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雨ならいいのに

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2005年02月25日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
陣痛は状況を選ばすにやってくる。

5分間隔なら、5分の休憩を挟んでまた陣痛が来る。
その繰り返しで時間が過ぎてゆく。

例えば消灯時間が来て本人は就寝したいとする。
しかし、陣痛は絶対に「眠っては」くれない。馬鹿正直に
5分間隔で訪れて、女を悶絶させてくれる。

という事は。
食事中もトイレ中も入浴中も陣痛が来るという事である。

食事中なんかに陣痛が来ようものなら、あぎゃぎゃぎゃぎゃ、
とかあいたたた、とか、ぐぎぎぎぎ、とか唸りながら
例えば天丼の海老の尻尾か何かを口から飛び出させて、
その間は箸の動きを止めて、こらえていなければ
ならないのだ。落ち着いて食べられないったら
ないんである。

とにかく25日の午後に入院してから、待てど暮らせど陣痛の
間隔が縮まってこない為「陣痛促進剤の点滴しましょう」との
判断が下り別室に連行されたのは、27日の午後の事で、
その間私はひとり病室で格闘していた訳である。

これを退屈と言わずして何が退屈であろうか。

その前に、飲み薬の方の陣痛促進剤を立て続けに5錠も
飲まされていたのだが、それでも点滴という事になったのは、
5錠飲んでも大して効かなかった、という事なんだろう。
頑固な体である。

あぎゃぎゃぎゃ、と言いながら台に上がり分娩監視装置と
いうなにやら物々しい機会をお腹にとりつけられて
かつ、点滴を打たれる。その状態でふがふが言い続け、
「あの」分娩室に移動し、引き続き点滴。
途中何度か注射を打たれる。何打ってるんだか知らないが
もう病院の連中、やりたい放題である。
陣痛の痛さで、痛さは極めて曖昧だ。

あとは本当ーに時々看護士さんが様子を身に来るものの、
もうほとんど放置プレイである。

そこからの時間が、もう非常に長かった。効果が現れ始めた
のか陣痛がぐんときつくなり、苦しい。

が、イメージしていたように、痛さで大声で泣き叫ぶ
とか、唸るとか、そんな事にはならなかった。
泣いたり唸ったりすると体力を消耗するので、疲れて
しまう。それが分かっているので、踏ん張って奥歯を
噛み締めて耐える、そんな感じだ。

この悶絶の中、唯一口をついて出てくる言葉は
「水」なのであった。

水は人間の原点である。やはり最終的に人間が行き着く先は
命繋ぐ水なのだなあ、などと妙に納得してしまった。

とにかく水~水~水~と半ばうなされるように言い続けて
いたので、看護士さんにはその声が当然聞こえていた事だろう。
が、別段それについてどうこう反応される事もなく。
先方は百戦錬磨だ。妊婦が何をしても何を言っても
余程の事でなければひかないし、驚きもしない訳だ。

何時間か経って、看護士さんが私に水をくれた。
ただの水が、何よりも美味しい。
この水の味は、一生忘れないだろう。

陣痛が怒涛のように襲ってくるようになって何時間か
経過して、夜になった頃、急に大きな塊の存在感を
なにやらリアルに感じるようになった。胎児が
下に下りてきている感覚が、しっかりと伝わってくる。

そうなると、もう物凄くいきみたくなる訳だ。

ちなみに、とにかくもう猛烈にいきみたくなるのだが、
子宮口が全開にならぬうちにそれをやってしまうとアソコが
切れてしまう為、全開にならぬうちは、そのいきみを
我慢しなければならない。(が、私は我慢しきれず
いきんでしまった為、少しだけ切れてしまった)

いきみたいと思ってはたと気付いた。やはり胎児を産み
落とす感覚というのは、排便の感覚そのものである。
今振り返り冷静に考えてみても、やはりあれは排便としか
言いようがない。

断言してしまおう。出産は大袈裟な排便である、と。

いきんではいけないのにも関わらずいきんでしまってからは
割りに早かった。自動的に体がいきんでしまう、という
感じに近く、何度かいきんだ瞬間、すぽんと胎児が
出てきた。

うんぎゃ~あんぎゃ~ふんにゃ~。

その瞬間、感動は特になかったと言っていい。
そう、これも予想したのと違っていた所のひとつだ。
感動するには、まだまだ実感がなさ過ぎたのである。
実感は後からやってくる。かなり後に。

後産で今まで10ヶ月頑張って瞳に栄養を与え続けてくれた
胎盤を娩出する。

ほ~ら見て、こんなに大きな胎盤!と女性のベテラン
看護士さんが言った。本当だ。おっきいねえ。まあ、
赤ちゃんが大きいから胎盤も大きいんでしょう、と
担当医師も言う。

この2人が良かった。2人共ふくよかで例えるならば
ハンプティーダンプティーのようだ。2人の醸し出す雰
囲気がその体型もあいまって、大らかで温かい。
そして押し付けがましさがない。

会陰切開をした部分と切れてしまった部分をちくちくと
縫われる。麻酔注射をされたが、産みの苦しみを味わった
後ではその痛みはどうという事もない。

陰部を縫われながら股を広げっぱなしの凄い格好で
他愛ない世間話をする。いいお産ですよ、これは。
大きな赤ちゃんだったし、自慢できますよ~
いやーそうですか?あはは、みたいな。このシュールさ。
またなかなか味わえぬ、オツな体験である。

私は、立会い出産は望まなかった。

男に男の世界があるように、女には女の世界がある。
ここは女の聖域であるような気がしたし、また女の私の
頑張り時、晴れ舞台だと思った。頑張り時には、ひとりで
いたい。晴れ舞台にはひとりで立ちたかったのだった。

夫に御苦労様、良く頑張ったねと、キスをもらう。
それだけでもう、充分だ。

ちなみに。朦朧としつつ見せてもらった胎盤は、
本当に大きくレバーみたいなのであった。





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最終更新日  2005年02月25日 19時59分44秒
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