類の記入と車の点検をした。車の点検は簡単なもので、ライトやワイパークラクションなどの基本動作の点検だけだった。車の点検の後、早速実技試験を行った。毎日運転している自分の車でもあり、道も結構覚えてしまっていたので市街地の運転も、ステイトハイウェイの運転も簡単だった。小技についても縦列駐車のテストなども無く、バックしてみせたりするくらいだったので問題なく合格したので、書類を持ってシェリフのオフィスに行った。窓口で書類を提出すると、すぐ視力検査を行い、写真を撮り州の免許証が即日発行となった。州の運転免許証を手に入れると、アメリカという国に自分の基盤が出来たような気がして嬉しくなった。アメリカの運転免許と取って以来、今では夫の実家間での5時間の道程やモールなどに買い物に行くときも、夫の代わりに私が運転したりしている。車と運転免許は物理的にも必需品であるが、私にとっては心理的にも必需品なのだと思う。自分で好きなときに好きなところに行けるという、自由のために。