362706 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

☆じゃんきー☆のあふぉな日々(´ロ`;)ノ

☆じゃんきー☆のあふぉな日々(´ロ`;)ノ

『SILENT☆ANGEL』 13

雪村は意識を失った。そして加藤の指示に従い担ぎ上げるリー
。加藤はおびえる美奈の手を引き連れ出すのだった。
車で移動する間も雪村は目を覚まさない。それほどりーのパン
チは強烈なものがあった。

激しい頭痛に襲われ気がついた雪村、イスに縛られ自由が利か
ない。

タバコを悠然とくゆらせソファに腰掛けた加藤「気がついたよ
うだな・・・」

雪村はもがきながらも声を振り絞る「俺をどうする気だ」

加藤はにやけて言う「なぁに、しばらくおとなしくしていて
もらうだけだよ。このヤマが片付くまでの辛抱だ。殺しゃしね
ーよ、安心しな」雪村のトナリのイスには美奈が縛られている
。「彼女を離してくれ」雪村は懇願した「そうはいかねぇ。こ
の女は大事な担保なんだよ。まぁオヤジが出てこねー場合は、
この女を沈めるつもりなんでな。離すわけにはいかねーんだよ
」雪村はカッとなった「どういうことだ!!」



加藤は新しいタバコに火をつけ面倒くさそうに言い放つ「いち
いちうるせーな。まぁいい、俺はおしゃべりが好きなんでな。
教えてやろう。コイツのオヤジが悪徳金融から借金したんだが
、スグにいっぱいいっぱいになって飛んじまいやがった。ま、
そういうわけなんでこの女には万が一の時の穴埋めになっても
らおうっちゅーわけだ」

「いくら借りたんだ?」

「5万だな」

「俺が払う!」

加藤は立ち上がって雪村の胸倉をつかみすごんだ「ほう、それ
は豪気なことだな。しかしオヤジが飛んじまって、その間に利
息が膨らんじまって今の時点で元本・利息込みで540万って
とこだな。おめーが耳そろえて払ってくれるってーんなら今す
ぐ解放してやるぜ」

雪村は訳がわからない「は?なんで5万が500万になるんだ
!あんたらどんな利息取ってんだよ!そんなヤクザみたいなや
り口をしてなんとも思わないのか!!」

「ほう・・・今頃気づいたのか?最近のシロートさんは鈍い
ねぇ・・・俺たちゃ、どっから見てもヤクザだろーがよ!!は
っはっはっは」

「・・・・・父親はもう戻ってこないだろう・・・彼女をど
うする気だ」

加藤は雪村の頬に張り手を見舞った「さっきから言ってるだ
ろーが、女を沈めるっつーのは組の傘下のフーゾク店に売り飛
ばすってことだよ!」

「助けてやってくれ、お願いだ。彼女は耳が聞こえないしし
ゃべれない。頼む」雪村は必死だ。

「そんなこたぁ知ってるよ。だからどうした?ん?まぁ、安
心しな、俺んとこは上流階級の客ばっかだ。元さえ取りもどし
ゃ、あとはカネ貯めて店でも何でも出させてやるさ。お前の世
話になるよりゃずっと幸せな人生をおくらせてやるぜ。ふふふ


「や、やめてくれ!」雪村はどうしていいのかわからなくな
ってしまった、しかし美奈を何とかして救わなければと必死に
考える。

「いつまでも保護者面してんじゃねーよオメーは所詮この女
の為に何にもしてやるこたぁできねーんだよ」

「私は牧師だ!そんな人の道に外れた行為を見過ごすことは
できない!!」

加藤の表情が変わる。この男は弱い者を追い込むのが快感に
なってしまっている。「牧師だぁ?そいつは面白い。説教でも
たれるってーのか?」

雪村は必死に訴えた「私にチャンスをくれ!牧師としての・
・・」

加藤の顔が弱い者をいたぶる快感で恍惚にあふれていた「言
ってみろ」

「私と勝負をしてほしい。もし私が勝ったら、彼女を解放し
て借金も棒引きにしてほしい。負ければ全ての負債は私が負う
。だから彼女は解放してくれ」

「結局、オンナは手放せってことじゃねーかよ。このヤロー


苛立ちながらタバコをもみ消し雪村の椅子を蹴飛ばす加藤

「・・・・くそったれ牧師が!・・・まぁいいだろう。俺は
そういう無謀なヤローが結構好きでな。お前にチャンスをやろ
う!そのかわりお前が負ければ生命はないぞ!いいな!!」

