Mermaid danceマァメイド・ダンス暖炉の傍で、椅子に凭れて、淡い夢を見る。 暖かな空気に包まれて、大海原を思い出す。 幸せに満ちていた日々を…思い出す。 争うことを知らずに育った清き魂には、 異世界はあまりにも、あまりにも残酷過ぎて…。 踊るたびに、痛みが走る両足に、縛られている。 また涙、溢れ出す。 夢を見ていた。 異郷の地に、行きたくて…生きたくて。 声を失い、痛みに耐えても、夢は夢のまま。 辿り着いた理想の地は、あまりにも、遠すぎた。 少女の心は、いつの日にか、泪色に染まり、 澄んだあの海と空、くすんで、思い出だけが鮮明で…。 海の沖では、銀の糸、揺らめく。 優しく照る、月明かりの下、唄を歌うよ。 失った声で…。 声にならない、溢れた想いを。 積もる雪に、想いを重ね、涙する。 冷たい雪になりたくて。溶けたくて。 夢を見ていた。 異郷の地で、溶けたくて…消えたくて…。 声を失い、痛みに耐えてまで、生きる理由はない。 泡となり、風に吹かれ、もう消えて、亡くなれば…。 夢を見ていた。 異郷の地で、生きたくて…消えたくて…。 夢を失い、声は乾いて、想いは泡となる。 理想の地、私と共に海に沈み、泡となる…。 |