ロンドン偏食生活・偏食通信

2008/06/13(金)00:25

Romulus, my father

偏食の本棚・映画、DVD(31)

「オーストラリア・フィルム・フェスティバル」の最終回に この映画が上映されると友達に教えてもらった。 すぐにサイトをチェックしたが、本国では賞を取ったりと、 何かと有名な作品だったらしく、既にチケットは売り切れ。 あきらめられずに、あちこちに声をかけてみたけど、なしのつぶてで、 もう駄目なのかなぁ?とほとんど諦めていた前日の朝、 いつもより早く目が覚めたので、念のため確認してみた。 そしたらなんと、1席だけあいていた。 まさに私のために準備されたような席。 もちろん、すかさずゲット。 おかげで、この名作を映画館で見ることができました。ありがとう~!! これがダメだったらDVD化(されるのか?)を待つばかりだった。 さて、ストーリー。 原作は実在の学者であるレイモンド・ガイタが書いた父のバイオグラフィー。 大戦の傷跡が残るヨーロッパからオーストラリアのVictoria州に 移民してきた家族。 父、ラミュラスはテラスに置く椅子やテーブル等の 鉄細工を作っているが、貧しい。 こういうの 母は町で住み込みで働いている。 こういうの? 一人息子のレイモンドは幼いながらも、家族を助け、 学校での成績もいい。 父と兄弟のように、友達のように暮らしているところに時々 母が帰ってくるが・・・ 劇場の様子。この後満席に。初めて一番後ろの席で映画を見た 様々な描写があるので15歳以下は見れないのだけど、 映画の中ではレイモンドが母の浮気シーンを見ていた! と思ったけど、よくよく思い出してみれば、 それは廃屋に男を誘う母を壊れた壁の隙間から隠れて見ている シーンなので、カメラワークは二人を一緒に撮ることはなかった。 つまり、このシーンが別々に撮影されている可能性が極めて高く、 映画製作の現場でもやっぱり15歳以下に見せたくないシーンは 子役の俳優にも見せずに作っているのかな?と思った。 奔放で精神的に弱い母。 それさえも許し、愛し、息子を育てながら淡々と待つ父。 それはそれで妻としてはありがたい話なんだけど、 そういう男だからこそ、 思わず飛び出したくなってしまうんじゃないかな?なんて思ったりして。 彼女は町にも「夫」がいた。 その「夫」との間に娘が生まれたので、その子を引き取り、 新しい生活を始める準備をしていた寡黙な父が、 妻の自殺、その後の再婚予定の相手が既に結婚していたことを知り、 ショックで自棄になる。 オフィシャルサイトはここをクリック。 そんな両親を子供の視点で、しかし、しっかりと本質を 見つめているレイモンド。 息子は父がいるから成長できるし、父も息子がいたからやってこれた、 深く静かな家族愛がテーマ。 その父と同じ名前のワイン その中に同時に移民の移住国での人には言えない、 言ってもわからないし、そもそも誰かに言う必要のない 苦労や葛藤、適応と反発などが言葉ではなく、 シチュエーションや周りの人たちの言葉を通じて描かれている。 平凡に見える生活にも、それなりに非凡があり、 営む人は思いがけず自分の心の動きに翻弄されるが、 また、静かな毎日に戻っていくことを教えてくれた映画。 まだDVDにはなっていないようですので、上映しているのを 見かけたら、ぜひ!!

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る