仮面の王女、冷酷の剣
授業中、先生の話があまりにつまらないと私は妄想をはじめる。たいていはファンタジー・・・魔法あり、戦争あり、モンスターありのベタベタRPG。今日はひとつの話を作ってみた。数学の時間はとても眠いので、たいていはメモ帳に向かって妄想を書いている。そうしないと眠ってしまう。今回はそのメモの中に書いた物語のあらすじを、忘れないように書いておこうと思う。時代は・・・よくわからない。銃のない、剣で戦う時代。魔法もない、ただの小国家での物語。代々王女が国を治める、王女制国家。20歳の顔見せの儀式まで仮面を被りつづけ、素顔をさらすことはない。よって他国からは「仮面国家」といわれている。仮面王女は19歳。代々、代々、やりたい放題を尽くしてきた王女たち。食料は絞りつくし、ぜいたく品を禁止し、他国との交流も閉ざしてきた。民は飢え、国に閉じ込められ、いつかは反感をおぼえるようになった。「なぜ王女が必要なのか」と。民は立ち上がった、仮面王女を殺す計画を。20歳になり、やりたい放題する前に殺せ、と。期日は顔見せの儀式当日、仮面を取る、その無防備なときに。青年は賢かった。そして、誰よりも強かった。驚異的な身体能力、ずば抜けた才能。そして誰よりも優しい心を持っていた。そして飢えで死んでゆく親や、子どもや、老人たちを見てきた。青年はこの国が耐えられなかった。「誰かが変えなければ」・・・そう、思った。民の代表として・・・青年は、明後日、王女を殺す。王女の顔見せの儀式、前日。城はありったけの食料と、ぜいたく品を使い、祭りを開催した。飢えていた民は、こぞって食料を求めた。久しぶりの食事に涙し、酒を飲み、歌を歌い、踊りを踊った。待ちわびた、民の笑顔だった。青年はうれしかった、楽しかった。この時間がずっと続けばいいのにと思った。しかし顔見せの儀式が終わると、そうもいかない。青年は明日のため、冷酷の刃を研ぐ・・・王女を殺すために。青年は昼食を取るために祭りへと向かった。すると石畳の上に、女がひとり座っていた。不思議な格好の女だった。「どうかしたのですか?」青年は問いかけた。見返した女の顔は・・・仮面のように、表情がなかった。**************************************ベターな展開。こういうのが大好きです。学生の劇風に書いたつもり。それにしては血なまぐさい話かも。