芸を仕事とすること
テレビに出演している人。多くが芸能人、芸人と呼ばれている。 ちょっと「芸」の意味を調べてみた。 (1)習って身につけるわざ。 特に、伝統的な演劇・音楽などの、一定の型に基づく表現の仕方。 芸能。技芸。「-の道」 (2)人前で演じる特殊な技術。曲芸。 先日、まさに芸を見た。 落語家の立川 談春(たてかわ だんしゅう)さん 立川談志さんのお弟子さんである。 「25周年スペシャル独演会」が、大阪で三日間にわたって開催された。 彼のことは、昨年「情熱大陸」という番組で見た。 大阪の会場が2,000人でいっぱいになっていた。 でも番組では、彼の落語を流す時間はない。 なぜ大阪の人が、ここまで拍手を送るのかピンとこなかった。 しばらくして、友人がチケットを取ってくれた。 春から始まった全国ツアーで、大阪は既に2日間終わっている。 今回は追加公演で平日に3日間。900席近くがなんと完売だそう。 私が落語を聞くようになったのは、ここ一、二年ほど。 大阪は、いわゆる上方落語で関西弁の噺(はなし)が多い。 立川 談春さんは、東京の人で江戸っ子の話をする。 しかし不思議なことに、大阪人が押し寄せるのである。 当日の会場。周りを見渡すと年配の方が実に多い。 熟年の方が席を埋め尽くしているといった感じである。 ある意味、目の肥えた人たちが多いようにも感じる。 時間は開演18:30ぴったりに始まる。 今まで数回、他の落語家さんの独演会を見た。 最初は別の落語家さんの登場が多い。 いわゆる前座というか、場をあたためるらしい (冷やす人も多いが・・)。 しかし立川 談春さんは、最初から登場である。 大きな大きな拍手で迎えられる。 彼はよく通るいい声だあ~。 演目はふたつ。 一つ目も良かったが、二つ目の噺は圧巻であった。 多分時間は50分くらいあったと思う。 その噺には様々な登場人物が、彼によってどんどん生まれる。 ひとり芝居というには、簡単すぎるような。 彼の語る世界に引き込まれて、最後は涙であった。 舞台にあるのは屏風。 そして演台と座布団のみである。 でも芸によって場が生まれる。 彼の語った「文七元結(ぶんしちもとい)」 長い人情話だが、彼の語りに今も感動で心がじんと熱くなる。 これぞ芸だなあ~と思う。 談春さんは弟子入りして27年。 芸の強さと深さを見せてくれた。