ジェームズ タレル JAMES TURRELL
JAMES TURRELL Projection Works 1967-69 彼の初期の代表作「Projection Works」の大規模なEXHIBITIONに行ってきた。 またいつもの悪い癖で小手先だけの言葉を操り、ながながと彼について書いてしまったのだが、そうしている自分が、作品に対する彼の真摯な姿勢の前では、だんだん惨めになってきたので割愛する。 観る以外に、体感する以外にそれを理解する方法は無いわけであるし。 ただ少しばかり私の粗末な言葉で語らせてもらえるなら、「光」を知覚の変容させる事によって、より物理的、精神的な「光」として表現する事のできる作家である。それは簡単にいうと宗教的儀式にさえ近いとも言えるかもしれない。 建築の透明性という言葉がいわれて久しいが、これは言い換えればいかに「光」を上記の意味での「光」として扱えるかという事である。 そしてそれを体現するヘルツォーグ&ド・ムーロンあたりが最近好きな私はまだまだタレルを知るきっかけにもなった偉大なる師の影響を脱しえないひよっこであると言わざるを得ない。 私が私の意見を持ち、独り立ちできるのはいつの日だろう。 タレルがこれを作ったのは今の私と同じ年かそれよりも若かったという事実が自律神経を刺激するどころか、むなしさをより加速させる。 ちなみにこのALBIONというギャラリーを含む一連の建築物はNORMAN FOSTERの名前によって建てられたものであるが、タレルを見習って彼にもう少しの繊細さがあれば、このイギリスの酷い現代建築も変わったかもしれないと思ったのはいささか皮肉ではある。 以前ちらっと書いているのだがこの冬日本に帰国した時には直島の地中美術館に行くつもりだ。安藤忠雄とJAMUS TURRELLの組み合わせはフォスターとのそれよりも私を興奮させてくれるだろう。 ■ALBION■ 8 Hester Road.London SW11 4AX にて今月17日まで開催中。近郊の人は是非。 ■ジェームズ・タレル James TURRELL ■ 1943年米国ロサンゼルス生まれ。65年ポモナ・カレッジ卒業。65-66年カリフォルニア大学大学院で美術史を学ぶ。73年クレアモント大学院で芸術修士号取得。光と空間を扱うインスタレーションで知られ、60年代後半、ロバート・アーウィンとともに光と空間のムーヴメントを起こす。"Catso, Red"のシリーズや、対象とするものの反対側に光を当てる試みをした、90年代の「ガスワークス」や「ソフトセル」のように個々人が一人ずつ「パーセプチュアル(知覚)・アート」を体験する移動可能な部屋など、 光そのものの存在を知覚させる作品のほか、「ローデン・クレーター」に代表される大がかりなプロジェクトで噴火口を削るアースワークにも取り組んでいる。