雪村はホッと安堵の表情を浮かべる「ありがとう加藤さん」

「フンっ、こんなチンケなヤマはとっとと片づけるもんだ。
今の俺がチャンスをやったのはただの好奇心だ。勘違いするな
よ。で、勝負は・・・・・そうだな、腕相撲・・・コレでいこ
う!」

「腕相撲か・・・いいだろう」

「もちろん相手は・・・・世界最強の男!サージェント・リ
ーだ!」

「・・・わかった・・・」いいつつリーを見る雪村、どうあ
がいても勝ち目はない相手だ。

加藤は余裕の笑みを浮かべる「お前は勝てはしない・・・絶
対にな」

「早くヒモをほどけ」と言いながら雪村は心の中で神に祈っ
た。
「神よこの不幸な少女を救いたまえ」

加藤はリーに雪村の紐を解くように言った。リーは力任せにヒ
モを引きちぎった。

「彼女も頼む」加藤は冷たく言い放つ「勝ってからにしろ」

リーは腕ぶす、テーブルを間ににらみ合う二人の戦士。

ふたりが組みあった。そして雪村はつけている十字架にKIS
Sをする

加藤は二人の顔を見比べにやりと笑った。
「よし、準備はいいな。RADY GO!!」

腕相撲が始まる

気合を入れる雪村、無表情のリー

じわりじわりと傾く雪村

嬉しそうに見ている加藤

祈るような表情の美奈

「うぉ~~~~~~!!!」雪村のこめかみに血管が浮かび
上がり顔は真っ赤に染まった。

笑うリー。しかしフィニッシュを決める瞬間二人の手が外れ
た。

加藤は苛立ってきた「ちょっと待て、コラ牧師!テメーきた
ねーぞ」

雪村はぜぇぜぇと呼吸が激しくなってきた。
「汗でスリップした、仕方ない」

ふたりがもう一度組みあう。加藤はその上からテープで巻き
つけた。

加藤はふたたび余裕の表情を取り戻した。
「これでもう逃げられねー。終わりだ」

「やってくれ」

加藤が手を振り下ろす「・・・GO!!」

組み合うふたり、しかしリーが圧倒的に優勢だ。

「くっそー」

加藤は煙を吐きながら笑う「終わりだ」

と、その時!!美奈が突然叫んだ「勝って!!」

一瞬、空気が止まる。そのスキをついて雪村が巻き返す

「・・・し、しゃべった・・・?」加藤は唖然とした。

美奈は雪村に向かって叫ぶ「勝ってぇ」

「うおぉぉぉぉぉぉっっっ!!!!」自分でも信じられない
力が雪村に湧いたように感じた。

しかしそれでもリーはあわてない「フンっっ」

また返される雪村

しかし美奈は叫び続ける「雪村さん!頑張って!勝って!!
」雪村は美奈の声を感じて奮い立つ「どぉりゃぁぁぁぁぁっっ
っっ」

雪村の腕が少しづつ挽回していく

雪村に押され憤怒の表情になっていくリー

雪村も叫びながら力を込める「負けてたまるかぁぁぁっっっ


「おおおぉぉぉっっっっ」両者の声が響いた

そしてとうとう逆転されるリー、汗が滝のように噴出してい
る。

「もう少し、あと少し・・・頑張れ!」美奈も必死の声援を
送る。

加藤も立ち上がって叫ぶ「どうしたリー、なにやってんだ?早
くしとめろ!!」

リーは雪村に圧倒されて情けない声をあげはじめていた「あ
ああぁぁぁっっっっ」

美奈も声を振り絞った「勝ってぇぇぇっっ」

リーの手の甲がテーブルに押し倒される



雪村は美奈に振り向き叫んだ「勝った!やったよ」
美奈は最高の笑顔を見せた「勝った、勝ったわ、雪村さん、あ
りがとう」

雪村は美奈の肩を抱き紐を解きながら言った。「奇跡だ、キミ
しゃべったよ」雪村も笑顔を見せる。

「奇跡・・・信じられない」美奈は自分自身に驚いていた。

「信じられねぇ」タバコをもみ消す加藤、うなだれるリー

「仕方ねぇ俺は約束はまもらねぇ男だが今回は勘弁してやるぜ
。さっさとつれて帰れ」

加藤にせかされ雪村は美奈の手を引いて出て行くのだった。


© Rakuten Group, Inc.