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[Stockholm syndrome]...be no-w-here

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2018.04.03
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最終回は、世界的に有名な2つの「秘密結社」に焦点を当てて、ファントムハイヴ家とヴィクトリア女王との関係に迫ってみたい。


テンプル騎士団を語る上で、避けて通れないのが『フリーメイソン』だろう。
(「メイソン」というのは会員個人を指す表現で、組織に対しては「フリーメイソンリー」を使うのが正式らしい)
「秘密結社」故に、その活動内容は不明だが、彼らの真の目的が「イエスの血脈を護る」事だというのは、よく知られた(噂)話だ。
そして、スコットランドは、そのメイソンリー発祥の地である。

騎士団の初代総長ユーグ・ド・パイヤンの妻がシンクレア家出身だった事から、両者の縁が生まれたようだ。
であれば、スコットランドへ渡った一行が、騎士団の中心的立場にあった者達と考えて差し支えないだろう。
そして、その中にイエスの子孫がいたとしても不思議は無い。

更に、ファントムハイヴ家が「悪の貴族」と呼ばれ、裏社会に精通しているのであれば、スコットランドを拠点とするフリーメイソンリーと何らかの繋がりがあっても可笑しくはない。
場合によっては、ファントムハイヴ家がその中心的存在という可能性もある。
彼らが、ステュワート家やシンクレア家(ロスリン家)と関係があるなら尚更だ。



一方、フリーメイソンリーと並んで有名な秘密結社が『イルミナティ』だろう。
この組織の主導者は、ドイツの哲学者アダム・ヴァイスハウプト(1748年-1830年)だ。

元々、カトリックの修道会「イエズス会」系の学校で学んでいた彼は、やがてキリスト教を批判する立場に身を置くようになる。
その後、「Perfektibilismus(人類の倫理的完成可能説)」を提唱し、1776年にイルミナティを立ち上げた。
(ただし、当初は秘密結社ではなかったようだ)

ヴァイスハウプトの思想の中核は「理性」の絶対化にある。
キリスト教会の教条に捉われず、「理性」を唯一の指針として「全人類の変革」を目指した。

そんな彼が組織の行動網領として掲げたのは、以下の5項目。

・すべての既成政府の廃絶
・私有財産と遺産相続の撤廃
・愛国心と民族意識の根絶
・家族制度と結婚制度の撤廃
・すべての宗教の撤廃

そして、最終的には、知的能力を実証された人間達(=イルミナティ)が統括運営する「世界統一政府」を生み出す事を目的とした。

当然ながら、彼の極端な啓蒙思想と政治イデオロギーは、体制側から危険視される。
加えて、その過激なキリスト教批判が、ある一つの疑惑を生む。

それが「ルシフェル(ルシファー)信仰」だ。
「イルミナティ」とは「光を掲げる者」という意味だが、これが「ルシフェル」を指していると言われる。
「ルシフェル」の語源は、明けの明星を指すラテン語で、「光をもたらす者」という意味があるからだ。

この「ルシフェル信仰」はヴァイスハウプト独自の思想ではなく、その起源は2世紀に興るキリスト教の一派、グノーシス主義にまで遡る事ができる。
グノーシス主義は「全知全能の神が創造したはずなのに、何故この世界はこんなにも悲しみや苦しみで満ちているのか…?」という疑問から生まれた勢力だ。

やがて、彼らは「神ヤハウェこそが悪魔である」という結論に至る。
(ヤハウェは、自身が「偽の神」であり、本当は別に「真の神」がいる事を人間に隠している)
そして、反逆者ルシフェルのもたらす「光」こそが、真の意味での啓蒙であると考えた。
「啓蒙」とは、無知の人間を啓発し、正しい知識に導くという意味だ。

実は、旧約聖書の物語も、このグノーシス主義の考え方を裏付けている。

神は、アダムとイヴを無知のままにしておく事を望み、2人に「知恵」の実を食べさせなかった。
しかし、ルシフェルが蛇に姿を変えて現れ、アダムとイヴに知恵の「光」を与えた。

それはちょうど、ギリシャ神話において、プロメテウスが人類に文明をもたらすため、ゼウスの意に逆らって天上の火を盗んだのと同じ意味合いを持つ。
ルシフェルも、神の意に逆らって人間に叡智を与え(=啓蒙し)たのだ。

このように、グノーシス主義のキリスト教徒達は、この世界を創造した神こそが「悪」であり、ルシフェルは人間の味方となって、神が隠匿している知恵を人間に明かすため、神に抵抗したと考えた。
「善」と「悪」が完全に逆転しているのだ。
(ルシフェル信仰では、イエスを遣わしたのは神ではなくルシフェルとされている)

この点において、ルシフェルは確かに人間を「啓蒙」する存在であり、ヴァイスハウプトの思想とも合致する。
それ故、彼らは「ルシフェリアン(ルシフェル信徒)」と呼ばれる。
「ルシフェリアン」は、厳密に言えば「サタニスト(悪魔崇拝者)」とは違うのだが、「ルシフェル=サタン」である以上、どこで線引きするかは難しい所だろう。

当然、グノーシス主義の考えは異端中の異端とされ、徹底的に弾圧された。
それはイルミナティとて例外ではない。

1785年、バイエルン選帝侯はイルミナティの解散を命じ、ローマ教皇は彼らを異端認定した。
それに伴い、政府も会員の公職追放や投獄などの弾圧措置をとり、イルミナティの活動は僅か10年足らずで瓦解した。

居場所を失ったヴァイスハウプトは亡命を余儀なくされ、ザクセン=ゴータ=アルテンブルク公国の公爵エルネスト2世の庇護を受ける。
公爵はヴァイスハウプトの支持者であり、自身もイルミナティに入会していた。
ヴァイスハウプトは執筆活動をしながら、同国内の都市ゴータで余生を過ごしたという。

やがて、アルテンブルク公家が断絶すると、その領地はザクセン=コーブルク=ザールフェルト公のエルンスト1世が引き継ぎ、ザクセン=コーブルク=ゴータ公と改めた。
このエルンスト1世の息子こそ、後にヴィクトリア女王の夫となるアルバートその人である。
ヴァイスハウプトの没年は1830年なので、1819年生まれのアルバートと面識があっても可笑しくは無い。

では、もしアルバートが彼の思想に影響を受けていたとしたら、そして密かにイルミナティの会員になっていたとしたら…。
妻であるヴィクトリアが何らかの形でイルミナティと関わっていた可能性はかなり高くなる。
実際、現女王のエリザベス2世はイルミナティの幹部だという都市伝説もある位だ。

更には、もし彼らがルシフェリアン、延いてはサタニストであった場合、ヴィクトリア女王自身が「悪魔との契約者」という可能性も出て来る。
となると、ジョン・ブラウンは死神ではなく、実は「悪魔」…?

もしかすると、ヴィクトリア女王の銃撃事件やアルバートの死、そしてファントムハイヴ邸襲撃事件には、もっと驚くべき陰謀が隠されているのかも知れない…。


いずれにせよ、これでアルバートを介して、ファントムハイヴ家とヴィクトリア女王が繋がった。
そして、両者の関係には様々な対立軸が内包されている。
ファントムハイヴ家内では、「兄シエル vs. 弟シエル」という別の対立軸も絡む。
更に、そのいずれもが「光と闇」「表と裏」「善と悪」の両面を併せ持つという複雑な構図だ。

しかも、その複雑さに拍車を掛ける話が、もう一つある。
実は、ヴァイスハウプトは1777年にフリーメイソンリーにも入会しており、メイソンの中にはイルミナティの会員を兼任している者が何人もいるのだ。
(現在のメイソンリーを裏で操っているのは、イルミナティのメンバーという噂もある)
メイソンリーとイルミナティの線引きは、実際はかなり難しいと言える。

「米国1ドル札」に隠された秘密

・ANNUIT COEPTIS …「計画に同意せよ」
・NOVUS ORDO SECLORUM …「新世界秩序(=世界統一政府)」
・ピラミッドの目 …「プロビデンスの目(=メイソンリー及びイルミナティのシンボルマーク)」
・六芒星 …「MASON」の文字

ファントムハイヴ家がイルミナティという可能性も、当然ある。
「シリウス」はルシフェルを象徴する星と言われる事もあり、仮に双子の名前が「シエル(天)」と「リュミエール(光)」だった場合、2人の名前に込められた意味は「ルシフェル=イルミナティ」となるからだ。

つまり、展開次第では、ファントムハイヴ家と英国王室の立ち位置が、完全に入れ替わってしまう可能性がある。
加えて、ルシフェルと大天使ミカエルが元々は「双子」という説もあり、これはシエル達の兄弟間の戦いも示唆しているようにも思える。
(一般的には、ルシフェルが「兄」と言われているようだ)

果たして、誰が「正しく」、誰が「罪」なのか…。
本当に「罰」を受けるべきは誰なのか…。

うーん、ややこしい…(笑)。


ルカ・ジョルダーノ作『大天使ミカエルと叛逆天使達』


ただ、まあ、ここまで読んで来た誰もが思ったであろう「イエスの末裔が、そんなに人を殺してて良いのか…?」という疑問はやはり僕も感じており(笑)、だからこその「余興」だと思って欲しい。
解消されない疑問や矛盾もまだ残っているし、何より物語のスケールが長大になり過ぎる。
歴史は謎に満ちているだけに、こうしたミステリーは幾らでも作り出せるのだろう。
(キリストの墓が青森県にあるとか、坂本龍馬がロスリン教会を訪れた…、なんて都市伝説もあるようだ…笑)

しかし、知らなかったとは言え、「神の子」の末裔が「悪魔」と契約して復讐を成し遂げようとするなんて、これほど絶望的で皮肉なシチュエーションも無いだろう。
悪魔でなくとも笑わずにはいられない。
最高に悲劇的で、最悪に喜劇的だ。

という訳で、【黒執事】に関する僕の考察は、本当にこれで打ち止め。
さすがに、これ以上面白いシナリオは、もう僕の才能では思い付けない(笑)。
後は、作者の枢やなに委ねるとしよう。


「イエス、マイ・ロード
 全ては、貴方の御心のままに…」





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Last updated  2021.02.27 20:22:30
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